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女性シンガー三傑のひとり、メロディ・ガルドーが来日。

Melody Gardot02

ノラ・ジョーンズ。マデリン・ペルー。メロディ・ガルドー。彼女たちは、2000年代に入ってからの10年の間にデビューした、”ジャジー&アダルト”な米国人女性シンガーの三傑と言うことができるだろう。最初に世に出て、その流れを導いたノラ・ジョーンズはやはり別格。だが、彼女に続いたペルーやガルドーも滋味溢れる表現で、情緒豊かな大人志向のポップ・ミュージックの新境地を開拓したのは疑いがない。

3人のうち最後にデビューした、1985年ニュージャージー生まれのガルドーが秀でているのは、ソング・ライターとしての才。それは、カヴァーも多かった他の2人と比して群を抜く。さりげない日常の機微を切り取り、それをブルージーな色調を持つ世界に昇華させる彼女の楽曲はやはり異彩を放つ。実はガルドーがギター弾き語りを始めたのは、19歳の時に交通事故に遭ってしまったがゆえ。甚大なダメージを受けた彼女は1年間の入院生活を強いられ、リハビリのためにギターを手にしたと言われる。その訴求力の強さは、そうした事実と無関係ではないだろう。

そんな彼女は、2009年にリリースしたセカンドアルバム『My One And Only Thrill』でさらに魅惑的な誘いを身にまとうようになる。その最大の理由は、ブラジルの趣味人たちが、自国の天衣無縫な創造性と米国ジャズへ憧れをクロスさせる形で生んだボサノヴァの要素を織り込ようになったこと。以降、ガルドーは新たな洒脱や洗練を自分の音楽から滲み出させるようになった。

さて、かつてフェス“東京JAZZ”のメイン・ステージに出演したこともあるガルドーの久しぶりの来日公演は、ブラジル音楽への興味が引き金となる彼女のもうひとつの側面を浮き上がらせんとするものだ。なんと彼女の相手役を務めるのは、カエターノ・ヴェローゾの流れをくむ清新シンガー・ソングライターと言うにふさわしい、ブラジル人のピエール・アデルニ(彼の曲は、黒木メイサが出演したUNIQLOのTV-CF曲に使われたこともある)。なんと、2人の間を取り持ったのは、ノラ・ジョーンズの大ヒット曲「ドント・ノウ・ホワイ」の作者でもあるジェシー・ハリス。以降、2人は曲を共作し合う関係にもなり、ガルドーはアデルニのアルバムに参加してもいる。

そして、今回のガルドーとアデルニの双頭公演にはブラジル人名手がサポートにつくのがうれしい。ベース奏者のダヂはジョルジ・ベンジオールやマリーザ・モンチらの表現を支える同国のNo.1奏者であるし、ピアノのフィリッペ・バーデン・パウエルは同国の誇る名ギタリスト/作曲家であるバーデン・パウエルの息子さん。また、ギタリストとして加わるミッチェル・ロングは現在ガルドーのバンドに所属する米国人だ。

聞けば、基本現在ガルドーはパリを活動の拠点にしており(今年出たライヴDVDがパリで収録されているのも納得)、アデルニはポルトガルのリスボン在住。そして、先の2人はもちろんカリオカ。言うなれば、共通する粋や歌心を持つ逸材たちがそれをシェアしあうために日本に集まるという塩梅。面々は今回の自然体ライヴをもとにアルバム作りすることも視野に入れていて、これはまさにプレミアと言うしかない。

Text_Eisuke Sato
Edit_Jun Nakada


メロディー・ガルドー&ピエール・アデルニ
featuring ミッチェル・ロング、フィリッペ・バーデン・パウエル&ダヂ

会場:ビルボードライブ東京
日時:2016年10月14日(金)1stステージ開場17:30 開演19:00、2ndステージ開場20:45 開演21:30
   2016年10月15日(土)1stステージ開場17:00 開演18:00、2ndステージ開場20:00 開演21:00
東京公演|詳細

会場:ビルボードライブ大阪
日時:2016年10月17日(月)1stステージ開場17:30 開演18:30、2ndステージ開場20:30 開演21:30
大阪公演|詳細

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