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♯STANDFORSOMETHING.スタイリスト丸山晃が考える、ドクターマーチンの現在。

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シューズ 各¥19,000+TAX

スタイリスト丸山晃が語る、〈ドクターマーチン〉の新しい魅力。

これまでのシューズとは少しキャラクターの異なる今シーズンの〈ドクターマーチン〉の新作ですが、ご覧いただいた印象はどうですか?

率直に、こんなモデルもあったんだという印象でした。特にサイドゴアシューズとサンダルは。まず僕の知っている〈ドクターマーチン〉だと、サイドゴアのモデルはミドルカットなんですよね。他のブランドでもローカットでサイドゴアというデザインはあまり見かけないですし、そう考えると新しい気がします。

サンダルについては?

ファッション感というか、一番トレンドを感じさせるのはこのサンダルでしょうね。3年くらい前にリリースされた〈ラフ・シモンズ〉とのコラボモデルでもこの類いのサンダルが出ていて、僕も当時2足買いしました。エアソールがついたサンダルがすごくかわいくて。やっぱり〈ドクターマーチン〉好きにとっては、こういったウィットが効いたアイテムは堪らないわけです。日本のマーケットでは短靴2つが主流となりそうですけど、“マーチンらしさ”という意味ではこのサンダルが断然面白いかな。

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残るはレースアップシューズですが。

これは実は、僕が私物で持っている〈ドクターマーチン〉のワークブーツというか、ドンキーブーツに似ているんです。それは8ホールなんですけど。ブランドイメージとして一般的に考えられている、8ホールだったり10ホールみたいな編み上げブーツといった従来のイメージとは違いますが、個人的にはむしろ、親近感を感じるくらい(笑)。トゥにスチールが入っているか入っていないかくらいの違いなんじゃないかな?あとは、ボテっとしたシルエットが少しシャープになっている気もします。ノーズを細くすることで、街履きできるようにしているんですかね。

私物のワークブーツはいつ頃のモデルなんですか?

80年代のものです。スチールも入っていてより骨太で、そのラギッドな感じが気に入っていました。でも新しいモデル全てに言えるのは、例えばサイドゴアシューズのようにステッチがなかったりと、ミニマムに削ぎ落しているので、これまで以上に合わせるスタイルを選ばないし、履きやすいデザインになったということです。

トレンドは取り入れつつも、よりスタンダードなデザインになっていますね。

僕、普遍的なものってあまりないと思っているんですけど、〈ドクターマーチン〉のシューズはそれに該当する存在だと思うんですよね。たとえ10年経っても20年経っても、「古いよね」「新しいよね」というわけでもないし。「編み上げブーツほしいな。じゃあマーチンかな」って自動的に反射してしまう。あとは、ブランドにまつわるエピソードというか、例えば黒のブーツに白の紐を結び上げると、黒が白を締めるというような意味合いがあるわけじゃないですか。そんなメッセージ性があるところに、今も昔も変わらず惹かれてしまうんですよね。世界中のデザイナーやクリエイターにも、そういう理由で愛されているんじゃないでしょうか。

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ちなみに、丸山さんが最近気になるシューズのトレンドはありますか?

僕の場合は、幅が広い典型的な日本人の足なので、ワイズの広いボテッとした靴を選びがちなんですよね。よく履いている〈キッズラブゲイト〉の靴にしても、やっぱりワイズが広いから履きやすいんです。でもそういったトレンドに挙るブランドにしても、インスピレーションは結局〈ドクターマーチン〉だったり〈ジョン・ムーア〉から得ているんだと思っています。イギリスのユースカルチャーに影響を受けているブランドなので。だから、こういうおでこ靴は、トレンドでありつつも自分にとってもしっくり来るんですよね。今年はポインテッドトゥが流行っているから、先のとんがった〈アンダーグラウンド〉が気になるっていうのももちろんあるんですけど、それはヴィジュアルとして表現する上での話であって、自分がいざ履くとなったらこの辺りの靴を選びますね。

この3足の中で1足選ぶとすれば?

やっぱりレースアップのシューズですね。特段にワイズがぼってりしているので、自分のスタイルに最も近いのが決め手です。

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