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俳優・赤楚衛二、27歳の本音。なぜベンチュラに惚れたのか。
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俳優・赤楚衛二、27歳の本音。なぜベンチュラに惚れたのか。

1957年、世界初の電池式腕時計として生まれた〈ハミルトン(Hamilton)〉の「ベンチュラ」。左右非対称の斬新なフェイスは多くのファッション好きを虜にし、エルヴィス・プレスリーをはじめとするスターも魅了してきました。「映画にも出てくる時計で、背景を知ってからさらに欲しくなったんです」と語るのは赤楚衛二さん。どこか親しみを感じる等身大の演技でいま時代の波に乗る若手俳優のひとりです。プライベートでも愛用していると言う彼は「ベンチュラ」を腕につけ、なにを感じ、なにを想うのでしょうか?

  • Photo_Mai Kise
  • Styling_Arata Kobayashi(UM)
  • Hair&Make up_Rumi Hirose
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Ryo Muramatsu

Interview with Eiji Akaso 撮影がクランクアップしたときに、自分へのご褒美として。

ー 普段、赤楚さんはどんなファッションが好きですか?

赤楚:基本的にラクな格好をすることが多いですね。ちょっと緩めのサイズのものを好んで選んでいます。あとは長く着られるかどうかも、服を選ぶときのポイントですね。友達と情報を共有したり、あとは雑誌も読んだりしながら情報を得ています。

ー 撮影現場に行くときと休日で、着る服は変わりますか?

赤楚:休日のほうががんばっていますね。現場だと、到着してすぐ衣装に着替えちゃうので。脱いだり着たりしやすいものを選びがちなんです。休日はファッションを楽しみたいから、着ていて気分の上がる服を手に取りますね。

ー 好きなブランドはありますか?

赤楚:ブランドものではありませんが、古着を買うことが多いですね。昔、アルバイトをしていたときは、お金がないから値頃でいい服となると、やっぱり古着に行き着くんですよ。デザインはもちろん、丈夫につくられているものが多いから、長く着れるものがたくさんあります。

ー 時計は普段からずっとつけているんですか?

赤楚:そうですね。仕事の日も、休みの日も、変わらずにつけていますね。それこそ外に出るときのスイッチのような役割ですね。

ー つけることによって背筋がスッと伸びるような。

赤楚:そうなんですよ。大人の証というか、ぼくにとってはそういうもので高校生のときから時計は欠かさずつけてますね。

ー 赤楚さんはプライベートでも「ベンチュラ」を愛用されているとか。

赤楚:『仮面ライダー』シリーズがクランクアップしたときに、自分へのご褒美として買いました。はじめて見たときからずっとカッコいいと思ってて、ぼくはシンプルなもののほうが好きだから、すごくタイプだったというか(笑)。それで『仮面ライダー』の撮影が終わったら買おうってずっと思ってたんです。

ー 他に選択肢はなかったんですか?

赤楚:いろんな時計を見たんですけど、友達と被りたくないっていうのもあって。ずっと憧れていたんです。フェイスのデザインがシンプルなのに特徴的で、腕まわりのアクセントになるなって。時計自体がアクセサリーのようにもなってくれるところが気に入ってますね。普段は蛇腹のベルトをつけていて、その都度留め具を外さなくてもスムーズに付けられるところもラクでいいんですよね。汗をかいても気にならないですし。でも今日つけたレザーベルトもいいですね、大人っぽくて。

ー 「ベンチュラ」は1957年に誕生した、世界初の電池式時計としても知られています。エルヴィス・プレスリーが公私にわたって愛用していたことでも有名ですが、そうした歴史的な背景も赤楚さんの心をくすぐるなにかがあったりしますか?

赤楚:エルヴィス・プレスリーがつけているのを知って、より欲しくなりました(笑)。あとは『インターステラー』(2014年、SF映画)でも、主人公が〈ハミルトン〉の時計をつけていて、それでこのブランドへの愛も深まりましたね。

ー 先ほど「レザーベルトは大人っぽくていい」と仰っていましたが、今回のコーディネートはそれに応じて落ち着いたムードがあって、何かを考えるような赤楚さんの表情が印象的でした。こうしたスチール撮影のときも、演技している感覚はあるんですか?

赤楚:なにか内側から湧いてくるというよりも、この空間や衣装、「ベンチュラ」、それに陽の光や風の気持ちよさなど、外的要素を頼りにその世界へと入っていくような感覚ですね。光も時間によって変化していくので、その瞬間に合わせたものを表現していきたくて。だから自分が主役ではあるんだけど、自己主張を強くするのではなくて、その場に馴染むような感覚を意識しましたね。

ー カメラを向けられているとき、どんなことを考えていたんですか?

赤楚:時計の撮影だし、時間を気にしながらなにかを待っている、というような設定を勝手につくり上げていました。普段は役があって他人を演じるわけですが、今日はそうした役がないので、自分のようで自分じゃない、なんだか不思議な感覚がありましたね。

ー その一方で、役者として演じるときは、どのように役づくりをしているんですか?

赤楚:この役のひとはどんな飲みものが好きで、普段どうやって歩くんだろうとか、そういうことを考えますね。いま『SUPER RICH』というドラマで春野優という役を演じているんですけど、彼は貧乏学生でお金を使えない苦しさを味わっているんです。昔、ぼくも辛いときがあったので、分かるんですけど、この役をいただいて、お金を使わない生活を試みたりとか。普段からそうしたことを意識すると、いざお芝居をしたときに、思ってもいない化学反応が生まれたりするんです。

ー 昔、経験があることでも、再び体験することで、なにか得られるものがあるかもしれないということですか?

赤楚:当時の自分と重なる部分はあるんですが、それを頼りに演技をしてしまうと自分の経験が前に出てしまうんです。すると、今後キャラクターが成長していったときに役とのズレが出てしまうような気がして、なるべく自分が表に出ないようにするためでもありますね。

ー 撮影現場では無邪気だそうですね。口笛を吹いたりしているとか。

赤楚:吹くことによって自分のテンションを上げているんです(笑)。あとは現場の空気も暖かくしたいと思って。みんなに気楽になってほしいという気持ちがどこかにあるのかもしれません。だけど、それができるのも本当に共演者の方々やスタッフの皆さんがいいひとたちだからなんです。

ー ご自身が丁寧にキャリアを積み重ねてきたからこそ、そうしたことができるようになったとも感じます。

赤楚:確かに、昔の自分だったらできないですね。キャリアを積むことによって責任感も増しますし、共演者もベテランの方々が多くなってきてプレッシャーに押しつぶされそうになるんですけど、そればかり考えているといい演技はできない。だからそれをプラスに考えるようにしていて、素敵な役者さんやスタッフの方々と一緒に仕事できることに喜びを感じたり、いい役を与えてもらったことに感謝しながら日々過ごしています。そうやってポジティブでいるから、口笛を吹いたりもできるのかもしれないですね。いい意味で気を遣わなくなったというか。

ー それによって自分らしい演技ができるようになったと感じますか?

赤楚:それは感じます。初対面の方々も多いんですけど、それで萎縮してしまうとお芝居もしづらくなります。だけど最初から自分をさらけ出しちゃえば、怖いものがなくなるんです。

ー 赤楚さんが思う “自分らしい演技” とは、どういった演技だと考えていますか?

赤楚:主観的に意識しているのは、とにかく感じたまま動くこと。一方で、客観的にまわりの方々から求められているのは、普通っぽさなのかなと。どこにでもいそうなお兄ちゃんみたいな感じというか。目立たず、とにかく馴染むような。

ー そうしてまわりに求められる役者像と、ご自身の理想像はリンクしているのでしょうか?

赤楚:いやぁ、あまりしてないですね…。

ー 赤楚さん自身はもっと目立ちたい?

赤楚:昔はブラッド・ピットやライアン・ゴズリングみたいになりたいと思っていた自分がいて。なんだか真逆だなぁと(笑)。目指すものがあるのはいいことだけど、憧れのひとになるのって、結局はただの真似事でもあると思うんです。自分とまったく同じ人間はいないのと一緒で、いまは半分諦めているというか、自分らしさを大事にするようにしています。この先、自分がどんな役者になるのか、それを楽しみにいまは一生懸命がんばっていますね。

ー 『SUPER RICH』では町田啓太さんと再共演を果たしましたが、おふたりは仲いいんですか?

赤楚:仲よくさせてもらっています。すごく尊敬しているし、安心して演技ができるので、こんな心強いパートナーはいないですね。だから今回またご一緒できてて本当に嬉しいんです。お芝居でも刺激を受けますし。

ー 刺激を受けながら、いろいろなものを吸収していると。

赤楚:まだまだぼくは発展途上なので、完成していないですね。だけど、完成したいとも思ってないんです。完成したぼくの芝居は、ぼくのものでしかないのかもしれないけど、それはそれで表現の幅が狭まってしまうことになりかねない。ちょっとやりづらかったりとか、できるかどうか不安な役でも、いまはチャレンジしたいという気持ちのほうが大きいですね。

ー 未完成でありつづけることで余白を残すというか。

赤楚:そうですね。凝り固まらずに、柔軟でありたいです。だから役者としての目標もあまりつくらないようにしていて。昔、剣道をやっていたことがあって、一級を取ることを目標にしていたんです。それでいざ一級になったときに、燃え尽きちゃったんですよ。それ以来、目標とかを決めないほうがいいんだということに気づいて、役者になったいまも決めないようにしているんです。

ー これまでの経験に基づいた考えなんですね。

赤楚:そうですね。まずは地に足をつけて自分と向き合うことが大事なので、いまはそれをがんばるしかないと思っています。

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