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「本家を超えた!? 超本格派のタイ料理」
岸田 充司
J.S.Homestead 企画
「本家を超えた!? 超本格派のタイ料理」
岸田 充司
J.S.Homestead 企画
「学生時代から衣食住すべての分野に興味がありましてね。高校卒業時は迷いに迷った挙句、美大ではなく、洋服の専門学校へと進みました。それから順当にファッションの世界へ足を踏み入れていくのですが、仕事とは別に自分の好きな建築を見に行ったり、食べたい料理を作ったりと趣味に時間を費やしていました。なかでも料理にかんしては、料理そのものはもちろん陶器やカトラリーなどその周辺にも魅了されるようになったんです。もちろん調理自体も好きなんですが、洋服を見るときと似た視点でプロダクトを捉えることでさらに料理への関心と理解度が深まっていきましたね」
「自宅で使う調理器具は基本的にはステンレスのものが多いのですが、器はほとんど民藝品なんです。結構前になりますが、柳宗理さんやイームズなどのブームがありミッドセンチュリーモダンデザインに民藝品を合わせることに感銘を受けて、今では気になる作家さんや陶芸家さんの作品をこまめにチェックしては少しづつ集めています」
「元々はイタリアンとかをずっと作っていたんですが、一人暮らしを始めてしばらくしてから友人たちに東京のおいしいタイ料理屋さんへ連れて行ってもらうようになり、それからタイ料理にハマってしまったんです。とにかくおいしくて、自分でも作りたいと思ってからすぐに近所のアジアンスーパーで食材を買い集めて、毎日のように作っていました」
「タイも初めは観光を兼ねて食べ歩きツアーのような形で、遊びに行く感覚だったんですが、何度もいくうちに見る場所もなくなってきてしまいました。そりゃ当たり前ですよね(笑)。そこまでタイ料理が好きなら、外国人向けの料理教室でも行ってみる? という話になったんですよね。それから現地で少し上流クラスの料理教室と、スラム街に住んでいる方が自宅で教えてくれるような2カ所の教室にそれぞれ通いました。こういった輸入したものではない、ローカルな味を学べたことっていうのがやっぱり大きかったですね。料理教室では本も出版していて、じつはこちらの方が味もおいしいんですよ(笑)」
「料理を作る際には、極力食材などは専門のスーパーで買うようにしています。現地で食べた味をよりリアルに再現するには、調味料だけじゃなく食材も現地のものを使わないとダメですからね。正直その辺の下手なタイ料理屋さんよりもおいしい自信はありますよ(笑)。なんだかプロの料理人みたいですけど、ここ最近は、食べてくれる人の顔を見て満足しています (笑)。でもそういった気持ちってきっと洋服でも同じで、誰のために洋服を作るのか、売るのか。その先のことを考えながら作っていくことで思い入れも変わってきますし、モノづくりをする人間として持ち続けなければならない心構えだと思っています」
岸田 充司(きしだ あつし)
2006年〈ジャーナル スタンダード〉入社。服飾専門学校を卒業後、某ブランドの商品企画を経てフリーランスのパタンナーとなる。その後、〈ジャーナル スタンダード〉の企画全般を担う人材として迎え入れられ、〈J.S ホームステッド〉の立ち上げを経験。海外旅行と料理をこよなく愛する。