CLOSE
NEWS

川内倫子の写真展が恵比寿POSTで開催。出産という経験がもたらす写真への影響は?

decfhmgbapkmpjld

川内倫子「はじまりのひ」 ©Rinko Kawauchi

恵比寿のギャラリー「POST」。出版社ごとに企画や展示を行い、通常の書店ではお目にかかれない写真集や普段は見えづらい“出版社”の個性や世界観を感じながら本を見れるスペースです。ここで初めて、写真集を“出版社”という切り口でみる楽しさを教えてもらったという人も多いことでしょう。

同ギャラリーで5月13日(日)まで、川内倫子による展覧会が行われます。写真絵本『はじまりのひ』の刊行を記念したものです。

djfafnfpjbcccgmn

川内倫子「はじまりのひ」 ©Rinko Kawauchi

この展覧会に際しての、「POST」による言葉を以下に抜粋します。(一部補足しています)

本書(『はじまりのひ』)に収録されている作品は、主に出産という大きな出来事を経験した前後に撮影されています。その経験はおのずと、写真家の視点を日々の暮らしのなかで出会う風景や小さな生き物たちへと導いていきました。子どもを授かったことで生まれた気づきが、川内のみずみずしい感性を通して、写真と短いテキストとで織りなされる写真絵本となってあらわれます。いのちがひとつ生まれることと、いのちがひとつ終わることは、どこかでつながっていて、生きている時間には、大切なものに出会うことも、失うこともあるということ。でも、それらすべては新しく何かがはじまっていく、次の「はじまりのひ」でもあるのです。身近な出来事を被写体にしている点は、奇しくも彼女の初期作品「うたたね」に通じるところでもあります。初個展から20年ほどの歳月を経た節目の年に、妊娠・出産を経て初期作品の世界に還ってゆく。写真家自らの言葉を借りるならば、ここでようやく「一巡した」のかもしれません。この写真絵本は、これから自らの世界を切り拓いてゆく子どもたちに触れてほしい一冊でありながら、同時におとなたちにとっても共感を呼び、写真集としても存分に楽しめるものとなることでしょう。まるで、新しい一歩を踏み出そうとするすべてのひとに贈られるはなむけのエールのようです。

eoadehfkablogfkb

川内倫子「はじまりのひ」 ©Rinko Kawauchi

川内さんのほぼすべての作品には、生や死、命の輝きや畏怖…そういったものが奥に潜んでいるような気がします。プライベートでの大きな経験が、彼女の作風にどんな影響を与えているのか。そんなことを考えながら観るとおもしろいかもしれません。

Text_Shinri Kobayashi


川内倫子 / はじまりのひ
会期:4月27日(金)〜5月13日(日)
会場:POST
住所:東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間:12:00〜20:00
定休日:毎週月曜日(4月29日はオープン)

川内倫子「はじまりのひ」
価格:¥2,315+TAX
仕様:合紙並製本
ページ数:32ページ
写真点数:カラー20点
サイズ:B5変型(縦240mm x 横185mm)
出版社:求龍堂

川内倫子
1972年、滋賀県生まれ。2002年、『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞受賞。2009年には第25回ICP インフィニティ・アワード芸術部門を受賞するなど、国際的にも高い評価を受け、国内外で数多くの展覧会を行う。 最新写真集に『Halo』がある。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP > NEWS