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SPECIAL INTERVIEW Arc'teryx アークテリクスの「行き先」。

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ブランドの世界観をひとり歩きさせないために。

ーまずは「アークテリクス 原宿ブランドストア」が一周年を迎えて、率直な感想を教えてください。

高木:想像以上に好調ではありますね。我々はブランドストアでは一切、ディスカウント販売しないので、1月、2月のシーズンの端境期が正念場だと思っていたんです。ところが蓋を開けてみると、春物を早めに店頭に並べたことが功を奏して、その時期も好調を維持することができた。周囲の店舗がセールを行っているなか、きちんと売上げを立てられたのは思わぬ収獲でした。

ーなぜディスカウント販売をしないのでしょうか?

高木:〈アークテリクス〉は、みなさまが想像している以上に小さいカンパニーなんです。前身の〈ロック ソリッド〉から数えても25年と歴史も浅い若いブランドですし、世界的な供給量もまだまだ少ない。とはいえ物作りに対しては、確固たるプライドがあります。だからこそ今は無闇に供給量を増やすことよりも、プロダクトを通してブランドのクラフトマンシップを伝えることが重要だと思っているからです。

ーブランドストアを大阪のE-maにオープンした狙いを教えてください。

高木:「アロー22」(バックパック)をはじめとしたタウンユースに適したアイテムが人気を博す一方で、ブランドのルーツや世界観はひとり歩きしてしまうところがあります。だからこそ店舗デザインや什器、商品構成、接客にいたるまできちんとグローバルで管理した、ブランドの世界観を伝える場所が必要になってきます。

〈アークテリクス〉は命を預ける道具であるハーネスからスタートして、クラフトマンシップ、デザイン、パフォーマンス、そのすべてを高いレベルで融合したブランドです。そういった部分をブランドストアという形態であれば表現することができるし、理解度の深いお客様を増やすことに繋がってきます。

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バックパックの爆発的なヒットがもたらしたもの。

ー「アロー22」の爆発的なヒットについては、どう見ていますか?

高木:「アロー22」はダン・ジャクソンというデザイナーが、自転車を漕ぐときのために設計、開発した商品なんですよ。ただ、こういった既成概念にとらわれないデザインが、ファッションとして受け入れられるのは、一つの入口としてはとてもありがたいことだし、〈アークテリクス〉らしい部分とも言えますよね。ただ、同時にブランドの本質的な部分への導線を作ってあげることも重要だと思っています。そういった意味では、ブランドストアの役割は大きい。

ー今後もブランドストアを出店する予定はありますか?

高木:具体的な計画はまだありませんが、〈アークテリクス〉として政令都市すべてに出店したいとは考えています。実は大阪は路面店を模索していたんですが、なかなか相応しい物件が見つからず。そのタイミングでE-maがリニューアルで本気でアウトドアに取り組むことを伺って、インショップという形での出店に踏み切ったんです。

ー確かにこのフロアは100坪規模のエイアンドエフカントリーのショップをはじめ、アウトドア系のショップが軒を連ねています。

高木:アウトドアシーンを盛り上げるには、最高のパートナーが揃っているんですよね。そのうえで〈アークテリクス〉は、本国の管轄のもと路面店のような雰囲気を踏襲した店作りにしています。インショップでありながら、あえて門を構えて、入り口からブランドの世界観を訴求するような作りにしたんです。

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