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『I LOVE FND ボクがコレを選ぶ理由』刊行記念企画。 「ハイロック」とは何者なのか。ハイロックが語る。
2012.04.04

―こうやって話を伺うと、ハイロックさんがインターネットの世界で暴れているのが見て取れますね(笑)。それでは本題である本についてなのですが。どういった経緯で作ることになったのですか。
ハイロック:そもそも物を紹介するウェブサイトを運営するくらい、物が好き。もちろんウェブも1つの物のカタチではあります。けど、基本的には見えない世界じゃないですか。それならきちんとアーカイブとして、物にして残したいというのが出発点です。4年前くらいからそんなことを考えていたら、独立後にマガジンハウスで仕事をする機会をいただいて、書籍部の方がFNDを目にしてくれて、という感じで。
―そもそもウェブで見られる物を本にする、その理由を教えてください。
ハイロック:本が大好きですからね。電気も使わないし、ネットも使わない、どこからでもアクセスができる。本がウェブ以上に優れている点って、たくさんあるじゃないですか。結果論ではありますけど、実際に刷り上がってきた物を見ても、物の印象がまったく違いますし。
―ウェブと紙、それぞれに短所・長所がありますからね。
ハイロック:ウェブの構造だと、どうしても最新性が求められてしまう。一番最初のページに戻ることなんて、ほとんどありませんからね。本の場合はすべてのページが同じ時間の軸に立っているんです。
―ちなみにこういった本がたくさん出ているなか、自分らしさというのは意識しましたか。
ハイロック:こういう本、大好きなんです。ほとんど持っていますし。だから対抗意識なんて無かったですね。むしろ、FNDの体裁を壊して、どのように本に落とし込むのか、それだけに集中していました。
―掲載された350点のセレクトの基準を教えてください。
ハイロック:FNDの過去7年間のアーカイブのなかから自分の思い入れの強いものと、FNDには載せていないけど自分の身の回りに置いてある物ですね。
―7年間って膨大ですね。
ハイロック:データベースの番号を見る限りでは6000アイテムくらい。本を作るにあたって、きちんと読み返したら3日間かかりましたね。逆に3日で読めてしまったとも言えるんですけど(笑)。
―FNDを見返して、感じ方の違うプロダクトってありますか。
ハイロック:そういうのは結構ありました。少し早かったな、なんでポストしたんだろう? とか。
―原稿はすべて自分で書かれたのですか。
ハイロック:そうですね。そこがポイントでもあるので。主観的な文章なので、人に任せられない。もちろんウェブで掲載したときとは文章も変えていますし。実際は人に任せたくなるくらい大変ではありましたけど(笑)。
―対談もいくつか収録されていますが、これはどういった意図があるのですか。
ハイロック:もともと物が好きで繋がっている方々をお招きして、ですね。各々の視点があるので、話を聞くと面白いんですよ。宇一さんとかはスケールが違いすぎて、圧倒されることもあります。
―完成品を手に取ってみていかがですか。
ハイロック:率直に感動しました。想像通りの出来映えで。作っている最中は、当分やりたくないと思っていましたけど、出来上がってみるとまたやりたくなりますね。
―著作を作るというのは編集者から見ても、とても羨ましいです。帯の文章はNIGO®さんが寄せていますね。
ハイロック:僕の物選びのフォーマットはNIGO®さんによって、より形作られたというのはありますからね。物を通じて憧れていた方と、20年かけて肩を並べられるの、とても感慨深いです。

―セレクトショップ時代にベースを作って、NIGO®さんによってアップデートされ、確立されたわけですね。それでは最後にハイロックさんの今後について伺いたいのですが。
ハイロック:個人的にはウェブをやらない、というのはマイブームなんです。
―ええーーっ!? 散々、ウェブ上で情報を発信してきたのに、なんでまた?
ハイロック:独立したのがキッカケです。時間を自由に使えるとはいえ、テレビやパソコンをイジっていれば、時間はあっという間に過ぎていきます。だから、インターネットは1日30分以上はやらないと決めたんです。
―そうなんですね。そんな生活、想像できません。
ハイロック:気になるのは最初だけですよ。慣れてしまえば、楽しいですよ。画面の前にいた時間を使って、本屋に行ったり、アップルストアをチェックしたり。高城さんが言うように、時間を作るには、何かを辞めないといけないんです。
―とはいえFNDというサイトを通じて、多くの人をウェブに依存させてきたわけですよね。
ハイロック:(笑)。やり尽くしたというのはあるかもしれません。実際に僕自身が依存していましたから。でも、今ではFreshMailという有意義な情報が入ってくるシステムがあるので、パトロールする必要も無いんです。ウェブは辞めましょう、と伝えていますし。
―確かに現実世界にこそ、たくさんの刺激はありますからね。今後の活動として言える範囲で具体的なことを教えていただけますか。
ハイロック:今のスタンスを崩すことなく、いろんなことに挑戦しようかなと。リルログも力を入れていこうと思っています。
―なるほど。楽しみにしています!
ハイロック(ハイロック)
メディアクリエーター、Fresh News Delivery 管理人。アパレルブランド「A BATHING APE®」のグラフィックデザインを経て2011年独立。表現の場を選ばないメディアクリエーターとしてのキャリアをスタート。アップルを代表するグッドデザインなプロダクトやガジェットをこよなく愛し、月刊誌「iPhone Magazine」での連載「FRESH TALK」も執筆中。本業の傍ら運営する情報サイト「Fresh News Delivery」は月間100万PVの超人気サイト。あらゆるメディアにおいて、FRESHな情報を発信し続けている。
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