FEATURE |
Interview with Frank Leder 生粋のアルチザンデザイナー、 フランク・リーダーのものづくり哲学。

frank_08.jpg

ー〈フランク リーダー〉を語るうえで欠かせないルックについて教えてください。

僕にとってのルックビジュアルはキャットウォークのショーに価するものなので、ものすごく大切な存在です。今自分が考えてる思いを全てそこで表現することができますし、ルックを作るのは毎回とても楽しいです。

ー毎シーズン、きちんとコンセプチュアルなテーマがあって、それが見事にルックに落とし込まれていますよね。テーマはどのようなところから着想を得るんですか?

frank_09.jpg
frank_10.jpg

いつも小さいノートブックを持ち歩いてて、思いついたものを書いたりとか、友達のアーティストと話していて刺激をもらったりとかでしょうか。そういった取り留めのないメモをある時見返して、何年かの時を経て、昔のアイデアが採用になることもあります。また、古いアンティークの本が、スタジオにずっと置かれているのですが、以前はピンとこなかったようなことでも、今見てみると新鮮に感じる、というようなこともありますね。

ー具体的には、歴史だったり職業だったりがテーマになることが多いような気がします。やはりそういった事象に関心が高いんですか?

frank_11.jpg

そうですね。今はもうなくなってしまったユニークな風習や職業などに興味があるので、そうしたことを徹底的に調べて、コレクションに落とし込むというようなことをしています。そんなとき、自分がドイツのカルチャーのアンバサダーになったような気分になるんです。他国であまり知られていないそうした文化をほじくりだして、みんなに紹介することに喜びを感じますね。

ードイツファッションの現状はあなたの目にはどのように映りますか?

ドイツは、ベルリンの壁で東西に地域が分断されたということもあって、大きい工場ではなく規模の小さい工場がたくさんあります。ただ、それが先ほども言いましたが、どんどんなくなってきてしまっているんです。戦争で技術が伝承されていかなかった、という側面もあります。今生き残っている工場は、例えばハンターとかフィッシャーマン用のものだけを作っているような、ニッチなこだわりを持っているようなところが多いかもしれません。これが例えばイタリアなんかだと、様々な種類の工場がわりと簡単に見つけられると思うのですが、ドイツではまずそれがなかなか難しいです。工場側も、それを支えてきたカスタマー達も年をとってきていて、このままだと廃れていく一方なので、僕のような世代が入ってまた新たなサイクルが生まれ、続いていくということが大切だと思います。

frank_12.jpg

ーいまドイツでは、移民の受け入れに関して活発な議論が交わされていると思います。そのあたりをどう考えていますか?

ドイツの移民の問題に関しては、今に始まったことではなく、それこそ1950、60年代からすでに人種のるつぼ状態ではあったようです。戦争で多くの男性が亡くなって工場で働く人がいなくなったころ、ターキッシュの人達を働き手としてたくさん受け入れたので、その名残で今でもドイツでは大きなターキッシュのコミュニティが存在します。諸外国の方々が入国してきて、移民として生活していくことで、何かを失うのではないかと、ドイツ人のなかには恐れている人がいるんだと思うんですが、僕は失うことを考えるのではなく、そこからなにか新しいものを生まれるのではないか、というようにポジティブにこの事象を捉えた方がよいのではないかな、と常々思っています。

frank_13.jpg

ー最後に今回セレクトショップの「レショップ」で展開したコラボレーションについて教えて下さい。

今期の新作はもちろんですが、「レショップ」で取り扱っている古着、そして僕が長年にわたって集めているプロップなどを持ち込んで、空間全体をディレクションさせてもらいました。

ールックのビジュアルにも毎回たくさんのプロップが登場しますね。

はい。そうしたものを集めるのが好きなんです。ビジュアルを作っていく作業はとても楽しいです。ただ、今回はあまりたくさん持ち込みすぎるのも違うかなと思ったので、ちょっとした木のボックス、あとは昔使っていたヴィンテージのハンガーなどを置いてみました。

frank_14.jpg
frank_15.jpg

ー普段は自分のブランドのものを着ることが多いかと思うのですが、今回「レショップ」にあるような、ヴィンテージクローズはあなたにとってはどのような存在なんでしょうか?

ヴィンテージのアイテムは好きなんですけど、アイテムそのものからクリエイションのインスピレーションが湧くということはあまりありません。それよりも、生地の手触りだったり、香り、もしくは昔のボタンなどに触れていると、自分の頭の中が整理されてそこからデザインが出てくるということはよくあります。

frank_16.jpg

ー〈フランク リーダー〉の洋服に、どこか懐かしい雰囲気を感じられるのは、そういったことが関係しているのかもしれませんね。今期のコレクションそのものよりも、どちらかというとものづくりの背景について伺ってみたかったので、とても興味深いお話でした。今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

今期のテーマは煙を意味する「RAUCH(ラウフ)」。


THE CHARCOAL MAKER:炭を生産する人

THE COAL BUYING CUSTOMER:炭を買う人

THE CHIMNEY SWEEPER:煙突掃除夫
という3人のキャラクターからコレクションが作られました。

地に足のついたリアリティと、ほんのすこしのファンタジーがミックスされた〈フランク リーダー〉のコレクション。他の何にも似ていない唯一無二な存在感は今季も健在です。じっくり手にとって、袖を通し、洋服自体が発する“温もり”のようなものを実感してみてください。

  | 

FRANK LEDER MEETS L'ECHOPPE
日程:~10月12日(月)
場所:L'ECHOPPE
住所:東京都港区南青山3-17-3
電話:03-5778-3522
http://lechoppe.jp/

MACH55 Ltd.
電話:03-5413-5530
www.mach55.com
www.frank-leder.com/