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MY BEST HERSCHEL SUPPLY ハーシェル サプライを選んだ4人の目利き。Vol.2 小久保連(オッシュマンズ バイヤー)

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街で楽しむデイパックとして、すっかりスタンダードな存在になったカナダ発のバッグブランド〈ハーシェル サプライ〉。アウトドア、ヴィンテージ、スポーツ、トラベル、ファッション。どんなキーワードにも絶妙に馴染んでしまうバランスと存在感、使いやすさとデザイン。2009年に誕生してから約6年、ここまで定番化した理由はなんだったのか? 〈ハーシェル サプライ〉をシーンに浸透させてきた4人が、愛用のバッグとともにその魅力を語ります。

Photo_Satomi Yamauchi
Text_Mayu Sakazaki
Edit_Hiroshi Yamamoto

売り場視点で、確信を持てたブランド。

オッシュマンズで4年ほど前からバイヤーを務め、入社してからは18年になるという小久保連さん。〈ハーシェル サプライ〉のファーストシーズンのときは、新宿店のマネージャーとして展示会に同席。当時のバイヤーと一緒にコレクションを見ながら、売れる確信を得ていたという。

小久保:2010年の展示会で見かけたのが最初ですね。アイテムを一目見て「これは売れるだろうな」と思いました。オッシュマンズでは、クラシカルなアウトドアブランドやサーフやスノーといった横乗り系は、いろいろ取り揃えてはいたんですが、〈ハーシェル サプライ〉にはそういった要素に加え“街”というキーワードがひと目で見て取れた。

アウトドアのテイストとサーフやスケートといった横ノリ感、それでいて都会的。立ち上げ当初から、すべての要素がバランスよくブレンドされていたんです。しかも、これまでにないスタンスでありながら、突飛な雰囲気は皆無。むしろ馴染みやすさを感じるほど、どんなスタイルにスムーズにフィットしてくれる印象を受けました。当時のバイヤーは迷っていたんですが、売り場視点で説得して「大丈夫です、やりましょう!」とゴリ押ししたのを憶えています(笑)。

バッグブランドとしてのバランスの良さに惚れ込み、売り場を作っていった小久保さん。まず手にとってもらえる雰囲気の良さ、気に入ったらすぐに買ってくれる価格帯。ふらりと訪れるお客さんに提案しやすいバランスがポイントだった。

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日本ともアメリカとも違う、カナダ特有のデザイン哲学。

当時のアウトドア、スポーツブランドでは、原色を使った明るいカラーリングが主流。そんななか〈ハーシェル サプライ〉は抑えた色味をメインで展開。どんなファッションにも合うし、それでいて個性的で、程良く主張してくれる。そこにはアメリカとも日本とも違う、カナダブランド特有のデザイン哲学があった。

小久保:基本的にすごくベーシックでありながら少しだけ変化があるデザインに、心地良さを感じました。予想通り、初年度からお客様のリアクションはとても良かったですね。ただ、この1年半くらいは僕らが驚くほど快調です。ある程度売れるのを見込んで多めにオーダーしているのにもかかわらず、予想以上のスピードで消化していますからね。

ファッションを好きな人から見ても納得のデザイン性に、購入しやすい価格帯、豊富なバリエーションのなかにはビジネスシーンでも使えるモデルだってあります。それだけ幅広い層にアプローチできるブランドって、なかなか無いんですよ。デザインに限らず、価格帯や機能面など、すべてにおいてバランスがいい。あらゆる方々が手に取れるバッグブランドなんですよね。だからこそ、これだけヒットしているんじゃないかと。

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スポーツを通して幸せに。〈ハーシェル サプライ〉がその架け橋となる。

日々の生活のなかにスポーツやアウトドアの要素を取り入れていく。ここ数年、そんな考え方が浸透していくなかで、〈ハーシェル サプライ〉はその先駆けと言える存在。

小久保:いまスポーツやアウトドアって特別なものではないんですよ。サーフィンやスノーボード、それこそランニングだって、生活と切り離したレジャースポーツというよりも、日常の延長線上にある身近な存在になってきている。

〈ハーシェル サプライ〉は、そういった気運にいち早く気付いていたんだと思います。立ち上げ当初から、アウトドアやスポーツの要素をうまく抽出しながら、シティバッグとして提案していましたからね。だからこそ、オッシュマンズのようなスポーツを軸にしたショップにもフィットしたんだと思います。

オッシュマンズを訪れる人は、年齢も性別もさまざま。ファッションが好きな人もいれば、アウトドアやスポーツの目線で選びにくる人もいる。間口が広いからこそ、ブランドのバッグボーンを知らなくてもついつい手に取ってしまう直感的な“いいもの”が、お店への導線としての役割を担ってくれる。

小久保:オッシュマンズでは、ライフスタイルの中にスポーツを取り入れて、健康になり、人生を楽しく過ごしてほしいという想いが根底にあります。だからこそスポーツをする人々が納得するコアな品揃えが必要となる一方で、より多くの人々がスポーツに関心を持つための商品も取り揃えなければいけない。

そこで〈ハーシェル サプライ〉のような双方の架け橋となるようなブランドが重要になります。本気でスポーツに取り組んでいる人も、たまたま立ち寄った人にも受け入れられる、懐の深いブランド。オッシュマンズにとって〈ハーシェル サプライ〉は、ファッションとスポーツの繋いでくれるハブのような存在なんですよね。

立ち上げ当初からのお付き合いですが、ここまで急速に普及するとは思いもしませんでした。ただ、僕らは流行り廃りでブランドを選んでいるわけではありません。〈ハーシェルサプライ〉の商品が“いいもの”だったからこそ、取り扱わせていただいた。ブランドとしての規模は大きくなってきてはいますが、今後もそういった根本的な部分は変わることなく、“いいもの”を作り続けてもらいたいですね」

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