ユーザビリティを第一に考えたシンプルなデザインと鮮やかな色使いで、人々のライフスタイルを豊かにしてくれるスイス発のデザイン家電ブランド〈スタドラフォーム(Stadler Form)〉。そのCEOのマーティン・スタドラが、同ブランドが新たに開発した“水を使わない”アロマディフューザーLEAの発表に際し来日。LEAについて、そしてブランドについて語ってくれました。
Photo_Yousuke Morimoto
Edit_Kenichiro Tatewaki
まずは、〈スタドラフォーム〉を設立したきっかけを教えてください。
〈スタドラフォーム〉を立ち上げる前は、コーヒーを扱う会社でコーヒーマシーンのデザインをしていたのですが、1980年の冬に、室内がとても乾燥していたので妻と加湿機を買いに行ったんです。3時間くらい探しまわったかな。でも結局いいものが見つからなくて、「だったら自分で作ってしまおう」と。そして開発したのが“FRED”というスチーム式加湿機で、現在では世界40ヵ国以上で販売するブランドに成長させることができました。
ラインナップには空調関連の製品が多いですね。
扱うのは、空気にまつわるもの全てです。除湿機、加湿機、空気洗浄機、ヒーター、サーキュレーターなど。“FRED”がヒットしたので、それ以降毎年1つずつ新作を開発してきました。そして今年の新作が、アロマディフューザーの“LEA”です。
ブランドとしてはアロマディフューザーはすでに展開していますよね?
3年前に“JASMINE”という製品を開発しています。ただ今回の“LEA”は新しいテクノロジーを使った製品なので、従来のものとは少し性能が異なります。
違いというと?
“JASMINE”は中に水が入っていて、その水を蒸発させてアロマを発散していました。ディフューザーとしては優秀ですが、稼働させるには常にコンセントを繋いでいなければいけないし、定期的に水を入れないといけなったんですね。だから、“LEA”ではその手間を改善するために、アロマボトルをそのまま中に入れてしまう構造を採用しました。つまり、オイルがある限り常に香りを発散できますし、水に混ぜない分、オイルのピュアな香りを感じることができるんです。
具体的な構造を教えてください。
小さなファンを上部に付けて空気を循環させることで、オイルを発散できるようにしています。また充電式なので、常時ケーブルを繋いでいる必要もありません。ちなみに、一度の充電で丸1日稼働し続けることができます。さらにインターバルモードなら約3日、明るさを感知して電源を切り替えるデイライト機能を使えば、日中以外の稼働を最小限に抑えることでそれ以上の連続稼働が可能となりました。簡単に持ち運びができるので、旅行先など様々なシーンで活躍できるでしょう。
アロマというと、キャンドルやリードディフューザーといったアナログなアイテムの方が馴染み深いですよね。
キャンドルやリードを使ったディフューザーはスイッチがない分ずっと香っていますが、“LEA”は色々な場所で使えるところが現代的ですね。また、瓶を変えるだけで違う香りにできるので、たくさんの香りを気軽に楽しむことができるのもポイントです。
ブランド全体で考えると、過去には多くのデザインアワードを獲得してきましたが、デザインする上で意識しているところはありますか?
デザインする際に気をつけているのは、簡単に使えるかどうか。例えば“LEA”なら、蓋を外してただアロマボトルをセットするだけ。簡単でしょ?あとは、そんなにエネルギーを消費せずに使用できること。自分の経験をもとに、ユーザー視点で考えるよう心がけています。
見た目に関するこだわりは?
言葉にするのは難しいですね(笑)理想としては、見ただけで使い方がわかるようなシンプルなもの。あまりごちゃごちゃと無駄な装飾はしないで、削ぎ落したシンプルなデザインが好きです。だけどやっぱり、使いやすさと優れたデザインは同義だと思います。デザインがすごく良くても使いにくくては意味がない。そのバランスを見極めるために、長い時間をかけてプロダクトと向き合っています。
ちなみに、“LEA”の開発にはどのくらいの時間がかかったんですか?
外にアロマを拡散する方法を何回もテストしたので、発案からプロダクトとして完成するまでには約10ヶ月ほどかかりました。
今回は新製品の発表に合わせての来日になりますが、プライベートも含め日本に来るのは何回目ですか?
10回目くらいですね。1年に1回は来ていると思います。
これまで日本で見たプロダクトで気になったところはありますか?
すごいカラフルですね。それでいて、オーナメントがあまり付いていなくてシンプルで、使い勝手が良い。実際に海外にいても、メイドインジャパンのプロダクトやデザインを目にする機会は非常に多いです。そのデザイン性の高さには感銘を受けると同時に、〈スタドラフォーム〉との共通点を感じますね。
それでは最後に、ブランドの今後の展望を教えてください。
インドア用の製品をもっと開発していきたいです。見た目も使い勝手もよくて、しかも経済的。もしそんな製品がもっとたくさん開発できれば、人々をもっと幸せにできるだろうし、そんな製品をたくさん生み出す自信があるので、これからも楽しみにしていてください。