vol.22

the SOHO

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新しいワークスタイルを提唱。
青海に誕生する「the SOHO」の魅力とは。

片山正通、藤原ヒロシ、蜷川実花、幅 允孝、森本容子、グルーヴィジョンズ。デザイン、音楽、アートなど、あらゆる分野の最前線で活躍するクリエイターが集結したことでも話題の「the SOHO」。2010年3月、ついに青海に誕生したクリエイターのための集合オフィスです。そうそうたるメンバーをまとめた本プロジェクトのブランディングプロデューサーである中村貞裕氏にお話をお伺いしました。

青海という場所の可能性

―「the SOHO」拝見させていただきましたが、外観も内観もかなり素敵ですね。早速ですが、誕生のきっかけをお伺いできればと思います。

中村貞裕さん(以下中村、敬称略):ありがとうございます。この場所にオフィス空間を作りたいと土地の所有者の方から相談されたのがきっかけです。実際にここに来て感じたのが、青海という場所の可能性ですね。お台場や空港に近く、都心からも遠くないのに、まだまだ開発されていない部分が残っているなと。あとは都心から橋を渡って対岸の青海に来る感じが、ニューヨークのブルックリンのような印象を受け、ここにはクリエイティブな人たちが集まる新たなカルチャーエリアを作ることができる場所なんじゃないかと思いました。

―なるほど。自分は今日はゆりかもめでここまで来たのですが、橋を渡るという行為は普段の生活から気持ちをリセットできる効果があるように感じました。さて、今回は片山正通さんや藤原ヒロシさん、蜷川実花さんなど数々のクリエイターがプロジェクトに参加していることでも話題ですが、それぞれの方は「the SOHO」にどのような関わり方をしているんでしょうか。

中村:まずはワンダーウォールの片山正通さんに建物全体のデザインディレクションとインテリアデザインをお願いしました。この建物のデザインコンセプトとして片山さん片山さんに僕がお願いしたのは吹き抜け部分を「ヤンキーの学ランみたいに遊び心をもたせてほしい」というリクエストをしてその他はお任せしました。

―え! 学ランですか!?

中村:条例の関係で、建物の外観を黒にするのは決まっていたので、その分中をポップにしたいという思いがあったんです。外側はシックなんだけど、内側はカラフルで派手な遊び心のある刺繍が施された学ランみたいなイメージと伝えました。この「the SOHO」にはいろいろな個性を持った方に集まっていただき、10人10色の魅力を発揮してもらえればという思いもあるので、片山さんが手掛けたカラフルな内観はすごくぴったりなんじゃないかなと思います。

―なるほど。中に入ってまず、カラフルな内観がとても印象的でしたが、学ランをイメージしていたんですね(笑)。面白い!

中村:そのほかにも、グルーヴィジョンズはロゴデザインを。藤原ヒロシさんには今ここで流れている音楽がそうなんですが、ロビーで流れる音楽をプロデュースしていただきました。ヒロシさんには「ニュースタンダードなオフィスに合う環境音楽を」というお願いをしたんですが、僕が思い描く理想のミュージックを作っていただけましたね。本当に、さすがという感じです。

―音楽もそうですが、こちらはロビーラウンジがとても充実しているなぁという印象を受けました。

中村:そうですね。実際にこちらで働く方がリフレッシュできて、入居者同士が交流できるような空間になればと工夫しました。ブックディレクターであるBACHの幅 允孝さんには、ロビーラウンジに設置してあるライブラリーのブックディレクションをしていただいてます。クリエイターの方の創作活動の刺激になるようなセレクションなので、お仕事される際に役に立つものがたくさんあると思いますよ。あとは、フォトグラファーの蜷川実花さんにはカラフルな花の写真の作品提供をしていただいています。

―個人的には「Kariang」のデザイナーの森本容子さんが参加していらっしゃるのも「おっ」と思いました。

中村:「the SOHO」にはレセプションカウンターがあり、来客者対応や共用部の予約などフロントコンシェルジュサービスが充実しているんですよ。森本さんには、その受付スタッフが着るコスチュームデザインをお願いしました。イメージはセクシーな受付嬢の制服です。

―それは毎日の仕事にやる気がでますね(笑)

中村:そうですね(笑)。今回のプロジェクトは、それぞれの専門分野で活躍されている日本のトップクリエイターの方にそれぞれの部門をお任せして、僕は全体をまとめているという感じです。あとは、「クラスカ」支配人を務めながら「堂島ホテル」の開業プロデュースプロジェクトマネージャーも担当した弊社の岡田がホスピタリティマネジメントを担当します。「the SOHO」内のスタッフをはじめ、サービス全体を管理する体制もばっちり整っていますので、入居される方には毎日快適に働いていただけると思います。

―なるほど。それは心強いですね。「theSOHO」をブランディングする際に、何かモデルにされたものはありますか?

中村:ニューヨークのハドソンホテルがイメージです。あそこは、レストランやラウンジなどの「遊び」部分を充実させて、客室そのものはシンプルにすることで成功をおさめたんですよ。「部屋はできるだけシンプルに、必要なものはニューヨークという街で調達すればいい」、そんな考え方に影響を受けているなと思います。この「the SOHO」も、ロビーラウンジやバー、フィットネス施設など、共有スペースの充実に重点を置きました。

―なるほど。

中村:なので、かなり賃料は抑えられていると思います。新しく事業を始めようと思っているクリエイターの方にはぴったりなんじゃないかと思いますね。

―最後に一言、今後の展望をお伺いできればと思います。

中村:青海という場所に興味を持ち、何にも無いところにカルチャーエリアを作りたいという気持ちでこのプロジェクトはスタートしました。もちろん今すぐ劇的に変わるということはないと思いますが、この「the SOHO」をきっかけにして5年後10年後、この場所にそういう街ができていけばいいなと思っています。そのためには多くのクリエイターの方たちに、実際にここで働き、それぞれがコミュニケーションをとって交流してもらえればと思います。

―ありがとうございました。


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「the SOHO」のブランディングプロデュースを担当した「トランジットジェネラルオフィス」代表の中村貞裕さん。

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黒を基調としたシックな外観がこちら。

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学ランの裏地をイメージしたというカラフルな内観。

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