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Samsonite RED×HOUYHNHNM vol.02

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2015年春、ひとつのプロジェクトがスタートしました。我らが「フイナム」と、スーツケースの代名詞〈サムソナイト(Samsonite)〉のカジュアルライン〈サムソナイト・レッド〉がタッグを組んで、新しいバッグを作るというものです。”フイナムが作りたいバッグ”というお題をもとに、何度も打ち合わせを重ね、ついに11月20日(金)、発売を迎えることに。というわけで、第1弾に続く今回は、完成までの道のりに迫ります。

Edit_Jun Nakada


“僕らが欲しいバッグを作る”がコンセプト。

第1弾では、〈サムソナイト・レッド〉の世界観を、バックボーンにある〈サムソナイト〉の歴史から紐解いていきました。”都会でのライフスタイルに合わせたデイリーユースなバッグ”という〈サムソナイト・レッド〉の提案は、今まさに時代が求めていること、トレンドをうまく捉えたモノづくりと言えます。

そんな〈サムソナイト・レッド〉とのコラボレーションプロジェクト。お題はズバリ「フイナム編集部員が欲しいバッグ」です。ベースとなるのは、〈サムソナイト・レッド〉の人気シリーズのひとつ「BIAS JACK(バイアス・ジャック)」のバックパックと、本プロジェクトオリジナルのノートPCケースの2型。付け入る隙がなさそうなこのプロダクトをどのようにアレンジしていくのか。早速、打ち合わせがスタートしました。

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左:MD重村さん、左中:デザイナー小石さん、右中:PR 佐々木さん、右:デザイナー伊藤さん

プロジェクトを手がける重要人物。

まず登場人物の紹介から。左から、プロジェクトのスケジュール管理を一手に取り仕切るサムソナイト・ジャパンのMD重村さん。主に素材周りをメインにフイナム編集部員のわがままを具現化してくれたデザイナー小石さん。〈サムソナイト・レッド〉をはじめ、〈グレゴリー〉や〈デュモンクス〉の広報を担当しているサムソナイト・ジャパンの佐々木さん。そしてプロダクト全般を通して、的確なアドバイスで完成まで導いてくれたデザイナー伊藤さん。この4名にフイナム編集部が加わり、プロジェクトは進行していきます。

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ベースとなったモデルがこちら。

フロント部分に大胆に配置したジップが特徴的な、2014年のブランドスタート時から展開している人気シリーズ「BIAS JACK」のバックパック。この形をベースに、フイナムの要望をぶつけていきました。ちなみにPCケースは既存のアイテムがなかったため、皆でブレインストーミングをしながらイメージを膨らませていくことに。また、大前提として、”ON・OFF使えるバックパック”、”使い勝手のいいPCケース”を念頭に置いています。というのも、フイナム編集部では、普段からみんな自転車移動が多いのと、基本的にノートPCを持ち歩いているので、バックパックに入れられる、もしくは単体でも持ち歩けるようなPCケースの2アイテムを希望しました。そして、各モデルに対して編集部内で集まった要望が以下。

【バックパック】
・色はやっぱりダークネイビー!
・素材はコーデュラナイロンで、底面はスウェードにして高級感を!
・内側にノートPCを入れられるようなスリーブケースが欲しい
・腰周りのベルトストラップをなくす(都会ではあまり必要性を感じない)
・ショルダーベルトのクッション性を高める(重い荷物を入れることもあるため)
・リフレクターをさりげなく入れる(夜間の自転車移動も多いので)
・ジップは止水ジップではなく、ミリタリーっぽい無骨なタイプに(男らしさも必要)
・持ち手にも底面と同じレザーをスナップボタンタイプでつける(ちょっとしたアクセントを)
・雨避けのバッグカバーを付ける(自転車運転中の突然の雨も、これで大丈夫!)
・ブランドのネームタグは内側に設置(何事もさりげなくが大事)

【PCケース】
・色はバックパックと同じダークネイビー(バックパックの中に入れることも想定して)
・13インチのノートPCが入るサイズで(編集部員のほとんどが13インチのノートPC)
・素材はコーデュラナイロン(バックパックと同じがいい)
・アダプターコードなどのパーツを内側に収納したい(パーツ関連を分けて持ち歩きたくない)
・ブランドのネームタグは内側に設置(バックパックに同じく)
・ジップは止水ジップではなく、ミリタリーっぽい無骨なタイプに(バックパックに同じく)

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1stサンプルができるまで。

フイナムの要望を踏まえて、互いにああしたいこうしたいを相談しながら、小石さんが実際にデッサンを起こしていきます。そうして書き上がったのが、写真の一番上の紙。各パーツの素材や仕様の変更点を書き込みながら、その下にある仕様書(実際に工場の職人さんに発注する際の指示書き)に起こしていきます。そうして出来上がったファーストサンプルがこちら。

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ファーストサンプルのバックパック

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ファーストサンプルのPCケース

ボディをはじめ、ジップやストラップなどのパーツもすべてダークネイビーに統一。なかなか良い感じに仕上がっています。が、しかし、ここでひとつの問題が発生。

小石「偏にコーデュラナイロンと言っても、種類はたくさんあります。カラバリ、生地の密度、厚み、そのバランスを、イメージする完成型と予算を照らし合わせながら決めていきます」

伊藤「うん、予算を度外視すれば、たしかに良いバッグは作れます。ただ、それだとただの自己満足で、やっぱりユーザーのことを考えてモノづくりをしていかなくちゃいけない。だからある意味、予算がしっかり決められている方が、うまくバランスを考えながら作っていくことが出来るっていう、違う面白さがありますね。もちろん今回のフイナムさんの要望には出来る限り応えられるよう努力しますよ!笑」

フイナム:「ありがとうございます! ちなみに、実際、製品にするまでに何回サンプル作るんですか?」

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重村「納期によって多少前後しますが、平均して2〜3回でしょうか。製品化にあたり、通称”ストロングテスト”と呼ばれる厳しい品質テストが設けられていて、それをクリアしない限り製品として売ることができないんですよ」

フイナム「ストロングテスト?」

重村「磨耗性、堅牢性、色落ちなど、バッグを使用する上で考えられる耐久性に関して、普段の生活ではあまり考えられないような過酷な状況下でテストを行っているので、高いクオリティを維持できるのだと思います。今回のバックパックのサンプルにおいて、底面がスウェードを希望されているので、色落ちが懸念されますね」

フイナム「なるほど。逆にそのテスト云々によっては、使える素材が分かってきますね」

小石「はい。なので、全体のボディに関してはコーデュラナイロンで問題ないのですが、底面に関しては、スウェードではないレザーを使うことになると思います」

フイナム「たしかに色移りが出るかもしれないですね」

まさかのスウェードがNG。

このままだと、製品化できないという判断になり、スウェードと比較して色落ちの可能性の低いスムースレザーを採用することに。上品な雰囲気を損なわないこともあり、残すは、最終サンプル(完成品)を待つのみになります。

というわけで、第2弾は、あまり見ることのないプロジェクトの裏側をご紹介しました。コラボレーションアイテムはもちろんですが、通常のインラインアイテムも、相当な時間と労力を要して、ユーザーの手元に届いているのです。裏側を知るだけで、手にしたアイテムにも愛着が湧いてくるのではないでしょうか。次回はついに完成したバックパックとPCケースの全貌を紹介していきます。乞うご期待!

サムソナイト・ジャパン株式会社
カスタマーサービス
電話:0800-12-36910

www.samsonitered.jp