来てもらえれば、何かが得られるようになる店。

ー外からは中の様子が見えにくいし、行ったことのない人には入りにくい店という印象もあると思うんです。そこら辺はどう考えてます?

篠田:それは冒頭でも言ったように、元来のコンセプトがそうでしたからね。週末は別として、店自体のハードルは低くないと思いますね。
吉原:今はかつて当たり前だった店側とお客さんとの交流が希薄になってきちゃってるから、店頭に立ってるとちゃんとした接客をされたいっていう人が分かってくるようになるんだよね。
篠田:やっぱ内側から楽しんでるっていうのはお客様にも伝わりますよ。栗野なんて今でも足繁く来店して、ものすごい量を買っていきますよ。自分でバイイングしてきた店頭に並べたアイテムを、自分用にまたバイイングするという離れ業を誰よりも実践しています。
森山:またこの店は何かバカなことしてると思ってもらえたら本望ですね。
吉原:まだまだやりたい事いっぱいあるからね。以前フイナムでも紹介してたアキバにあるメイドさんがジーンズを売る店なんて最高じゃん? そういうの参考になるよね。森山がルパンのコスプレで店に立ったりしてもいいのかなって思えてくるよ。
篠田:ターミネーターとかスターウォーズのミレニアムファルコン号が店内にあったくらいですからね。

ー本当にディストリクトは扱っているアイテムの幅が広いように思えます。〈クロムハーツ〉の高額商品と〈ニューバランス〉のルームシューズが横に並んでも違和感がないですからね。最後に上手くまとめていただけると助かります。

篠田:要はバランスなんです。ドレスとカジュアルの垣根だけじゃなく、そういう細かい部分も俯瞰で見て楽しめるような提案をしていきたいです。
吉原:トラッドマインドを持っていれば、あとは自由に解釈してファッションを楽しめるからね。こちら側もやっててレスポンスがあると嬉しいし、何だか自分に許可が下りたような気がして楽しくなる。
森山:10周年だからといって、ここで一区切りとかではなく、ずっと進化していく過程なんですよね。売り場には様々な仕掛けがあるので、これからも一緒に盛り上がっていければいいと思います。

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ディストリクトには今までの商品開発で使われた貴重なアーカイブが保存されています。

量販店化しつつあるセレクトショップの中で異彩を放つディストリクトですが、試行錯誤の果てに確立したスタイルを大事にしているのが分かりました。今も進化を続ける同店からは、今後も目が離せそうもないですね。

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