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HYNM EYE ~フイナムの視点~ VOL.07 湘南閑話。造形作家・古賀充とあたらしいMacBookと。

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プロダクトも、自然の摂理に添って丸くなっていく

この前、フランスの「コンスタンティン・ブランクーシ」って彫刻家のアトリエに行ってきたんですね。これ、ブランクーシの初期の作品みたいなんですけど。年月を重ねるごとにどんどん削ぎ落とされていって、人の頭の形が最終的にほぼ卵の形になるんです。

石もたいていゴツゴツしてて、削られてくと丸くなってくしかない。人工物もそういうルートを辿りたがるってかもしれないですね。凹凸が減ってくじゃないですか。あと未来を感じるっていうのもあります。

-たしかにSFの世界感でゴツゴツしたものってないですね。プロダクトも、だんだん削られて最後は丸くなっていく。

でも、ゴツゴツしてるほうが好きな人もいるし。どっちがいいかってわけじゃなくて、進化はそういう方向に向かうような気もします。もちろん、アップルの人たちは、僕らがちょっと雑談で考えたようなことは、「全部考えてる。それも何年も前に踏まえたよ」って話なんでしょうけど。

ただ、人がつくるものも結果的に自然をある程度模倣していくっていうようなところはある気はしますね。いま思ったんですけど、ノートパソコンって貝ですよね。二枚貝でやわらかい部分を守っている感じ。

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—Macを閉じた状態でモニターに繋げることを「クラムシェルモード」って言いますしね。

そう、だから貝みたいだったり、石みたいな進化をしてたりとか、そういう自然から学べるものも含まれてるように感じちゃうっていうのがすごいですよね。

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石で言うと、結局は砂になるわけですよね。角が取れたのがだんだん丸くなって、最後は小さくなって、割れたりして砂みたいになっていく。だから、どのラインのところで止めるかって話でもあって。石で考えていくと、どの地点なの? って。

—もしかしたら進みすぎてるのかもしれないし、まだ行けるところがあるのかもしれない。

そうそう。小さくなりすぎちゃったねとか。でも、僕自身そうですけど、大方のひとはそんな小難しいこと考えて買うわけじゃなくて、圧倒的に形の魅力だと思いますよ。

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木や石など自然にあるものを活かし、あらたな造形を生み出す古賀さんだからこその、プロダクトデザインの進化を石の辿る流れで語る視点には、ただただ頷くばかりでした。

この原稿を書いているMacもまた、「Incase Neoprene Classic Sleeve for MacBook」で大切に守られています。たしかに、ここまで傷つくことを避けるプロダクトって、あまりないかもしれないですね。

削り出しだからこそ出せる美しき造形。取材を終えて、より一層の愛着がわきました。