連載「憧れの逸品」No.260 異国情緒漂う、世界限定150本のカルティエの時計。

1922年は〈カルティエ（Cartier）〉の当たり年だったようだ。前回紹介した「タンクルイカルティエ」がリリースされたこの年は、「タンク」のコレクションに欠かせない「タンクシノワーズ」の誕生年でもあるのだ。

料理の世界でもお馴染みの “シノワーズ” はフランス語で中国趣味の意。文字通り中国美術にインスパイアされた「タンクシノワーズ」は縦枠の上に横枠を重ねたデザインがこれを象徴する。中国寺院の正門がヒントになっているという。

100歳を迎える今年、新たに登場したのがこちらの “カルティエプリヴェ” の「タンクシノワーズ」だ。“カルティエプリヴェ” は過去の傑作タイムピースをクローズアップしたコレクションで、大リーグでいうところの野球殿堂にあたる。これまでに「クラッシュ」「タンクサントレ」「トノー」「タンクアシメトリック」「クロシュドゥカルティエ」が選出されてきた。

イエローゴールドのボディに、フォアセットの入ったサファイアのリューズ、そしてセミマットブラックのアリゲーターストラップ。異国情緒漂う、と形容するに相応しい一本に仕上がった。西安とローマを繋いだ絹の交易路、シルクルードはおよそ12,000kmに及ぶ道程において東西文化の融合を進めたが、〈カルティエ（Cartier）〉はこれを手首の上でやってのけた。

ムーブメントは〈カルティエ〉最高峰の「キャリバー430 MC」。パワーリザーブは約38時間。世界150本限定。個別番号入り。