デザイナー・ポールスミス week2

ポール・スミス自身について
ここ何十年も常にファッションシーンの最前線をひた走るデザイナー、ポール・スミス。彼のクリエイションの哲学や、ライフスタイルなどについて訊いた。
普段はどんなファッションをしていますか?
ポール:やっぱりスーツはよく着ています。自分の一日のスケジュールの中には、沢山の人と会ったり、どこかへ出かけたりと、多種多様なアポイントメントがあるので、そのどれにも対応できるように、というわけです。ただ中には、今日のようにウエスタンシャツで少しカジュアルにしてみたりとかもしますよ。今日は取材があるというので、少しかっちりとしたレザーシューズを履いていますが、そうでない場合ももちろんあって、デニムとジャケットというような日も多いですね。
想像もつかないんですが、ポールさんはどれくらいの数の服を持っているんですか?
ポール:ご想像通り、僕にもどれくらい持っているかはわかりません、数えたこともありませんしね(笑)。ただひとつ言えることはネクタイは3本しか持っていないですよということ。自分は毎シーズン、とても多くのコレクションを作っていて、その中にはもちろんタイもたくさんあるんですけどね。残念ながら自分は3本しか持ってないです。それしか締めません。
特にお気に入りの3本なんですね。
ポール:そうですね。バリエーション豊富な3種類ですよ(笑)。
先程ご自身でも仰っていましたが、毎シーズン本当に沢山のコレクションを作っています。そのモチベーションはどのようにして生まれるんでしょうか?
ポール:そうですね、まず一つ言えることは、自分は本当に何にでも興味が持てる性格だということ。自分でも好奇心は旺盛な方だと思います。あとは、自分の趣味と仕事を結びつけることが、すごく得意でもありますね。
よく訊くフレーズではありますが、それは具体的にはどういうことなんですか?
ポール:例えば...ピンクとオレンジと赤の色を使った絵画を見て、ああきれいだなあと思いますよね。それでしばらく経って、新しいショップのコンセプトについてミーティングをしているとしましょう。そのときにその絵画のカラーのことを思い出して、ちょうど今の時期、その三色がすごく素敵だから、それを上手く使ってみようかな...という発想に至るというか。常に物事の延長には仕事があって、境目がそんなに無いような感じですね。だから特別意識しなくても、仕事に対してのモチベーションというか、アイデアに繋がっているんだと思います。
なるほど。そんな貴方が今までのキャリアの中で、特に印象的だった出来事とは何でしょうか?
ポール:ちょっとありきたりかもしれないんですけれど、最初にオープンしたお店、一番最初のファッションショーなどなど、やっぱり一番最初に何かをやったものというのは自分にとってすごく印象深いですね。何かこう一つのゴールに到着したような気持ちになれるので。
次回は日本についてです。