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ファッションやフードなどライフスタイルに関わる様々なもののPR、プロモーションを手掛ける「muroffice」のスタッフが綴るブログです。
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出会いたかった、もっと早く。
2013.07.30
もどりづゆ。
この言葉だけ聞くと、"戻りがつおの出汁が効いたつゆ"的なイメージを頭の中に想像してしまいがちだが、漢字で書くと「戻り梅雨」。そう。梅雨が戻ってくるという意味である。梅雨が明けたあとに梅雨前線が南下し、再び梅雨のような天候状態になることを言うらしい。そして今年の関東地方がまさにソレである。
こうなってくると困ってしまうのが、洗濯である。せっかく梅雨が明けたかと思いきや、なんだかすっきりしない天気が続き、洗濯物を干して外出するのもなかなか勇気がいるのである。
"洗濯物"で思い出したが、現在murofficeでPRをしている『Sisii』というブランドのレザー製品に使用されるレザーが凄い。何が凄いってバシャバシャ水で"洗えちゃう"のだ。「なぜ洗えるのか?」に関しては企業秘密の部分があるらしいのだが、何がともあれ革を水で洗えるのだから凄い。これまで「ずっと長く着たいのに...」
と思っていたレザージャケットなど結構あったのだが、こんなレザージャケットにはもっと早く出会いたかった。
先日後輩が「ムロさん、美味い中華料理屋があるんですよ」となんだが鼻につく感じで得意げにつっかかってきた。大きい声で言えるレベルではないが、こんな僕もそこそこ美味いものを食べてきた。言わば、ちょいとした"グルメ"である。そんなことを知ってか知らぬか、得意げにつっかかって来たのである。そんなに言うのであれば連れてってもらおうじゃないか。つい先日まで蒙古斑がケツにあったような青二才である。どうせ、その辺の中華料理に毛が生えたレベルに違いない。都内某所から歩くこと10分。前を歩く後輩の脚が止まった。
「ムロさん、ここです」
その後輩が指す指の先をみると、そこには大きな看板が。
『バーミヤン』
ふざけるのもいい加減にしてほしい。僕は何も言わずに踵を返すと「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さいよ!マジで美味いんですから!」と止めに入ってきったが、そんなこと知ったことではない。こんなにバカにされたのはその週に入って初めてだった。(前週には部下の嶋田にタメ口をきかれていた)
僕が6歩ぐらい歩いたときぐらいだろうか。後輩は僕の背中にこんな言葉を浴びせてきた。
「食べたことあるんすか?」
僕はその言葉に虚をつかれて後輩の方に向き直った。
「ムロさん、ちゃんとバーミヤン食べたことあるんすか?」
無かった。僕はバーミヤンを食べたことが無かったのだ。
「ほら、やっぱり。ムロさん、騙されたと思って一度食べてみて下さいよ。」
僕はその言葉に返す言葉も見当たらなかった。
後輩に促されるように僕は店内に入り、席に座った。「すいませーん」と後輩の声が店内に響くとすぐに笑顔の店員がやってきた。
「焼餃子とぉ、えーっとチャーハンとぉ、豚肉ときくらげの玉子板目とぉ、あ、あとマーボー豆腐と...」
後輩は好きなようにオーダーし始める。ふてくされる僕に後輩は気付いたのか「ムロさん、何食べます?」と聞いてきた。僕は「任せる」とこれまたふてくされた声で返すと、後輩はいたずらな笑みを浮かべながらオーダーを続けたのだった。
5分もしない頃だろうか。「お待たせ致しましたぁ」という店員の声とともに、『豚肉ときくらげの玉子炒め』と『チャーハン』が運ばれてきた。中華料理はスピードが勝負。しかしいくらなんでも出てくるのが早過ぎる。怪しそうに料理を見る僕に後輩は「ムロさん、どうぞ」と言って来た。僕は目の前に置かれた豚肉ときくらげの炒め物に箸を伸ばし、口の中にそれを運んだ。
美味い。美味いではないか。きっと「それ見たことか」という顔で後輩は僕の顔を見ていることだろう。しかし、そんなこと今は関係ない。今食べたばかりの『豚肉ときくらげの玉子炒め』の横に置かれた『チャーハン』が気になってしかたがない。僕はレンゲを手に取り、山盛られたチャーハンをひとすくいし、口に運んだ。これまたとてつもなく美味いではないか。
まだか。後輩がさきほど頼んでいた『マーボー豆腐』はまだなのか。しかし焦ることはない。目の前の『豚肉ときくらげの玉子炒め』を片付けたあとでもよいではないか。
「お待たせしましたぁ」
来た!待ってましたマーボー豆腐!マーボー豆腐の皿がテーブルに着くか着かないかぐらいのタイミングで僕は既にレンゲでマーボー豆腐をすくっていた。一思い口に運ぶ。美味し!これまた美味し!ほどよく辛くて、その辛さがまたふた口目を誘うのだ。そして、僕がふた口目のマーボー豆腐を味わった時だった。
「美味そうに食べてるじゃないすか」
ハッと我に返る。一瞬誰の声かわからなかったが、それが後輩の声だと気付くのにそう時間は要さなかった。そこに座る後輩はまるで『エヴァンゲリオン』の碇ゲンドウのように僕を見ていたのだった。
羞恥心だ。圧倒的な羞恥心が僕の心を満たした。しかし、これだけは目の前の後輩に言いたかった。僕は喉から絞り出すようにこう発した。
「出会いたかった...もっと早く...」
『Sisii』のレザージャケットは、この時と同じぐらい早く出会いたかったかもしれない。
ムロフィス プロモーションプランニング
中室 太輔
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