アントワープ・シックスに数えられ、共に参加したロンドンコレクションで表舞台に躍り出た〈ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)〉。祖父の代から続くテーラーの家に生まれ育ったドリスにとって、テーラーリングは彼のアイコンである色柄と同等か、それ以上の価値がある。
オーバーサイズのショルダー、少しだけタイトなラインを描くウェスト、そして腰が隠れるくらいの気持ち長めの着丈。ジャケットとしてもコートとしても着られるダブルジャケットは、“未来のテーラード” をコンセプトに据えた今シーズンに相応しい一着である。
ダブルジャケット同様、新鮮なシルエットを描くチェスターコート、ワントーンで仕上げたキルティングジャケットあたりも気になったアウターだった。それらアウターに共通しているのは、シルエットや色使いに加え、老練の職人仕事を感じさせる仕立てだった。
〈ドリス ヴァン ノッテン〉はテーラーリングという幹がしっかりしているから、鮮やかな花が咲くのである。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa