〈アウトドアプロダクツ〉における、デイパックのマスターピース「452」。2枚のパーツと最低限の縫製量でごくごくシンプルに作られており、“デイパック”といえば、というデザインを作り上げたパイオニアならではのオーセンティックさが漂う。

今のデイパックであれば、PCケースなど様々な機能が盛り込まれているだろうが、40年以上前に誕生したデイパックゆえ、背面もごくごくシンプルな佇まい。ブランドにとって大切なヘリテージは、今なお多くの人に受け入れられている。

このページから、今回のプロジェクト〈アウトドアプロダクツ〉× 〈バッグジャック〉のファーストサンプルを部分的に見せていこうと思う。まず、立体的な膨らみが期待感を煽る、デイパックのフロントポケット部分。蓋の下にはインライン同様にジップが走っているが、よくみると、その下にもなにやらジッパーが見える。

フロントポケットを開けると、内側に靴や道具が入れられるような、柔らかい素材を使った大きなポケットが配置されている。つまり、密閉可能な別のコンパートメントが、フロントポケットとバッグの内側の双方からアクセスできるということ。使わない時はコンパクトに収納が可能で、非常に利便性の高いギミックとなっている。

これがどの部分かというと、天面のマチ部分にあたる。ベルリンでのミーティングでは、“秘密のポケット”などと呼ばれていたのがこの箇所だ。iPodなどのミュージックプレイヤーのような、細かくて小さいものを入れられるスペースになりそう。

サイドにはおもにPCを入れることになるだろうポケットが鎮座している。このジップは、左右両側についているので、利き腕に関わらずスムーズにポケットの開閉が可能になっている。

インラインのデイパックとは、全く異なるデザイン、質感のエクイップメントが配備されたストラップの脱着部分。男心を大いに刺激するメカニカルなフォルムと、劇的にスムーズな操作感に、〈バッグジャック〉のブランド力を思い知らされる。

バッグを寝かせて撮ってみると、マチ面がこれくらいあることがわかる。インラインでは、天面が平らになっておらず、フォルム自体に明確な違いが見受けられる。この上に先ほど紹介した“秘密のポケット”が取り付けられている。

最後にバックスタイルではあるが全体像を。ストラップの位置、形状、材質、背面のパッドなどなど、あらゆる面に〈バッグジャック〉のデザイナーである、ピーター・ブルンスバーグの手が入っていることがわかるだろう。デイパックはここまで。次のページからは、ボストンバッグの紹介に移ろう。

デイパックと並んで、〈アウトドアプロダクツ〉の定番であるボストンバッグ。手持ちとショルダーの2WAY仕様で、丸みのあるコロンとしたフォルムは、ユニセックスで使えるだろう高い汎用性を備えている。

第一弾のインタビュー記事でも言及されていたが、両サイドの面には2種類のギミックが搭載される。インラインではこの通り、まっさらなルックス。

まず、マジックテープで脱着する、ごくシンプルなタイプのポケットが搭載されることに。

そして中には、デイパックにも付属していた、靴や衣類などの汚れ物を入れられるコンパートメントが。スポーツをした後などに効力を発揮するディテールと言えそう。

ジップの引き手は、軍モノを思わせるようなやや長めのタイプに変更されている。極寒時に手袋をつけたままでも、ジップを操作しやすくするために、このように長くなっていったそう。そうした実用的な面はもちろんのことだが、それよりもなによりも、まず見た目がずば抜けてスタイリッシュ。これはボストンバッグだけではなく、デイパックの方にも搭載されている。

先ほどの逆サイドの面には、バッグ自体の幅がエキスパンド、つまり拡張する仕組みが組み込まれている。ジップを開けると、中からマチが出てきて、内容量が劇的に増加する。

マチを出し切って、エキスパンドし終えた状態がこちら。ギミックのためのギミックに終わらず、なおかつデザイン性も損なわないという、奇跡的なバランスを実現させている。

トップのジップを開けると、柔らかなナイロンを使った、靴や雨具などが入れられるようなコンパートメントが見える。デイパック同様、中からもアクセスできる仕様に。また、撮影した時点ではボストンバッグのストラップが仕上がっておらず、撮影が叶わなかったのだが、このボストンバッグ、手持ち、ショルダーに加え、リュックとしても使用することが可能。写真右のD管と、写真左のフックを組み合わせることで、美しいリュックスタイルへと姿を変える。

そして、底面がこちら。いわゆるスケートボートが格納できるような、ストラップが付いている。スケートボートだけではなく、ジャケットやブランケットなども入るように、ストラップのサイズ感をベルクロによって調整できるようになっている。

と、ボストンの紹介もここまで。ディテールしか見せられず、変に焦らすような形になってしまっているが、全貌は8月中旬公開予定の第三弾で明らかになる。ただひとつ言えるのは、控えめに言っても、これは傑作である、ということだ。