Number 26
京都 河原町 たつみ

京都で味わう、老舗居酒屋の味。

勝手な思い込みで、"京都"と聞いて、背伸びして懐石料理なりすき焼きなりを食べなければならないかといえば、そんなわけはない。東の京、東京でも許されれば昼からでも呑みたい自分が、訪れた京都で、浮かれついでに昼から呑める素晴らしいお店に出会った。

阪急河原町駅のすぐ近く、河原町通の一本西、四条通から少し入った、裏寺町通の角に佇む、老舗大衆居酒屋「たつみ」。裏寺町通はその名のとおり寺町通の裏として、昔からゴミゴミとして、当時は比較的ガラが悪い通りだったらしい。たつみは元々その場所で風呂屋として40年以上前に開店し、岐阜県は高山出身でお酒の好きだった初代が風呂上がりに一杯飲めるようにと、立ち呑み屋として始まった。開店当初の名物だった樽酒は今はなくなってしまったが、店内は今も立ち呑みもできれば、座れるカウンターもあり、奥にいくとテーブル席と座敷まである、一人呑みにも家族連れにも対応してくれる、酒呑みの楽園のようなつくりになっている。そして、たつみの楽園たる所以はその店内構造だけでなく、昼の12時からという営業時間だ。

12時の開店から、夜10時まで休憩無しで営業。開店と同時に必ず誰かしらお客さんが現れ、マイペースに呑む方も、ご飯だけの方もいらっしゃる。昔は例えば土日の競馬帰りだったり、ガラが悪いかもしれなくても情に厚く、年輩の方が多かった客層も、最近は若者や女性の姿が増えた。話を聞かせてくださった3代目の上田さんは、お客さんに2代に渡って来店する方々がいる中で、古いお客さんから「昔はおしめを代えてやった」などと言われると、笑う。若いお客さんが増えても、だからと言ってチェーン店みたいにはできないし、気取らず、常連さんがゆっくり喋れて呑める店。ほぼ300円台か、200円や100円台のものまである、良心的過ぎる気がするアテの価格帯。

等身大の京都に触れながら、その心地良さに、酒がすすむ。そもそもの目的や観光するのを忘れそうな、ある意味危険な店だろうか。


京都 河原町 たつみ
住所:京都府京都市中京区
裏寺町通四条上ル中之町572
tel:075-256-4821
営業時間:12:00〜22:00
定休日:木曜日

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串揚げ380円。
香住直送の鯖へしこは美味で、お好みでご飯に乗せることも、お茶漬けにもできる。
昔からのメニューで、これも480円とたつみ的高級品ながら今もよくでる、牛すじどて焼き。
酒呑みパラダイス。
ボウダラと海老芋を焚いた、いもぼうは京都ならでは。480円はたつみでは高級品な気がするが、いもぼうとしては格安。からしか一味で。
これも京都な、はも皮ポン酢。常連さん、年輩のお客さんのお気に入りで、きゅうりと混ぜながら。
雑誌、広告、CDジャケット、ドキュメンタリーなどで世界各地のディープな場所やモノ、人を中心に紹介することで有名な写真家。ダライラマ14世を写真に収めたことでも知られる。
皆既日食以上のピークのないまま夏も終わり、それ以上のピークがないまま今年いっぱい終えてしまいそうで、すべての運を使い果たしたか心配な日々はmadfoot.jp「独壇場」にて。