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INSIDE OF INNOVATION KITCHEN ナイキの秘密の台所。 イノベーションキッチンってどんな場所?

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〈ナイキ〉のすべての製品のテクノロジーを司る心臓部「イノベーションキッチン」。これまで歴史に名を残す数々のテクノロジーを開発してきた、この特別な場所では日々、一体何が行われているのか。秘密のベールに包まれた「イノベーションキッチン」の内部を、先日発表された最新ズームエアのプレゼンテーションのために来日したシニア イノベーション ディレクターのシャアナ・ハナとの対話から紐解いていきます。

Text_Masahiro Minai
Edit_Hiroshi Yamamoto

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ナイキのテクノロジーがキッチン用品から生まれた?

ナイキ創業者のひとりであるビル・バウワーマンの開発したワッフルソールは、朝食のワッフルを食べているときに、「こんなフワフワの素材がシューズに付いていたら快適だろうな!?」という発想から誕生したアウトソールのテクノロジー。このアイディアを思いついてからというもの、バウワーマンはオーブン、ワッフルの焼き型などのキッチン用品を駆使して自らの手でワッフルソールの試作品をいくつも作ったという。

あれから50年近くが経過したが、今のテクノロジー開発のチーム名が「イノベーションキッチン」というのは、なんだか興味深い偶然である。世界中のスポーツシューズ業界従事者が、その動向を注目するナイキのイノベーションキッチンだが、日本ではこれまであまり知られていなかった。この最新テクノロジーをクリエイトするチームの概要、先日発表された最新ズームエアの機能性の高さを知るべく、来日したシニア イノベーション ディレクターのシャアナ・ハナに直撃取材を敢行した。

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そもそもイノベーションキッチンとはどんな場所なのか?

ナイキの最新テクノロジーをクリエイトするイノベーションキッチンのシニア イノベーション ディレクターであるシャアナ・ハナは、24年という長きにわたりナイキに勤続してきた。これまでにウイメンズトレーニングのカテゴリーリーダーなどを務めてきた彼女がイノベーションキッチンに配属されたのは5年前のこと。「エンジニアや科学者といった人々ともセッションして革新的なイノベーションを開発するという仕事は日々新しい発見があって本当にエキサイティングな毎日です」というが、そもそもイノベーションキッチンとはどんな場所なのか? ということに興味を持つだろう。

シャアナ・ハナは「イノベーションキッチンはナイキの新しい機能性のすべてを開発する場所になります。この部門はクッショニング、フィット、素材といったすべての分野における未来を追及しており、新たなクッショニングシステムの製造方法を開発し、プロダクトデザイナーに提案するなど、ナイキテクノロジーの最先端にあります。私はフットウェアの担当ですが、イノベーションキッチンにはアパレルチームやサッカーボールなどのアクセサリーチームも存在しています」とのこと。

今回新たに開発された六角形のズームエアを始めとした最先端テクノロジーはここですべて開発されるという。キッチンというネーミングはユニークだが、「イノベーションキッチンではいろいろなアイディアや材料を調理するからキッチンという名前が付いているのだと思います。たまに焦がしちゃったりすることもあったりして…」とチャーミングに笑いながらその名前の由来を説明してくれた。