ーまず、今回の別注企画はどのようにして始まったんですか?
WISMディレクター 市之瀬智博氏(以下、市之瀬):まず、秋冬シーズンではインラインで〈アンユーズド〉のネルシャツを取り扱っていたんですが、それが即完売だったんです。
WISM店長 堀家龍氏(以下、堀家):世代なのかもしれませんが、僕たち2人ともネルのチェックシャツがとても好きなんです。なので、いいシャツがあればいつかやりたいななんて話をしていました。ただ、探してみるとあんまりなかったんです。
市之瀬:そうそう。で、〈アンユーズド〉側とのMTGの中で、ブランドとしてはもう少しネルシャツを使ってアメカジ的なテイストを広く表現していきたいんだっていう話が出まして。あ、じゃぁうちで別注作らせてくださいよ、という流れでスタートしました。
堀家:ネルシャツ好きだけど、自分たちで持っているのは〈J・CREW〉ぐらいっていう状況が続いていたたので、今回の話はタイミング的にもよかったですよね。
市之瀬:堀家の言う通り、起毛感のあるいわゆるネルシャツはうちにはあんまりありませんでした。チェックのシャツはあるけど、もっと正当派というかカッチリしたものが多くて。ただ、先ほどお話ししたようにインラインの動きを見ても、今の子たちにネルシャツは受け入れられるんだな、っていう感覚は掴めていました。
ー最近だと、つば広のハットと合わせたりするんですよね、おそらく。
市之瀬:ですね。ただ、うちのお店的にはそのコーディネイトのイメージは全くありません。それとは違うコーディネイトで、バッファローチェックや、オンブレチェックを提案していきたいという思いがあります。ただ、ネルということで、一つだけ引っかかっていたのが、数年前に流行ってたアメトラ的な、いわゆるアメカジっぽい感じになってしまうのだけは嫌だな、って思ってたんです。
ー古着っぽさやグランジっぽいイメージは残しつつ。
市之瀬:はい。わりと大判なイメージのものをやりたかったんです。元々インラインのときから、表面が起毛していて、さらに製品洗いしているので、イイ感じにヤレた雰囲気なんです。
堀家:インラインはけっこうアメカジっぽい色でしたね。赤、青、茶色みたいな。ただ、今回上がってきたものを見ると、けっこうクリーンな感じですね。ドアメカジではないというか。
ー確かに古着屋さんでパッと見つかるような感じではないですね。今回、いじったのは色ですか?
市之瀬:そうですね。ディテールは〈アンユーズド〉のものをキープして、その上で雰囲気を少しだけきれいな方向に持っていきたいというのがまずありました。
ー仕上がりを見て、いかがですか?
市之瀬:いい感じだと思います。パントーン(PANTONE)を見て、柄組のシュミレーションを何度もやりとりした甲斐がありましたね。うちのお店では、ブラックデニムの細いパンツっていうのがだいぶ浸透してきたので、今回の“ネル”という選択は妥当というか、間違ってないのかなと。普通のシャツ生地で作るっていうのもなんか違う気がしたんです。ネルでやれば春も着れますし。
ー今回は2色作りました。
堀家:はい。僕が着ているのがスミクロで挿しにベージュを入れてます。市之瀬の方が、ネイビーで、白とあとチャコールを混ぜたような配色ですね。フロントとバックの落差があるので、レイヤードをしてもいい感じになると思います。あとはポケットがバイアスになっているのも、特徴ですね。