Number 15
浅草橋 ふじ芳

隅々にまで行き渡った真心。

寒い冬だから鍋の美味しい店を、との考えも当初あったが、ここ浅草橋西口すぐの「ふじ芳」では必ずしもそれは当てはまらないかもしれない。メニューにあるすべてに細心の心配りがなされ、お世辞でなくすべてが口に運ぶごとに当然とばかりに我々を幸せで包んでくれ、看板メニューである「うずら鍋」はこの店を知っている人間だったら、夏でもクーラーをきかせた中で〆に頼んでしまう逸品だから、「冬だから」とも言い切れないのだ。

取材に伺わせていただいたのは年の瀬、12月27日。店は29日まで営業で予約でいっぱいな上、全国発送のオーダーが200件を越えるそのうずら鍋の仕込みで、築地の肉屋さんまで巻き込んで徹夜という、大晦日までおおわらわな真最中。出汁と、ひな鳥とうずらの合挽肉からなるうずら鍋の受注発送は、一升瓶以外にペットボトルの登場で可能になったという。
「やはり最終的には自分にしかわからないからね」
と、親方。人様に任せることができない出汁は、鰹節のみでとる。肉はつなぎを使わず、ひな鳥のもも肉とうずらは頭まで入れ骨は2度挽き。旨い料理でも高いものはキリがなく、しかしうずらだけでは旨くなく、いかに旨く安く提供できるかと試行錯誤の末辿り着いたのが、このうずら鍋。
「マズいものは絶対出せないから。ウチは何でも倹約してやってるから、飾りっ気はない。でも人には絶対負けないよ」
親方の大きく通る声とお話を聞きながら口に運んだシメサバは、その言葉の説得力そのものとなる、絶品。2階席はいつも予約でいっぱいで、8割方常連さんがおられるというカウンター席も、早い時間に来なければ閉店までまず席が空くことがない。

これも看板のせいろめしのルーツでもある、ご出身の新潟で修行を開始。18で上京し大きな料亭を転々として、1982年に独立。冬の話題だからと鍋について書いたが、いかわた塩辛、えびしんじょうなど、あらゆる料理に心を鷲掴みにされる。

浅草橋 ふじ芳
住所 :東京都台東区浅草橋4-1-2
電話番号: 03-3866-6229
営業時間:11:30〜13:30 17:00〜23:00(月〜金)
     17:00〜23:00(土)
定休日:日曜・祝日









端から端まで、メニューにある何を頼んでも素晴らしく美味。
スター曰く「人には絶対負けない」シメサバ他、新鮮なお刺身。
揚げナスにカニあんかけを載せたもの。美味過ぎて、何個でも食べれそう。
せいろめしも鍋のあとのおじやも両方食べたくなる。
合挽肉はおかみさんがどんどんつまんで鍋に入れてくださる。
おいしくないわけがない!
雑誌、広告、CDジャケット、ドキュメンタリーなどで、世界各地のディープな場所やモノ、人を中心に紹介することで有名な写真家。ダライラマ14世を写真に収めたことでも知られる。
新年早々、色々強烈だった岐阜大阪京都徘徊で幕を開けた2009年。旅行を含めmadfoot.jpのブログ"独壇場"にて何が強烈だったか報告中で、あとはまずは運転免許を取ろうかと。