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White Mountaineering 2016AW in COLLECTION Paris 設立10年を迎えたホワイトマウンテニアリングのパリ・コレクション。 デザイナー、相澤陽介インタビュー。

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ー今回はブランド初となる、パリ・メンズコレクションでのランウェイショーでした。まずは、率直な感想を聞かせてください。

相澤:一発勝負の、約10分と短いショーの時間でしたが、戦場のようでした。正直、疲れました。それから、ホッとしています。会場の状態をリアルタイムで映すモニターがなかったので少し不安だったのですが、人がたくさん来てくれた様子は中からもわかって、よかったです。

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ー大盛況でしたね。観客もランウェイ上のカメラの数もすごかったです。やはりショー形式で発表というのは、プレゼンテーションとは違いますか?

相澤:今までパリやピッティ・ウオモでのプレゼンテーション、〈アディダス バイ ホワイトマウンテニアリング〉との合同プレゼンテーションと段階を踏んでいるのと、ものづくりのスタンスは変わっていないので、そんなに意識することはなかったです。
とはいえ、見せ方は、全然違います。ライブだし、360度躍動感がないといけないから、プレゼンテーションとは違う考え方でやらないといけない。基本的に自分たちのブランドはリアルクローズだし、ショーを一度辞めたのも「リアルクローズから離れたほうがショーとして面白い」という潮流に、ちょっとした疑問があったからなんですけど、やっぱりファッションというのは強い印象を残していくことが大切だと思ったので、前に進んでいくためにも、もう一度ランウェイで発表しようと思ったんです。NYも含めて、海外での展示会はもう5年やっていますが、海外で発表するというのは、決して「挑戦」ではなく、地に足をつけて基盤を作ってからでないとダメだと思うんです。自分たちのブランドを知ってもらった上で、ちゃんと観てくれるお客さんがいないと。反応してくれる人たちがいないのに「海外でやるだけ」では意味がないと思うので。自分たちも経験を積んで、チームワークを高めた上で、パリでランウェイをやりたいと思っていたので、初めてのピッティ・ウォモでの発表から三年かかって、結果的に今回のランウェイになったという感じです。

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ーブランドとしてもチームとしても機が熟した感じですよね。今回のパリでは、キャスティングやフィッティングも、ミニマムなスタッフ数でこなされていていましたが、すごく調和がとれていて、良いチームワークだと思いました。

相澤:ホワイトのスタッフもまじめだし、自分のことを気にしてくれるし、一年間プレゼンテーションをやったことで、外部の関わるスタッフも理解してくれて。全員で少しずつ前に進んでいる感じがしています。
ずっと音楽を担当している、COS/MESも、外部スタッフですがチームの一員です。大学時代の友人で、DJ、ミュージシャンとして活動しているので、ショーの音楽などは普段はやらないんですけど。彼らはどんな場所にいても音楽を作れる心強い存在です。ピッティ・ウオモでの〈アディダス バイ ホワイトマウンテニアリング〉のプレゼンテーションも彼らにお願いしました。ピッティは、会場のライティングに合わせて、無機質なイメージでしたが、今回のホワイトに関しては、もうちょっと優しい雰囲気で作りました。アウトドアを重要なキーワードにしているブランドだから、ナチュラルな音楽と彼らの強みを融合させたいと思って。昨日(ショー前日)の夜中まで彼らと作業して、ギリギリまで微調整していました。ホワイトマウンテニアリングならではの、シンプルなファッションショーの音楽になったと思います。

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ー今回のコレクションは、ファーストルックから数体、バッファローチェック柄のものが続きましたね。

相澤:ホワイトを立ち上げて、ちょうど10年。20回目のシーズンなんです。10年前にブランドを作ったときには、自分がショーをやるとも思っていなかったし、ましてや、パリでやるなんて思っていませんでした。実は、ファーストルックのバッファローチェックは、2006-07AW、デビューシーズンの象徴的なモチーフなんです。初期に作ったハンティングジャケットからインスパイアして作った思い入れのあるスタイリングで、ブランドとしてまだ未熟だった頃のものを、最初に持ってくることで、自分たちが10年間やってきて、洋服のクオリティも、ブランドの存在意義も含めて、成長したところを見せたかった。

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ーなるほど。10年の節目ということで、これまでの歩みと新しい一歩を、シンクロさせていたんですね。そして、バッファローチェックは、自分の初志を象徴するファブリックということですね。

相澤:10年前にブランドを立ち上げるときに、自分が一番興味があったのは、アメリカのアウトドアウエアでした。実際、昔のアウトドア用のブランケットなどを集めていたこともあって、その当時、自分がいちばん好きなバッファローチェックをモチーフにしたいなと思って。インテリアファブリックを使いたい、というわけではなくて、あくまでも洋服の素材に作り変えたかったんです。

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ーバッファローチェック以外にも、今シーズンはテキスタイルのバリエーションが豊富でしたね。

相澤:自分が学生時代からテキスタイルを勉強してきたので、基本的に海外、日本問わずに、いろいろな文様に興味があるんです。そのシーズンごとに、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジア…など、自分のインスピレーションソースになるものがあります。

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