ーここで、〈アンユーズド〉というブランドの印象を改めて聞かせてください。前にもスウェットやMA-1を作っていたこともあって、だいぶ「ウィズム」との親和性は高いように思います。
市之瀬:そうですね。お店としてはスタート当初からやっていますし、そういうイメージが付いてきたかもしれません。〈アンユーズド〉については、あまりうまく言えないんですけど、とにかく他のブランドとは違うんですよね。自分の中ではデコラティブな洋服だっていう印象があります。
ーデコラティブ、なるほど。。堀家さんはいかがですか?
堀家:ありそうでないものを形にできるブランドというイメージですね。アイテムを見て「なるほどね」と思うことも多いですし。作り手の好きなもの、例えば古着だったりが服から見えてはくるんですけど、そうした作り手のイデオロギーやエッセンスが押しつけではなくて。そのバランスがちょうどいいんだと思います。うちの顧客さんはもちろんですが、そうではない人でもさらっと買っていかれますし、着る人にすっと馴染むんですが、イデオロギーはしっかりあるブランドという感じでしょうか。
ーなるほど。確かに面構えはシンプルですが、シルエットやディテールに関してはかなり細かく手を入れているイメージがあります。ブランドスタートしてから10年以上が経ちますが、本質はそこまで変わってないんでしょうか?
市之瀬:本当に初期のころは、古着っていうイメージがもう少し多かったと思いますが、コアの部分は変わってないように感じます。
堀家:それに加えて、最近はよりメジャー感が出てきた感じがします。前は自分の持っているアイテムにちょっと差し込んで、という風に使うブランドだったのが、今は全身〈アンユーズド〉で、っていう人も増えてきましたし。
市之瀬:うちでも結構な型をやっていますが、かなり売れていますし。もっと増やしてもいいなとも思っています。しっかりまとめて見せていきたいブランドの一つですね。
ーなるほど。ちなみに、お二人はこの春どんなスタイルを推していくんですか?
市之瀬:今まであんまりレザーを推したことなかったんですが、このSSは少し推していきたいなと思っています。パンツは変えるつもりはないので、トップスの構成だけ変えていこうかなと。春に革?って思うかもしれませんが、意外と革ものって冬にあんまり着れないので、だったら春に革ジャンきて、中はTシャツみたいなスタイルはどうかなと。
ー堀家さんはいかがですか?
堀家:自分もパンツは細いままです。個人的に思っているのは、イケてるブランドは革靴を作り始めてるなっていう印象なので、そこですかね。今日履いていて、今お店でやってる別注の〈ティンバーランド〉とかも自分の中ではそのへんのムードをアップデートした印象なんです。もちろんうちの店でやるからには、ドレスっぽい革靴では決してないと思うんですけどね。今までの「ウィズム」にあるスウェット、デニムというイメージとは別に、もうひとつ軸を作りたくて。例えばさっきの話じゃないけど、レザーにデニム、そしてシャツっていうバリエーションとか。
市之瀬:そうだね。シャツのイメージってたぶんあんまりないもんね。キャップにTシャツとか、そんな感じだよね。ストリートを全面に押し出しているつもりもないんですけど、多分そういう印象は強いですよね。
ー確かに。あとはパーカとかですかね。ただ、「ウィズム」って1階と2階でだいぶ見せ方が違いますよね。
市之瀬:そうですね。1階はアイテム寄りというか。別注ものとか、スウェットだけをどかっと集めてみたりとか。2階はフェイスできちんと見せられるようなブランドの集合体という感じで編集したいんです。今後は、ブランド数は絞りませんけど、アイテム構成は少し絞っていこうかなと思っています。例えばスニーカーもまんべんなくやるんじゃなくて、このブランドのこのモデルだけを集中的にやるとか。そういう掘り下げ方をしていこうかなと。お店もこれから3年目に入るので、求められていることもわかってきたんです。
ー今後のWISMの展開としては、春頃に大きな動きがあると聞いています。
市之瀬:そうですね。いよいよ2店舗めを作ります。場所は大阪です。
ー西日本の方には待ちに待った開店だと思います。話せる範囲で新店のことを教えてください。
市之瀬:まず、路面店です。そうじゃないと僕らのお店ってなかなか難しいと思うんですよね。駅ビルな感じじゃないというか。
堀家:むこうも2フロア構成で、こっちより少し大きいかもしれないです。
市之瀬:こちらではできないことが、向こうではやりやすいということもあるので、少し内容も変わってくると思います。2店舗目を出すっていうのは、ずっとやりたかったことではあるので、ようやくという感じですね。うちらしくドメジャーな感じではなく、少しアングラっぽい匂いがするようなお店にする予定です。
ー楽しみにしていますね。〈アンユーズド〉のシャツからはだいぶ話が反れましたが、最後にいい話が聞けたということで。今日はどうもありがとうございました!