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VACANTでライブとトークのイベントあり。ホンマタカシの『ニュードキュメンタリー』映画特集上映。

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写真家・ホンマタカシ氏の4作品からなるドキュメンタリー映像作品の特集上映が、12月10日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにて限定上映されます。2004年に公開された写真家・中平卓馬の日常を綴ったドキュメンタリー『きわめてよいふうけい』以降も、写真家として活動しながら、平行して映像制作を続けてきました。今回のイメージフォーラムの上映では、これまで美術館やギャラリーなどでインスタレーションとして発表されてきた作品を劇場用に再編集、『ニュードキュメンタリー』と題し、新作を含む4作品が上映されます。

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それに先立ち、11月23日(水・祝)に原宿・VACANTでイベントが行われます。その4作品の作品紹介とともに、美術評論家の椹木野衣さんと写真、映像、ヴィデオアートの中間領域の可能性について深く探っていくというもの。当日は、映画内の楽曲を提供したダスティン・ウォングさんによるミニライブもあり。

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ホンマ氏は『ニュードキュメンタリー』について下記のように話しています。

「ここで僕がニュードキュメンタリーと言っている、いくつかの映像は、いわゆるメッセージのはっきりしたドキュメンタリーではありません。ましてや物語のある映画とは全く異なります。
 
『映像の自生性』というものについてダイ・ヴォーンという人がエッセイを書いています。彼が言うには、映画創成期リュミエールの短い映像の中には、物語性と、もうひとつ、撮り手の思いを超えてカメラが写し撮ってしまった映像の自生性があり、それはまたもうひとつの映像の可能性だと書かれています。(そしてその実現不可能性にも)僕はその映像の自生性を信じています。例えば固定カメラが偶然写してしまったもの、作者の思い通りにいかず、自然現象に人間が不可抗力的に飲み込まれてしまうといった状況に惹かれるのです。それは今までやってきた写真でも同じことだと思います。僕はその可能性を写真と映画の間の何処かに見い出したいと思っています」

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この発言を読んで思い浮かべるのは、森達也氏が『ドキュメンタリーは嘘をつく』内で言及しているように、ドキュメンタリーは客観的な映像かといえば、そんなことはないということ。カメラに収める、収めないという判断、さらに編集することにより、ドキュメンタリーには必ず主観が入ってきます。

では、ホンマ氏の言う“自生性のある映像”とはどんなものなのか。そして、その映像はどんな性質をもつものなのか。それこそが“ニュー”ドキュメンタリーなのか。

この一夜限りのイベントは、写真や映像、現代アートに興味のあるひとであれば、その知的探究心を大いに刺激してくれることは間違いありません。予約は下記サイトを参照してください。

Text_Shinri Kobayashi


『ホンマタカシ ニュードキュメンタリー 映画特集上映』プレイベント
日時:11月23日(水・祝) 15:30会場/16:00開演
料金:¥1,500(in TAX)
会場:VACANT
住所:東京都渋谷区神宮前3-20-13
トークゲスト:椹木野衣(美術評論家)
LIVE:ダスティン・ウォング(ミュージシャン)

予約サイト:http://peatix.com/event/211348/view

『ホンマタカシ ニュードキュメンタリー 映画特集上映』公式サイト
http://betweenthebooks.com

ホンマタカシ
1999年『東京郊外』(光琳社出版)で第24回木村伊兵衛写真賞受賞。
2011年から2012年にかけて、個展「ニュー・ドキュメンタリー」を日本国内三ヵ所の美術館で開催。著書に『たのしい写真 よい子のための写真教室』(平凡社)がある。
2016年イギリスの出版社「MACK」より、カメラオブスキュラシリーズの作品集『THE NARCISSISTIC CITY』を刊行した。

椹木野衣
1962年、秩父市生まれ。同志社大学文学部文化学科を卒業後、東京を拠点に批評活動を始める。最初の評論集『シミュレーショニズム』(増補版、ちくま学芸文庫)は、90年代の文化動向を導くものとして広く論議を呼ぶ。また同時に村上隆やヤノベケンジ、飴屋法水らと挑発的な展覧会をキュレーション。主著『日本・現代・美術』(新潮社)では日本の戦後を「悪い場所」と呼び、わが国の美術史・美術批評を根本から問い直してみせた。他に1970年・大阪万博の批評的再発掘を手がけた『戦争と万博』(美術出版社)など著書多数。
近年は岡本太郎の再評価や戦争記録画の再考にも力を注いでいる。2007年から08年に掛け、ロンドン芸術大学TrAIN客員研究員として英国に滞在。

ダスティン・ウォング
ハワイで生を受け、2歳の時に日本へと移住。高校卒業までを日本で過ごし、大学進学のため再渡米。エクスタティック・サンシャイン、ポニーテイルでの活動を経て、ソロとしてスリル・ジョッキーと契約。足元に並べた多数のエフェクターを駆使し、ミニマルでカラフルなレイヤーを描き出していく万華鏡のごときギター・パフォーマンスは各所で話題となる。日米をまたにかけ活動し、2012年は朝霧JAMへの出演、さらには盟友であるダーティー・プロジェクターズ(2012年)、ビーチ・ハウスのジャパン・ツアー(2013年)のオープニングもつとめた。2013年5月には嶺川貴子との共作をリリースし、FUJI ROCK ’13に出演、さらにソロ5作目となる『Mediation of Ecstatic Energy』をリリース。 2014年には嶺川貴子との共作2作目『Savage Imagination』を発表し、デュオでの約1ヶ月に渡る北米ツアーも行い、2015年には初の中国ツアーも慣行した。近年はソロ、デュオの他、鈴木慶一with マージナル・タウン・クライヤーズのメンバーとしても活動した。

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