「ログロード代官山」はかつて東急東横線が走っていた全長220mの線路跡地に完成した、商業空間だ。衣食住というとやや乱暴すぎるけれど、暮らしを豊かにするための様々なアイテムが取り揃うという意味では、そんなにズレてはいないはず。
施設は大きく分けて5つ。キリンビーツの新業態である「スプリングバレーブルワリー東京」、ライフスタイル複合セレクトショップの「フレッド シーガル」が展開する店舗が、食のマーケット、ウィメンズファッション、メンズファッションで3つ。そして、『フイナム・アンプラグド』でも取り上げたサンフランシスコ発の大人気ベーカリー、「タルティーン ベーカリー&カフェ」だ。タルティーンのみ5月以降のオープン。待ち遠しい!
線路の跡地だけあって、縦に細長い空間に。敷地の端から端までを四季折々の花や緑が彩り、実に気持ちのいい散策コースとなっている。犬を連れての散歩なんて良さそう。旧山手通りもいいけど、ここもなかなかではないかと。
代官山駅側の入り口近くには“Fred Segal”のロゴ入りのキッチンカーが。「フレッド シーガル」のフィルターを通したカジュアルフードが楽しめる。赤・青・白の可憐なトリコロールが、ショッピングにきたひとたちの気分を否応なしに盛り上げる。こうしたアメリカを感じさせる造作にどうにも弱い。
着工前の入り口付近はこんな感じ。今となっては跡形もない踏切、そして線路。ノスタルジックな感慨に浸れる一枚。
そして、日本にやってくると聞いて早数年。待望のオープンを果たしたアメリカ西海岸を代表するセレクトショップ「フレッド シーガル」である。「ログロード代官山」のグランドデザインである、コテージライクでウッディーな外観がショップの開放的な雰囲気によくお似合いだ。
メンズの品揃えしては、〈ランバン〉〈マルニ〉〈メゾン マルジェラ〉などのハイブランドから、ユーズドコーナーまで幅広い品揃え。なかでも、アイコニックなデニムアイテムの陣容には目を見張った。
メンズ館「フレッド シーガル マン」の2階には、コの字型のカウンターが。この場所でちょっとしたドリンクなどがサーブされ、買い物途中に一息つけるようになっているそう。
都心にいながらにして、「公園や別荘地にいるかのような空気感を感じてもらうことを目指す」という施設のコンセプトを体現するエリアとなっている。テラスの手前には、ヴィンテージアイテムのコーナーなども。
ウィメンズ館「フレッド シーガル ウーマン」では、メンズ同様の高感度なファッションブランドから、コスメ、ライフスタイル雑貨などまでが大充実。館全体に、ものすごくいい匂いが香っており、眼福ならぬ鼻福を味わった次第。
ところ変わってこちらは「ザ マート アット フレッド シーガル」。オーガニック&ローフードの先進エリアとして名を馳せるアメリカ西海岸だけに、“食”への力の入れようは半端ではない。
なかでも白眉なのは、オレゴン州ポートランドの、行列ができるドーナツ店でおなじみ「カムデンズ ブルー☆ドーナツ」! 写真は甘いクリスピーブリュレにコアントローシロップのピペットをつけたドーナツ「コアントロークリームブリュレ」。ひとつ380円(税抜き)なり!
都会的な代官山の街並みに、ナチュラルでリラックス感のある雰囲気をもたらす「ログロード代官山」の景観。ひとは誰しも緑や木を見ると落ち着くもの。新しい形のランドスケープデザインを提案したのは、数多くのショップでグリーンに関わる部分のディレクションを行ってきた「SOLSO」の齊藤太一氏によるもの。
オープン前日に行われたレセプションの様子がこちら。「スプリングバレーブルワリー東京」のクラフトビールに舌鼓を打ちつつ、多くの人で溢れる“ログロード”を歩いたのだった。
というわけで、かなり駆け足で紹介してみたのだが、空間の雰囲気が少しでも伝わればこれ幸い。多くの商業施設がひしめく代官山エリアにおいて、ひときわ“心地よい”空間になっているのではないだろうか。物見遊山でもよし、まずは一度足を運んでみては。