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Backgrounds 飽くなき探究心が生む圧倒的なプロダクト、レミ レリーフの現場を追う。

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今回〈レミ レリーフ〉のクリエイションの全貌を探るべく、ブランドの代表作である「長袖スウェット」の工程を追いかけることにしました。このスウェットは編み立てと縫製を愛知県一宮市にて、そして染め、加工、仕上げを岡山県児島市にて行っています。その濃厚な現場レポートに入る前に、ブランドの根底に関わる話を少しだけさせてください。

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ブランドのものづくりの根底に触れる。

〈レミ レリーフ〉のデザイナー後藤豊氏に聞いた。〈レミ レリーフ〉が一番大切にしている部分は、なんですか?

「見たことのないものを見せたいというのが、まず根本にあるんです。ただ、決して奇抜なデザインではなく、コレクションブランドのように斬新な形のものでもない。ありそうでなかったものをみんなに見せたいし、自分でも見たいんです。そのために新しい素材や加工を生み出すわけで、それがものづくりの根底ですね」

〈レミ レリーフ〉を始める前に、量販系ブランドでの企画を10年以上努めていたという後藤氏。話を聞くと、前職の頃から今の〈レミ レリーフ〉につながるいくつもの萌芽があったようだ。

「今とそんなにものづくりのやり方は変わってないですね。つまり、ひっきりなしに工場に行って、自分でものの仕上がりを確かめる。当時は工場が中国だったんですが、しょっちゅう行ってました。ただ、突き詰めていくと、そもそも中国では水が汚いために不純物が多くて、ダメージ加工していく際に必要な“アミノ酸の結合”を邪魔するんです。なので、なかなか思ったような色にならなくて。僕が作りたかったのは、昔アメリカにあったようなものなので、アメリカに行ったらあるかな?と思ったら、すでに大量生産に侵されていて、何ひとつ求める環境は揃わなかった。中国は駄目、アメリカは駄目、そうなると日本しかなかったんです」

〈レミ レリーフ〉、誕生前夜の話です。


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糸から、生地、そしてスウェットへ。

今回の取材において、初めにお邪魔させていただいたのは、愛知県一宮市にあるニット工場。ここでは〈レミ レリーフ〉の生地自体を生産している、いわば初めの第一歩を刻む地点。まずは写真をご覧ください。

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工場では大量の編み機が稼働しており、絶え間なく生地を編み続けています。針を動かし、糸を上げたり下げたりして、巻き取りながら編んでいく。その様はちょうど床屋さんの店先にある3色のポールのようです。

最近ファッション業界では、「吊り編み機」という言葉をよく耳にします。1時間にほんの少ししか編めないかわりに、手触りが柔かくて素晴らしいなどなど。。こちらにあるのは「シンカー編み機」と呼ばれる高速の編み機です。どちらがいい悪いという話ではありません。編み機の種類は目的ではなく、手段でしかないと思いますので、盲目的に「吊り編み機」礼賛となるのは違うのかなと。〈レミ レリーフ〉では、早く編める「シンカー編み機」を採用している、ただそれだけのことです。

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こちらの工場では、Tシャツに使う天竺や、スウェットに使うウラ毛だけではなく、スポーツウェア用のT/C(ポリエステルと綿の混紡素材、テトロン/コットン)など、様々な生地を編みたてています。

ちなみに、襟やリブなど伸び縮みする箇所は別素材を使う必要があり、それらは“付属”と呼ばれているそう。付属というと、ジッパーとかそういうものをイメージしがちですが、スウェットでいうところの付属はリブということです。リブはポリウレタンをコットンでカバーリングした糸を使うことで、伸縮性を獲得しているというわけです。

ちなみにこの工場では、「シンカー編み機」を50台ほど所有、なかなか大きな規模の工場といえるのではないでしょうか。

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この工場を見て後藤氏は「とにかくきれいですね。職人さんがつねに掃除をしているし、清潔感があります。ウチの児島の工場とは大違い(笑)」と苦笑い。それもそのはず、糸を編むという工場の特性上、空気中を舞うごみやほこりなども天敵なのだとか。納得。

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この機械では、ボーダーの生地を編んでいました。

フライス、スムース、ハニカム、表鹿の子、天竺、パイル…。ニットの組織構造、編み立て方の違いで非常にたくさんの種類があるわけで、針の本数、間隔などを巧みに操ることで、それらを作り上げていきます。

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元々の糸の色は生成りなので、できあがる生地=生機(きばた)も当然生成り色をしています。工場には生機の独特の匂いが立ちこめています。

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出来上がった生地をライトに照らし、キズなどがないかの検品作業を行ったら、ひとまず完成。

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ここから縫製作業に入るわけですが、今回の取材のメインは染め、エイジングなどの“加工”なので、ここはさらっと。。

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