ブリティッシュの薫りを色濃く放ち、モッズファッションの代名詞的存在でもある〈フレッドペリー〉。定番としてリリースされる「モッズパーカ」は、長年多くの人々に愛され続けてきた、モッズカルチャーのアイコニックなアイテムだ。現代のリアルなスタイルを探りつつ、モッズという英国のユースカルチャーについて今一度深く掘り下げてみたい。第二回に登場するのは、数々の雑誌などで活躍するスタイリスト、山田陵太氏。自らモッズパーカを着てもらいつつ、今やモッズファッションという一つのジャンルを飛び出した、モッズパーカの魅力やその現代的着こなしについて語ってもらった。
Photo_Kengo Shimizu[STUH]
Styling_Ryota Yamada
Edit_Shinri Kobayashi
Mods Parka ¥39,000 + Tax
スタイリスト・山田陵太的モッズカルチャー
ー山田さんといえばアメカジの印象が強いのですが、ブリティッシュカルチャーやモッズカルチャーは通っていますか?
山田 まずはブリティッシュカルチャーとの出合いといえば、高校から二十歳ぐらいまでに聴いていた音楽が入り口でした。たとえば、王道でいえばザ・フー、キンクス、プライマル・スクリームといったあたりでしょうか。僕が十代の頃だった1990年代とかは、ヒップホップはヒップホップ、レゲエはレゲエ、モッズはモッズという住み分けが強く、それぞれのカラーが強かった。でも僕はそうではなくて、ジャンルを横断して楽しんでいました。その頃は、ファッションや音楽でもジャンルレスに掘り下げていましたが、そのうちの一つとして、モッズカルチャーと出合ったというところですね。
ーファッションの観点から、モッズカルチャーをどのようにご覧になっていますか?
山田 モッズをはじめ、ジャンルとダイレクトで結びつく着こなしを見たり、一つのカラーで染まった、ある意味振り切った人たちを見るのは好きですし、面白いと思います。仕事でスタイリングを組む時は、どんなテーマにも合わせることが至上なので、求められればモッズのエッセンスは取り入れたりもしますよ。
ーモッズパーカは着ますか?
山田 モッズパーカは、古着を持っていました。古着だと比較的身幅が大きく、ズボっと上から着られるので、僕のようなオーバーサイズで着る場合には、合ってますね。古着屋の話でいえば、アウター用としてライナーだけを買っている女性が多いという話は最近聞きます。
ーたとえば、このフレッドペリーのモッズパーカは、M-51タイプでそのルーツはミリタリーですが、軍モノは山田さんにとってどんな存在になるのでしょう?
山田 軍モノは定番アイテムとして、ワードローブに自然とあるものですね。すごいコレクターというわけではないので、気分によっては売ったり、買い直したりするぐらいの身近なもの。
防寒の役割も果たすファーは、デザインアクセントとしても着こなしのポイントになる。
ライナーは、ネイビー地に赤白のレジメンタル柄という象徴的なカラーリング。高い防寒性を誇るボアを採用。
当時の生地感を踏襲した厚手のコットン地、バックサテンを使用。表面を少し毛羽立たせ、オリジナルモデルをより忠実に再現。
背中側の裾はベントが短く入っていて、フィッシュテール(魚の尾)パーカとも呼ばれているゆえんだ。
フレッドペリーのモッズコートの魅力とその着こなし。
ー山田さんにとってのモッズカルチャーのアイコンとはなんでしょうか?
山田 王道的なところで言えば、ポール・ウェラーや『さらば青春の光』の着こなしといったところが挙げられますが、イメージの強さでいえば、東京で“モッズらしいモッズ”のファッションをしている人たちの方が自分にはリアルです。たとえば90年代は、ベルベットのヘルメットをかぶっていたり、ヴェスパにミラーをたくさんつけていたりする人が今よりもずっと多かったので。そういう日常で見た人たちの方が、自分の中には鮮烈に残っています。
ー今の時代において、モッズカルチャーはどういった立ち位置になると思いますか?
山田 大枠のブリティッシュカルチャーについて話すと、今の時代の空気感としては、ロンドン寄りというのは確実にあります。まず今ロンドンのファッションビジュアルの勢いがあって、それに釣られるようにしてロンドンのムードが最近では注目されていると思います。僕自身も、英国のシューズブランドだったり、以前は使わなかったイギリスものをスタイリングでも取り入れるようになっていますしね。
ーそういったブリティッシュの追い風が吹く今の風潮の中で、モッズパーカをどう取り入れるのがよいでしょう?
スーツの上にモッズパーカを着てもサマになるぐらいですから、一にも二にも汎用性の高さは魅力です。トレンドのブリティッシュの話はしましたが、もはやモッズパーカ=モッズじゃあないんですよね。たとえば今や、オールスターを履く=アメカジってわけじゃあない。同じようにモッズパーカを着たら、モッズに振らなきゃスタリングの整合性が取れないってこともない。モッズパーカは、特別こういう方向性で着た方がいいっていうよりも何にでも合わせられるアイテムだと思います。
ーという意味では今日のスタイリングは、山田さんの普段着に合わせてみたっていうところですか?
そうですね。太畝のコーデュロイが空前のマイブームで、そこにクラシックなスケートシューズを合わせています。先ほどと重複しますが汎用性が高いので、自分のそのときの気分の服と合わせやすいですね。
ー中でもこのフレッドペリーのモッズパーカはどうでしょうか?
サイズ感がコンパクトなので、現代的な着こなしにマッチすると思います。いわゆる古着のモッズパーカよりも、身幅などが狭くてコンパクトなので、ジャケット感覚というとやや言い過ぎかもしれませんが、今日のスタイリングみたいにTシャツの上に羽織るのでもOKでしょう。方や、今のファッションのトレンドとしてはオーバーサイズの兆しもあるので、ワンサイズ大きめのものをざっくり着るというのもアリだと思います。
問い合わせ先等のクレジット
フレッドペリーショップ原宿
電話:03-5770-6920
www.fredperry.jp/
オンラインショップ
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