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What feel about Dickies? ディッキーズという存在。 渡辺真史の場合

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ワークウェアのパイオニア的存在として、世界中でその名を知らしめる〈ディッキーズ(Dickies)〉。武骨でタフなアイテムは、ワークウェアという概念を超え、ファッションアイテムとしての認知を高めている。日々トレンドを作り出すファッションクリエーターたちは、このブランドのアイテムをどのように捉え、ワードローブへ取り入れていったのか? 著名クリエイターに、〈ディッキーズ〉との出会いと、ブランドへの想いについて話を聞いた。

Photo_Satomi Yamauchi
Edit_Yuichiro Tsuji

一緒に何かしたいという想いがあった。

—渡辺さんがデザイナーを務める〈ベドウィン & ザ ハートブレイカーズ(BEDWIN & THE HEARTBREAKERS)〉と、〈ディッキーズ〉のコラボレートアイテムである「トリップスター」と「ジェシー」はどういった経緯で生まれたアイテムなんですか?

渡辺:あれはアメリカのストリートでスケートをしたりBMXで遊んでいる子たちからインスピレーションを得て作ったアイテムです。彼らはそれぞれの遊びをプレイしやすいようにパンツの裾を切って安全ピンで裾幅を調整していて、そのシルエットがすごく格好良かった。自分のブランドでもああいったアイテムをリリースしたいと思って作ったのがそもそものきっかけです。

—そのストリートの人たちが〈ディッキーズ〉をカスタムしていたということですか?

渡辺:〈ディッキーズ〉をはじめ、軍パンや、無名のブランドのものまで幅広くカスタムしていました。そんな中、太いシルエットで股上が深く、タフな生地を使用しているという共通点を見出したんです。

—単純に自分たちだけで作るという方法も選択肢としてあったと思うんですが、〈ディッキーズ〉をパートナーに選んだのはどうしてなんですか?

渡辺:僕自身が10代の頃から〈ディッキーズ〉のワークパンツと慣れ親しんでいて、機能的な部分ですごくリスペクトしているし、単純に自分のルーツでもある。だから何か一緒にしたいという想いをずっと抱き続けていたんです。いま仰られたように、実際に自分たちだけでアイテムを起こすこともやってみたんですが、やっぱりそれだけじゃ物足りなかった。

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—〈ディッキーズ〉でないとアイテムとして成立しないと。

渡辺:そうです。「スコッチガード」の加工が施されたタフな生地や、絶妙な股上の深さ、あとは太いベルトループなど、それらを似せて作ることはできるけど、本物にしか出せない良さがある。それに、〈ディッキーズ〉が持つタフなブランドイメージは唯一無二ですから。

—2007年の初コレクションにてあのアイテムがリリースされたことで、〈ディッキーズ〉がより広い層へ浸透するとともに、コラボレートするブランドも増えましたよね。

渡辺:「トリップスター」が新しいコラボレートの形として、良い例になったんじゃないかと思っています。それまでは「874」をベースにちょっとしたプリントを足すとか、刺繍でワンポイントを入れるとか、そういった些細なアプローチのコラボレートが多かった。それに対して僕たちのアプローチは、シルエットを大きくモディファイした大胆なもの。これが浸透したのは〈ディッキーズ〉の良い部分を消さないようにこだわったからこそだと思います。僕たちにとっても、「トリップスター」と「ジェシー」は重要度の高いアイテムなんです。

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