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NEWリーバイス501

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「ジ・オリジン」リーバイス501、ジーンズのド真ん中を歩む新機軸

もはや説明不要なほどに全世界で認知された〈リーバイス〉の原点にして頂点となるモデルが「501」。不変と思われがちな品番ですが、時代毎に様々なマイナーチェンジを施しています。今回は昨年フルモデルチェンジした深遠なる「501」の世界観を中心に、そのエバーグリ-ンな魅力を辿ってみようと思います。

ジーンズにおける、「Center Of Center」を目指した新「501」

―「501」というとジーンズの代名詞として、あまりに有名というか、もはや語り尽くされた感もあると思うのですが、現状の同モデルはどのような位置づけをされているんでしょうか?

野澤さん(以下野澤、敬称略):ちょうど昨年、〈リーバイス〉で最も伝統のある品番である「501」がフルモデルチェンジされました。これは5年振りの大がかりなプロジェクトとして、世界で統一されたシルエットを目指してスタートしたものでした。コンセプトは、ジーンズシーンにおける「Center Of Center」を目指すということ。未来へ向けたストレートシルエットを提案するということです。

―「Center Of Center」とは具体的にどのようなことですか?

野澤:ド真ん中を行くということになります。股上の深さや裾幅、腰回りなど世界中にある全てのジーンズを俯瞰で見て、そのXY軸の真ん中を行くということです。スキニーやバギー、ブーツカットといった多彩なトレンドが溢れている状況だからこそ、世界のジーンズ界で指針となるようなジーンズを定義付けようという思いが反映されています。

―実際にはどのような行程を経ていったんでしょうか?

野澤:まずは徹底的なマーケティングを行いました。各国のリーバイ・ストラウス社のプロダクト・デベロップメント、マーケティングから選出されたプロダクトチームによって、世界10都市に及ぶ消費者調査を実施したんです。「501」のディテール、シルエット、そしてプロダクトが持つイメージに至るまで入念かつ多岐に渡る項目をリサーチするのは非常に骨の折れる作業でしたが、そこから得られる情報は何よりも貴重なデータとなりました。そこで得た結果とリーバイ・ストラウス社における各リージョンのリレーションシップを掛け合わせて、完成を目指していくことになったんです。

―世界統一規格というと、相当な大変さが想像できますね。

野澤:通常の場合では考えられない、11回という膨大なサンプル見直しが行われました。やはり「501」はいつの時代もグローバルスタンダードでなければならないという前提がある以上、関わる人間もかなりの試行錯誤を繰り返したと思います。その甲斐あって、クラシックな赴きながらシャープかつモダンなプロポーションの実現に成功したと自負しています。具体的には2003年モデルに比べると若干、シルエットは細くなっています。

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生まれ変わったニュー「501」は現代的かつオーセンティックな仕上がり。耳付きのレギュラーでコーン生地という至れり尽くせりの一本となっています。正式品番は08501-0272。

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歴史に裏打ちされたストレートシルエットは、まさにジーンズの指針。今後も多くのユーザーを虜にしていくことでしょう。サイズはW28~36インチまで展開。¥19,950

「501」は決して懐古趣味ではない

―「若い世代にはどうしても「501」というと野暮ったいというイメージがどこかにあると思います。そういった層へのアピールはどうお考えですか?

野澤:確かに、長い歴史がある品番ですので良い意味でも悪い意味でもある種のイメージがあるのは仕方がありません。ただ、「501」はその歴史の中でも常に時代へのアジャストをしてきました。分かりやすい例で言いますと、47年モデルと66モデルではシルエットも全く異なります。他にもリベットの仕様やシンチバック、革パッチなどといったディテールの違いについては、ビンテージブームを通過された世代の方には馴染み深いのではないでしょうか。ただ、そういった細部への偏重は木を見て森を見ないようなもの。「501」が持つ普遍性というのは、5ポケットのデニムという王道を崩すことなく、今日でも存在し続けているという部分に集約されます。タイムレスなアイコンはやはり継続していくべきものですから。リニューアルした「501」のシルエットは、従来のモデルとは異なり、最新で最旬な要素を取り入れたものです。とはいえ、決して振り切るワケではなく、ド真ん中を目指しているので奇をてらったプロダクトにはなっていません。ジャストはもちろん、サイズアップして腰穿きしてもいいですしサイズダウンしてタイトに穿くことも可能です。つまり、着用する方のニーズに合わせていかようにも対応できる懐の深さがあるんです。「501」という名前が持つイメージは時代に応じて変化していくべきものだと考えていますので、昨年に生まれ変わった「501」を穿いていただければ、必ず満足してもらえるのではないでしょうか。

―最新の「501」はどのような点が特徴なんでしょう?

野澤:パターンとして様々な着こなしが楽しめるようになっている点ですね。これは前述のグローバルスタンダートの観点からです。長い間オーナーが楽しめるように留意しているということです。「501」は普通に見えるように作られているので、一見するとキャッチーではないのですが、気づけばいつも着用してしまうという類のボトムスだと思います。

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ボタンフライをしっかり継承。シュリンク・トゥ・フィットを感じられる伝統的なディテールといえるでしょう。

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リベット、ステッチ共に「501」らしさに満ちあふれたお馴染みの箇所。頑強性は言わずもがな。

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アーキュエイトステッチは〈リーバイス〉のアイデンティティ。不変のシンボルであるレッドタブも鎮座します。

未来のビンテージとなるクオリティ

―そういえば、新しくなったレギュラー「501」の派生モデルで、耳つきのものがあると聞いたのですが、これはどういったモデルなのでしょうか?

野澤:こちらは通常のレギュラーをベースにしつつも、よりジーンズが好きな方々に向けて生まれたモデルになります。ロールアップが浸透している昨今では、耳付きか否かという部分を気になさる方もいましたし。こちらもコーンミルズ社の生地を用いていますが、厳密には銘柄が異なります。また、耳がある分、1日に織れる量も少なくなっており、同社における通常の5分の1となる約90メートルしかできません。コーンミルズ社が創業当時から使用している「Draper 織機」で織り上げているのもポイントです。シルエットなどは同じなのですが、より語れるポイントが多い一本ではないでしょうか。

―昔のビンテージを見ても、恐らく将来は価格が高騰化するからといった理由でディテールを決めてないと思うんです。その時代、その時代にとって最適なものを投入した結果として後年に支持される図式というか...。アメリカンプロダクトならではの合理的かつ細かい部分を気にしないところが実に魅力なのではないでしょうか?

野澤:確かにそこまで計算して作っていたとは思えませんよね。出し惜しみをせずに「501」の製品力を高めていくことを続けてきた結果として、今あるブランド力があるのは事実です。つまり、現行のレギュラー「501」のクオリティは未来においてビンテージとなり得るという事なんです。〈リーバイス〉の中でも「501」は徹底したクオリティコントロールを行っており、絞られた工場でしか作られていません。昔のようにアメリカの大らかさが産んだ個体差などはなくなっているのでご安心ください。

―これからの〈リーバイス〉や「501」の展望についてお聞かせください。

野澤:適正価格で最良のジーンズをご提供することはもちろんですが、「501」を軸に様々な嗜好に合致するようなラインやモデルを続々と投入していこうと思います。変えてはいけない部分と、意図的に変えていく部分を共存させていきたいですね。過去にもリーバイスレッドやシルバータブなどといったものでイノベーティブな面を追求してきましたが、今後もその両輪は変えることなく進化させていこうと考えています。

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ペーパーパッチは大きめの仕上げ。ツーホースマークも経年変化を楽しめるに違いありません。サイズ表記も昔ならでは。

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安価で買えるレギュラーにセルビッチが付いているのは、ファンならずとも嬉しいはず。アタリが出てくれば自分だけの1本として愛着も感じられます。