FEATURE |
The “CLASSIC TENNIS“ has come. 識者が語らう、〈プーマ〉の“クラシックテニス”。

puma_2.jpg
登場人物(左から)
梅林昭仁(ジャーナル スタンダード・バイヤー)
国井栄之(ミタスニーカーズ・クリエイティブディレクター)
平松正啓(スタイリスト)

- みなさん〈プーマ〉のスニーカーって普段から履かれますか?

平松:履きますね。スウェードとか。今履いてるのも〈プーマ〉で、〈ウィズ〉と〈ミタスニーカーズ〉とのトリプルネームのものです。モデル名がわからないのですが…

国井:XT2ですね(笑)

平松:失礼しました(笑)

国井:僕も色々と持ってますね。スウェードとかクライドみたいな定番物はもちろん、さっき話したXT2とかも履きます。特に、〈プーマ〉がコートとはまた別軸でランニングカテゴリーをプッシュしていて、“トライノミック”というクッションが入っているランニングシューズはよく履いてます。

- 梅林さんは?

梅林:僕も同じく、スウェードやクライドを。世代的に、ちょうど高校生の時にスケートの延長で流行っていたというのがあったので。あと最近だと、ロニー・フィーグが別注したXT2を入手したので、それも良く履いてますね。

puma_3.jpg
〈プーマ〉のクラシックテニスを象徴するマッチがいよいよ復刻。

- 実は今シーズンの〈プーマ〉が、ボリス・ベッカー(〈プーマ〉がサポートしたプロテニスプレイヤー)のウィンブルドンでの史上最年少優勝から30周年ということもあり、“クラシックテニス”というテーマでコレクションを展開しています。色々なモデルが復刻される中で、このテーマを象徴する“マッチ”がリリースされるのもご存知ですか?

国井:もちろんです。今回のモデルはまだなんですが、昔復刻された時は履いてました。

- 当時はどんな印象でしたか?

国井:スウェードのレザー版にあたる、バスケットというモデルを履いていたんですが、その時に丁度マッチも出てきたんです。同じコート系の中でもシンプル+αなデザインに惹かれて履いてましたね。

梅林:でもなんで今回は、モデル名に“74”とついているんですか?

国井:1974年に出たマッチが、70年代にリリースされたCOURTというモデルのアッパーのデザインを取り入れていて、それに一番近いからだったと思います。

平松:今って復刻モデルが本当に多いですよね。僕ミーハーなので、久しぶりに見るとついつい欲しくなっちゃうんです(笑)

puma_4.jpg

国井:これまでの日本の市場はコート系が中心だったのですが、それが最近のスニーカーブームでランニングカテゴリーに切り替わりました。でもやっぱり「コート系にも良い靴あるよね」って考えたときに、バスケットシューズだと散々復刻されてたし色んなこともやり尽しちゃった感があるので、同じコート系の中でも“テニスカテゴリー”に注目しているブランドが多いのかなと。

平松:他ブランドもたくさんやってますもんね。

国井:その流れの中で、〈プーマ〉は〈プーマ〉らしいアプローチとして、冒頭で挙った“ボリスベッカー”を復刻しました。でもボリスベッカーだと少しデコラティブなイメージが強いし、今一般的に主流となっている外羽根のオーセンティックなテニスシューズだと一番代表的なものがマッチなので、このタイミングでマッチが出て来たのは必然なんだと思います。

puma_5.jpg

- ファッションシーンでもテニスの流れはあるんですか?

平松:そういうイメージはやはりありますね、テニスブームというか。コレクションブランドでも“テニス”をテーマにしているところもありますし、アクティブな要素を取り入れているブランドが多い気がします。スタイリングでいえば、コート系のスニーカーをスーツに合わせているのは最近よく見かけます。

puma_6.jpg

梅林:そうですね。うちの場合はここ2,3年ほど、スーツにスニーカーというよりは直球でスウェットと合わせるようなオーセンティックなカテゴリーの打ち出しをずっとしています。その辺のカテゴリーはトレンドとしては強いし、お店での反応も実際すごい良くて、そこでさらにコレクションブランドがテニスにフォーカスしたり。それで会社としての方針を決めるときに、スポーツはスポーツでも、キーワードとしてテニスとか、足元ではコートライクなものが来てたりっていう話は出ていましたね。

国井:スニーカー自体がそもそもアメリカのストーリーで語られることが多くて、簡単に言えばスウェードもビースティーボーイズが履いていただとか、クライドもNBAの選手だったりと、あまりヨーロッパの話が出てこないんです。でも色々掘り下げてみると、今回のマッチみたいに〈プーマ〉からはヨーロッパのストーリーも出てくるので、他のブランドに比べて幅が広がっている印象ですね。あとは単純にスポーツとして、テニスシューズは真っ白じゃないといけないっていう規定が昔あったんです。最近はモノトーンのスニーカーに人気が集まっているのですが、その中でテニスっていうカテゴリーは、そのルール故に白を基調とした靴でベーシックなものが多いので、最近のスタイルに取り込むのはイージーなんだと思います。

puma_7.jpg
マッチを履きこなすには?

- 平松さんだったら、スタイリスト目線ではどういう風に合わせたいですか?

平松:品のあるデザインなので、スウェットパンツと合わせてもいいのかなと思います。テーパードかかってたりとか、それこそリブが付いているようなデザインに遊びがあるパンツと合わせてもバランスがとれるのでは。実はこの前、雑誌のスニーカー特集で使ったんですよ。白のマッチを。その時はジャケットにダメージデニムを合わせました。あまりきれい過ぎるよりはと思ってダメージデニムを使いつつ、品は保ちたかったので、こういうコート系の白いスニーカーがぴったりでした。個人的にも白×白のモデルが気になります。一張羅として使いたいですね(笑)

国井:僕は靴屋なのでファッションのこと全然わからないんですが(笑)、こういうスムースレザーだったら長く履いて経年変化した時のシワ感を楽しみたいので、個人的には黒ベースかな。あと黒ベースのスニーカーは、玄関にあれば何も考えずに履けるし。もうちょっと暖かくなってきたら、僕も白が欲しくなるかもしれません。

梅林:僕も基本的にこんなカジュアルな格好が多いので、自分で選ぶなら黒×白ですね。僕みたいなカジュアルな格好の人でコート系のスニーカーを持ってくる人ってあまりいないと思うんです。でも本来は平松さんがおっしゃっていたように、どっちかというとスラックスみたいなきれい目なパンツを履いたり、セットアップでこういうのを持ってくるのが多いんじゃないですかね。

puma_8.jpg

- ミタスニーカーズではマッチは取り扱わないんですか?

国井:もしスポットで何かおもしろいのが出てくればやりたいですね。でも実は、“CREAM(旧称The LIST)”という、次にフォーカスすべきアイテムを先出するリミテッドの頂点みたいな世界プロジェクトがあって、それでマッチもうちで取り扱ってたんですよ。ついこの間復刻されたボリスベッカーも去年すでにあって。だから、今テニスというキーワードがトレンドになっているから〈プーマ〉も復刻したというよりは、既に数年前から色々と仕込んでいたんです。

  |