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BIG YANK The Third Edition 5人の好事家デザイナーがアレンジした、それぞれのビッグヤンク。 Case4_今野智弘

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〈ビッグヤンク〉コラボレーション企画の4回目は、ヴィンテージフリークとしても有名な〈ネクサスセブン(NEXUSVII)〉の今野智弘氏。未だにアメリカへヴィンテージを探しに行くくらいのもの好きで、“Multiple Maniaxx & Technixx”をコンセプトに、ブランドは今年で15周年を迎える。リプロダクトとは無縁なクリエーションながら、随所にヴィンテージを深く知る今野さんならではの意匠が垣間見られるコレクションだ。今回の〈ビッグヤンク〉のプロダクトも、ヴィンテージ愛を感じられる仕上がりとなった。

―今野さんと言えば、同世代のクリエーターの方たちの中でも群を抜いてヴィンテージがお好きな印象があります。そもそも古着が好きになったきっかけは?

今野:地元の隣町が津田沼なんですが、元々ヴィンテージの土壌があった街だったんです。当時「ガレージセール」という老舗ショップがあって、そこで働いているスタッフの方や出入りする先輩たちが格好良くて。いわゆるチーマーの走り的な不良の人たちが全身ヴィンテージでキメてて、その雰囲気にやられてのめり込みました。当時の地元はちょっと変わっていて、駅前を全身アメカジで歩くと、必ず不良の方々のご指導が入ると言いますか…親交がないと歩くこともままならない(笑)。だからこそそういうスタイルにどこかステータスを感じていたのかもしれません。

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—おいくつくらいの時だったんですか?

今野:確か中学3年生の冬休みに初めて行って、高校に入りたてのときからはかなり通い詰めました。「ガレージセール」に4つ上の店長の方がいて、その人がセンスもいいし、顔もかっこいいしで、憧れの存在でしたね。また千葉には「ホワイトヘッドイーグル」というショップがあって、そこで働いていた二つ上の先輩達にも、いろいろと教えてもらいました。

—やはり〈ビッグヤンク〉を知るのも早かったですか?

今野:変わったポケットのワークウエアブランドだなというのが第一印象でした。今みたいに珍しいブランドというイメージではなかったですね。高校生のときに、シアトルに短期で海外留学に行ったんです。ほとんど英語の勉強をすることもなく、フリーマーケットに通っていました。日本に戻ってきて、そこで買った〈リーバイス〉のショートホーンのデニムシャツと交換したのが、〈ビッグヤンク〉のガチャポケのシャツでした。残念ながら象徴的なディテールのひとつであるストームカフスがカットオフされていましたが、着たときに意外とおもしろくて、気に入って着ていました。

—意図せず〈ビッグヤンク〉に行き着いたわけですね。

今野:偶然ですね。その後もヴィンテージ屋さんで、時折見かけて、徐々に値段が上がってるなという印象だったのですが、いつのまにか手の届かないレベルになってしまいましたね(笑)。

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—今日お持ちになった〈ビッグヤンク〉のヴィンテージはかなり珍しいですよね?

今野:そうですね。これは今回の企画の元ネタになったもので、ガチャポケのシャツでも、後ろのヨークが大きい上に、菊穴がダイヤモンド型になったレアな仕様です。「ベルベルジン」の藤原裕くんからこの存在を教えてもらって、出たら教えて欲しいとリクエストしていたら、たまたま見つかって。でもかなりボロボロな状態だったので、芯地にバンダナを使ってリペアをしたんです。

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—それはおもしろいですね。今野さんのヴィンテージ愛を感じます。

今野:実はその前〈リーバイス〉のセカンド(507XX)でやったことがあって。ただその頃、誕生日の後輩が事務所に来て「なんでも好きなの持っていけよ」と太っ腹に言ったら、見事にそれを持っていかれました(苦笑)。しかも贅沢にも動物柄なんかを使っていたので…。

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—それはすごいですね(笑)

今野:ヴィンテージバンダナのストールを作ったのも、うちが一番早かったという自負がありますね。そういうこともあって、今でもバンダナは意識的に使っています。あとはバンダナを使ったリメイクを得意とする工場さんとも懇意にしてもらっていて、その存在もすごく大きいですね。

—でもこういう古着特有のテイストを工場の方に理解してもらうのも大変ですよね。普通のおばちゃんなんかがやりますから。

今野:そうですね。だからなるべくたくさんの資料を持って、工場まで行き、そこでじっくりと職人さんたちと話したりもします。そうしないとなかなか難しいですよね。

—ご自身が所有するヴィンテージのバンダナを持ち込んで、作ったというのもすごいところです。

今野:バンダナはかなりストックしていたのですが、仕方のないことですが、一気に減ってきましたね(苦笑)。でも今回も納得のいくものが作れましたし、自由にいろいろと提案を受け入れてくれた「サーティファイブサマーズ」さんに感謝です。

—ヴィンテージ好きの今野さんらしさが非常に出ていますよね。

今野:うちの地元は、友人関係とものを同じ様な観点からみる傾向が非常に強くて、破れたくらいで着なくなるというような感覚は御法度でした。自分の選んだ仲間とも喧嘩をしながらもとことん向き合うように、自分の気に入ったものも、リペアしながらとことん着る。そんな価値観が、このバンダナリメイクに繋がったのかなと思います。古着好きの方はもちろん、きっちりとサイズ感も自分なりに今っぽく作りましたから、いろんな方に楽しんで頂けると思っています。あとはバンダナの柄が、ひとつひとつ違いますから、じっくりと選んで頂けると幸いです。

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BANNDANA SHIRT ¥26,000+TAX