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Onitsuka Tiger × ANDREA POMPILIO アトモス佐藤さんが語る、モードとスニーカーの邂逅。

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機能優先のスニーカーとは一線を画したデザイン性により、ヨーロッパを中心に熱い支持を受ける、〈オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)〉。同ブランドのスニーカーをベースに、ピッティウオモで名を馳せたコレクションブランド〈アンドレアポンピリオ(ANDREA POMPILIO)〉が手を加えるというコラボ作業が2013年からつづいている。その独特なデザインは、圧倒的な数のスニーカーを見てきた「アトモス」佐藤さんをして、想像の斜め上をいっているという。果たしてその真意とは?

Photo_Masahiro Arimoto
Text_ Masayuki Ozawa
Edit_Shinri Kobayashi

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佐藤祐一 / Yuichi Sato
atmos事業部 部長
店舗スタッフとして入社。その後、店舗開発やプレスにかかわり、現在はatmosのディレクションを担当。スニーカーの見識を活かし、バイイングからストアMDなど幅広く手腕を発揮している。

危機感からのファッションとの結びつき。

―まずは、最近のスニーカー事情をお聞かせください。

佐藤:2010年以降から、コラボレーションの意義の変化を感じ始めました。
その頃のファッションの足元といえば革靴ばかりで、スニーカーは明らかに低迷期。そんな現状は危機感すらあって、縮小したマーケットを業界全体でなんとかしなきゃ、という動きが強くなり、各メーカーやお店が一体となって試行錯誤を繰り返すようになりました。そのアプローチの一つが、ファッションとの結び付きでした。

―具体的にどのような仕掛けがありましたか?

佐藤:健康志向やランニングなどのスポーツブームの風も受け、ライフスタイル人気全体の底上げによって、ヒールのある靴しか履かなかった女性がスニーカーの魅力に気づき始めました。それでファッションと結びつくようになりました。2012年くらいからその波が大きくなり、加速したように思います。メゾンやコレクションブランドとの積極的なコラボレーションが大きな影響を与えたんじゃないでしょうか。

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―多くの方はコラボレーションに対して、限定的なプロダクトという認識を持っていると思われます。

佐藤:昔のアトモスもそうでしたが、スニーカー好きの視点から見るとそうですね。でも、ブームの渦中でない限り「あそこのお店だけ」という希少性を煽るマーケティングでは通用しません。スニーカーをカルチャーとして捉えると、常にオリジナルやヘリテージが出発点にあり、そこからの進化のストーリーを楽しむのが一般的。だからコラボレーション相手もカルチャーを知っているブランドばかりが選ばれていました。

―ではそういったストーリーを楽しむカルチャーとファッションの違いはどこにありますか?

佐藤:ファッションはやはり感覚的です。進化のストーリー上にない、突発的で斬新なデザインでも受け入れられる歴史と土壌があります。「かっこいいもの」同士を結びつけて「かっこいいもの」を表現できればいいっていう結果主義が、難しくもあり魅力的です。2013年にスタートした〈オニツカタイガー〉と〈アンドレアポンピリオ〉のコラボレーションは、そのパイオニアではないでしょうか?

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