「キングセイコー」がおよそ半世紀の時を経て復活した。
「キングセイコー」は「グランドセイコー」と共に〈セイコー(SEIKO)〉の黄金期を築いた、テクノロジー、デザイン、そしてコストパフォーマンスを高度な次元で融合させた一本である。
土台となったのはKSKの名で親しまれた2代目の「キングセイコー」。防水性能と秒針規制装置(秒針を止めて時刻が合わせられる機能)を新たに加えたKSKはその後の「キングセイコー」のみならず、高級腕時計のロールモデルとなった。
無駄のないダイヤルレイアウト、エッジを際立たせたケーススタイリング、ボックス型のガラス形状などが好例だが、KSKはデザイン面においてもロールモデルといっていい存在だった。
復活したキングセイコーはヘリテージを受け継ぎつつ、現代の技術で進化の針を50年分、進めている。ケースとバンドを繋ぐ、かん足を際立たせたスタイリング、鏡面仕上げとヘアライン仕上げを組み合わせ、シャープさが増したケース、低重心化が図られた内面無反射コーティングを施したボックス型のサファイアガラス――“The Newest Classic” と胸を張るのももっともな一本が完成した。
キャリバーは約70時間のロングリザーブ性能を備える「6R31」。あえてカレンダー機能を省くことでオリジンの端正な面構えを守った。
ダイヤルカラーは全部で5つ。オリジンのシルバーに加え、メタリックグレー、チャコールグレー、ブラウン、レッドがラインナップされた。掲載モデルはチャコールグレー。放射仕上げが施されたそのダイヤルは腕元にノーブルな気配を漂わせる。
7月8日(金)には世界限定1,700本となる限定モデルが登場する。ダイヤルをシャンパンシルバー、インデックスと針、そして裏蓋のブランドマークをイエローゴールドカラーで染めたボディはまさに限定モデルに相応しい。ストラップはクロコダイルレザー。
搭載したキャリバーは「6L35」。現行機種最薄のキャリバーだ。自動巻ながら手巻きのオリジンにあと0.5ミリメートルのところまで迫る、ケース厚11.4ミリメートルに収めた。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa