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vol.2

CONVERSE ADDICT

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新旧ファンを唸らす完成度、コンバース アディクトの目指す場所

およそ1世紀という歴史を持ち、今でも世界中で愛されているスニーカーといえば〈コンバース〉のオールスター。過去に様々な派生モデルを世に送り出してましたが、従来の物とは異なるアプローチで話題を集めているのが「アディクト」です。中毒を意味するこのラインについてじっくりと話を聞いてきました。

誕生のきっかけは販路の拡張と造形への追求

―元々「アディクト」企画が立ち上がった経緯を教えて下さい。

福地さん(以下福地、敬称略):ハイファッションなセレクトショップなど新たな市場で打ち出していける新規ラインを立ち上げようと思い企画しました。また、自分たちがずっと商品企画をしてきたので、オールスターの型を追求したいと思い提案しました。とはいえ、製品化までは本当にすんなり行かないことが多かったんですけど......。まずは単なる復刻品として完結したくなかったんです。かつてオールスターレトロというプロパーモデルをリリースした事がありました。それも日本オリジナル企画で70年代のモデルを蘇らせたものなのですが、「アディクト」へと繋がる前身のようなモデルだといえます。そのモデルをベースに色んなブランドとのコラボを通じて、改善すべき点などに気づいた面も多かったのでアディクトのモノ作りの参考にしました。

―いわゆる復刻ではないというお話でしたが、特に留意された部分はどこになりますか?

福地:60年代のチャックテイラーに見られるかっこいい雰囲気をキープしつつ、デッドストックにはない履き心地などスニーカーとしての機能性を持たせることです。ただし、優れた機能性を持たせても別物になってしまったのでは、チャックテイラーとして興味を引かれないだろうし、私共も履きたくないなと思ったので、クラシックな外観と機能面のバランスは慎重に考えました。

―機能面で特にキャッチーだと思ったのがソールなんですが、これはどういった意図で採用が決まったんでしょう?

福地:この部分も色々な案が出ました。素材の比率を変えたり厚みを変えたりも模索したんですけど、より機能面での追求とトピックス的なことを考えてビブラム社との共同開発に決定しました。

「アディクト」のためだけに生まれたソールで、耐磨耗性に優れているのはもちろん、ビブラムソールのアイコン的存在であるイエローのロゴも敢えて残しています。

―確かに一見すると分からないところが通好みな感じですよね。カップインソールとの相性も良くて、従来のモデルより格段に履き心地が向上していると思います。このビブラム社との試みは〈コンバース〉としても初めてだったんでしょうか?

福地:実は80年代にランニングシューズで「オデッサ」というモデルがあったんです。それは当時の最高峰の技術を投入したものだったんですが、それにはビブラムソールが実装されていました。今見ても新鮮なアシンメトリーデザインになっていて、未来を感じさせるフラッグシップモデルだったんです。「アディクト」も〈コンバース〉の究極のモデルとして作ったので、そういった符号というのも面白いかなと。外観の意匠はクラシックなまま、ビブラム社の施すベストな成分配合となっているのも、こだわったポイントです。

ーソール以外にも細かな仕様が随所に施されていますよね?

福地:そうですね。分かりやすい部分でいくとヒールパッチはその筆頭です。60年代のチャックテイラーに見られる3つ星デザインだけでなく、位置を通常のタイプより5ミリほど上にしてすり減り対策を講じています。文字などを立体的にしようかという案もあったのですが、オールドファン的な要望も考えて普通にしました。右足のタン裏にはプレイヤーネームを再現したり、インソールのデザインもかつてのデザインを踏襲していたりと細部にまでこだわっています。

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一見するとビンテージ然としている「アディクト」だが、中身は最新のテクノロジーが詰まっています。

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片側のタン裏にはプレイヤーズネームを記入できるような仕様になっています。

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着脱可能なインソールはデザインもオールド仕立て。クッション性も高く疲れにくく考慮されています。

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かつてリリースされていたモデルである「オデッサ」がこれ。今見ても古さを感じさせない秀逸なデザインが特徴。

今後も発展していく〈コンバース アディクト〉のラインナップ

―これからの展開はどのようになっていくのですか?

福地:最初に生成のキャンバス、ブラックのレザーを発表し、次に通称83カモと呼ばれているカモフラージュ柄のチャックテイラーを発売しました。基本のラインナップを示したことでモノ本来の良さというのが認知してもらえたと思います。今は希少価値も含めてデッドストックで当時のモデルを買おうとすると、状態も良くないですし価格も安くはないので、新品で機能性が向上したアディクトを、デットストックフリークにも履いていただければと思ってます。83カモなどはオリジナルを発見するのも至難の業ということもあり、おかげさまで高い評価をいただいています。履き込むほどにビンテージ感は深まりますし、なにより足に優しく丈夫だというのがポイントだと思ってます。今後はチャックテイラーを展開の軸として認知していただくのが前提ですが、様々な派生モデルが登場することも期待して下さい。

―ちなみに今回はチャックテイラーのカラー違いを展開するんですよね?

福地:はい。今までの逆配色というか、ホワイトレザーとブラックのキャンバスを展開します。どちらも世代や性別を超えた永世定番ですので末永く愛用していただければと思います。

―もう1つのはインパクトのあるマルチカラーですね。

福地:意外と落ち着いてみえるのが不思議なんですが、色味がキレイな素材をアッパーで同居させていることもあり、合わせる服を選ばない1足に仕上がりました。これも色褪せた頃にはビンテージのような雰囲気が出るようになってるので、ずっと履き続けていただけると思います。

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1)意表を突くマルチカラー。どんなスタイルやパンツにも合わせやすい配色となっています。¥17,850/  2)キャンバスのブラックはファン待望の一足。色褪せるくらいに履き倒して、風格を身に纏うようになれば完璧です。¥16,800/  3)先シーズンの逆をいくホワイトレザー。ステッチ色に工夫を施し唯一無比の存在感を示しています。¥24,150