フイナムが気になる女性をフィーチャーする本企画。だいぶご無沙汰ではありますが、第2回目は若手俳優の中で注目度№1、実力派女優の松岡茉優さんです。ドラマはもちろん映画や舞台、さらにはバラエティ番組でも大活躍するなど、マルチな才能を発揮する彼女。意外にも今回が初の主演作となった、現在放送中のフジテレビ系ドラマ『she』の話を聞きつつも、松岡茉優さんのユニークな個性に触れていきます。

Styling_Yusuke Arimoto
Hair&Make-up_ Raishirou Yokoyama
Photo&Edit_ Yuji Nakata

—おそらく今もっとも忙しい女優さんの1人かと思います。が、意外にも今回のドラマが初の主演作とのこと。率直にやってみていかがでしたか。

初主演ということで、すごくプレッシャーを感じていました。私自身、絶対的な美貌を持っているわけでもないし、同世代で私よりも芝居が上手な方もいると思うから。でも、はじめはとても怖かったのに台本を読むと、とても役(西澤涼子)に向き合いたくなったんです。このコと向き合い続ければ、お話の真ん中にいられるなって確信できたんですよ。自分が主役として頑張らなきゃということより、このコと真剣に向き合えば、自然と話の中心にいられる。それくらい興味深いキャラクターだったんです。

—話の真ん中という表現は、群像劇だからですか。

そうですね。主演だとか主演じゃないとか関係ないなって。群像劇には変わりなかったので、それぞれが主人公だと思いますし、そのなかで中心となる人物がいるという感じだったので。そういう考え方を持ってからは、役と真剣に向き合おうって思えたし、プレッシャーも乗り越えられるようになったんです。

—役づくりについてのコダワリとかありますか。

4年前にすごく気持ちのいいノートに出会ってから、いつもそれを持ち歩いているんです。そこに自分の役づくりのすべてが詰まっています。あるときは絵だし、ある時はポエムや歌詞。それは演じる役柄によって変わっていくんですけど。今まで書き溜めたものを合算すると全部で7冊くらいありますね。

—台本を読んでから自分の中で整理していくわけですね。

まず台本の感想を書いてみるんです。そこから、役柄の名前を書いて、生年月日、血液型、家族構成を書くんですよ。その役に自分を落とし込んでいくためのはじめのステップですね。そのあとは、いつも作品ごとに違いますね。

—アイドルが好きだと伺いました。自分の好きなことをやるのが一番楽しいんじゃないかって思うんですが、それは違いますか?

アイドルは、、。務まらないですよ(笑)。だからこそ憧れているって言うのはありますけどね。でも、何かの記事で『ワンピース』の原作者の尾田栄一郎さんは『休みの日、なにしてますか?』という質問に対して『絵を描いてます』って応えたらしいんです。で、同じ質問をある大学教授に問うと『勉強しています』って応えたそうです。それを聞いて、もう本当に好きじゃないとやっていけないんだな、って思って。じゃあ私は休みの日に何をしているかっていうと、映画を見てるんですよね。正直ちょうどいいなって思いました(笑)。映画を見ているか、漫画を読んでるか、小説を読んでるかのいずれかなんで、私は今の職業が向いているんだと思うんですよ。

—確かにぴったりですね。ちなみにどんな映画が好きなんですか?

人と人との話、ジャンルでいうとヒューマン・コメディやドキュメンタリーなんかが好きです。宇宙人とか地球外生命体が出てきたりするのは、あまり見ません(笑)。で、今思い浮かんだ好きな映画を1つ挙げると『トゥルーマン・ショー』。あんなに人を笑顔にして、暖かい気持ちにしてくれる映画って本当に素敵だなって思います。だから、自分もいつかそういった映画に携われたらって。

—撮影現場はどういう雰囲気なんですか?

基本は和気あいあいとやっているんですが、物語では全員が互いに嘘を付いている状況で展開されているんですね。なので、あえて話さないようにして自分の役づくりに集中している時も多いんです。どうしても学園ドラマって長期間やっていると馴れ合いになるんですよ。『こうやろうよ』、『オッケー!』みたいな1つ返事で進んじゃう。本当にそれでいいのか? って考えながらやる時間が少なくなってしまうこともしばしば。でも『She』の現場では誰も馴れ合おうとしないで、自分の時間をしっかり持っているんです。それはすごくモチベーションの高いことだと思うし、だからこそ一緒にいて楽だったりもします。全員私より年下なんですが、それぞれ達観している感じがありますね。

—松岡さんも年齢以上に落ち着いていると言われるかと思います(笑)。松岡さんが好きな言葉、大切にしている考え方なんかはありますか?

全然落ち着いてません、昔からイタズラ好きで有名なんで(笑)。そうですねぇ、ずっと『成るように成る』って思いながら生きてきたんです。でも、そんな適当になれなくなってきていて。そんなときにお芝居の先生が”NOW OR NEVER”という言葉を教えてくれました。直訳するとちょっと違いますが、『今やらなければ一生ないよ』という意味です。それくらい切羽詰まってやっていきたいし、同時にそれくらい見切り発車もしていきたい。だけど、『今やらなかったら一生ないよ』、じゃあ動こう。みたいに行動できるのって、今まで培ったものじゃないと絶対できないことだし。その言葉の裏に、すごく色んなものを感じたんです。だから、要約して『とにかくやってみる』という考え方に、ここ2、3年で変わりましたね。『成るように成る』ではなく、常に焦って今をもっと丁寧に、そして真剣に『とにかくやってみる』という精神を持っていきたいです。

—とてもポジティブな意味に聞こえますね。実際にドラマだけでなくバラエティでも活躍されていますし。

『とにかくやってみる』だらけですね(笑)。でも、バラエティ自体はすごくラクにやっていて。

—ラク、ですか。

窮屈じゃないんですよ。お芝居ってどうしても、失敗したらどうしようとか、みんなに迷惑かけたらどうしようとか色々考えてしまうから。でもバラエティだと、もちろん私は笑いを取りにいかなくてもいいし、それは芸人さんの仕事ですから。ほとんどの場合、私がバラエティに出るのは番宣が役目ですし。おぎやはぎさんとやっていた『オサレもん』の司会だって、20代の私の感覚でコメントを言えばいいわけですし。役割がすごくはっきりしているんですよね。そう考えると、私の自然な振る舞いが求められているんだって思えて、本当に気がラクなんです。だから、私が私らしくいることで何か問題があっても私のせいじゃないって思っています(笑)。だって、私を呼んだのはそっちなんだからしょうがないじゃないかって言い返せますし(笑)。

—確かにその通りだと思います(笑)。では、ドラマやバラエティ以外にこれからトライしてみたいことはありますか?

そうですねぇ、、。私と同じ年齢の女の子達に早く話を聞いてみたいです(笑)。15歳くらいから大人の先輩方と話をしていて、『金融会社に務めている友達がさぁ』とか『代理店の人とさー』なんていう話を一方的に聞いてきただけなので。ようやく私も20歳になって、少しずつ同い年の人が社会人になりはじめているので、やっとそういう話ができるなぁって。でも、私よくよく考えてみたら地元に友達がいないんです(笑)。この前も友達作ろうと思って同窓会に参加してきました。

—どうでした?

みんなすごくチヤホヤしてくれて。でも昔、私のことを嫌いって言ってた人もいて(笑)。それくらい周りに迷惑をかけていたんですが。その子達も『ドラマ見たよ!』とか『あれ、すごく面白かった!』とか言ってくれたんです。今、私が頑張って少しでもみんなに感動してもらえているなら、ある意味、恩返しできているのかなって。だから、これからもずっと頑張っていきたいし、同時にたくさんの友達を作っていけたら嬉しいです!

—フイナムはファッションをメインにしたWEBマガジンなので、芸人さんの知り合いが多い松岡さんに、是非お洒落な芸人さんを教えてほしいなぁ、と。

うーん、、昨年の『キングオブコント』で優勝したシソンヌさんがお洒落ってよく耳にします。でも、ツッコミ担当の長谷川さんていう方が芸人さんの中で一番服にお金かけているらしいんですが、私は“俺、お洒落でしょ”感が強い人は苦手なんです(笑)! むしろ、私はボケ担当のじろうさんの方がお洒落だと思います。雑味がなくて素敵です(笑)!

—なるほど、非常にわかりやすいです。無理してない方がいいってことですね(笑)。話が逸れてしまいましたが、最後に、5月16日放送の「She」最終話の見所を。

はい。リアルタイムの高校生の皆様にはもちろん、社会人の皆様にもハラハラドキドキをお届けできる新しいドラマになっていると思います。ドキュメンタリー的なカットや、細かな目線の交錯。サスペンス的要素を含みつつ学園ドラマの部分もあります。 これでもかと詰め込んだ実験的ドラマをぜひ目撃してください!

松岡茉優
1995年2月16日生まれ。東京都出身。B型。hirata-office.jp
映画「桐島、部活やめるってよ」(’12年)、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」などに出演し、抜群の演技力で注目を集める。今年は「問題のあるレストラン」(フジテレビ系)、「限界集落株式会社」(NHK総合)に出演。「オサレもん」(フジテレビ系)などのバラエティー番組のMCとしても活躍し、幅広く才能を発揮している。現在、ラジオ「松岡茉優ト文化的交流」(文化放送 毎週火曜午後11:30~11:45ごろ)に出演中。

『She』
最終話 5月16日(土)午後11:50~深夜0:15 フジテレビ系にて放送
“fresh & edgy”をテーマに、エッジの効いたドラマを放送するフジテレビの“新生”土曜ドラマ第1弾。“主人公不在”の実験的なスタイルを取った異色のスクール・ドキュメント・サスペンスで、若手実力派女優の松岡茉優が連続ドラマ初主演を飾る。松岡が演じるのは、高校3年生でジャーナリストを夢見るクールな才女・西澤涼子。涼子の親友で、成績優秀・容姿端麗な学年一の美女・荻原あづさ(中条あやみ)が失踪したことから、歯車が狂い始める女子高生たちの姿をドキュメントタッチで描く。涼子は、あづさの失踪理由と驚くべき真実に迫っていく。