スッキリ爽快! のどごし命! キンキンに冷えたジョッキでグビグビ! ビールの醍醐味をそう捉えている人は多い。それもそのはず。日本人のほとんどは、たった1種類のビールしか飲んでいないから。ちなみに現在、世界には100種類を超えるビールが存在し、そのなかでも、近年人気を集めているのが「クラフトビール」だ。
そもそも、一般的に僕らが居酒屋なんかで飲んでいるビールは、「ラガービール」という種類で、スッキリ、グビグビ飲めるビール。一方「クラフトビール」は、色や香り、味わいを楽しみながら飲むビール。質より量的な前者に対して、ワインのようにゆっくり楽しむのが後者である。どちらも麦芽とホップから造るビールに変わりないが、香りや味わいは、まったく違う。つまり、日本の大手メーカーの造るビールは、世界的に見ればたった1種類のスタイルに集約できてしまうということ。
クラフトビールは、小規模のブルワリー(醸造所)で、ビール職人(ブルワー)が手作りしたもので、樽生(TAP)とボトルビールの2種類を楽しめる。発祥はアメリカという説が有力で、現在ではアメリカだけでも3000以上のブルワリーが存在する。代表的なクラフトビールには、ホップの風味が強いIPA(アイピーエー)やギネスに代表されるスタウト、ビールの苦味がほとんどないヴァイツェンなど、それぞれのビールにちゃんと個性があり、そのスタイルも多様であるのがクラフトビールの特徴である。
そんな種類豊富なクラフトビールが思う存分楽しめる名店が渋谷にある。オーナーが定期的にアメリカへ赴き、こだわりを持って買い付けてきた、個性豊かなクラフトビールが揃う「クラフトヘッズ」だ。
神奈川県川崎市の鷺沼にあるバーボンバー「Bar Sal’s」のオーナーが、仕入れ先のアメリカで出会ったビールに魅了され、渋谷にオープンした「クラフトヘッズ」。ちなみに今年で6年目。「Bar Sal’s」が10周年のタイミングでオープンしたという。ウッド調の店内には、アメリカ産と国産の樽生が約20種類、ボトルは80種類と豊富にラインナップ。クラフトビールファンや外国人に人気のお店だ。なかには本国アメリカでも手に入りにくい希少なビールもあり、ビール好きのアメリカ人も唸るほど。
店長の山口さん曰く、「クラフトビールの魅力は、作り手のこだわりや趣味が表現されていることですね。とくにアメリカの缶ビールやボトルビールは日本と違って、ラベルのデザインが独特で面白いです。クラフトビールは何千もある銘柄ごとにすべて味が違うので、全然飽きないのも魅力です。フルーティなものから苦味の強いタイプまで、その幅の広さも含めて楽しんでほしいですね」という。
海外から直輸入ということもあり、値段は決して安くないが、見た目で選ぶもよし、味の種類で選ぶもよし、選択肢が無数にあるのがクラフトビールのいいところ。日本の”地ビール”を探すのもまた一興。サードウェーブコーヒー同様、まずは自分だけのお気に入りの一杯を見つけたい。