メモ帳とスケジュール帳、普遍性を重視した2冊使い。

ユナイテッドアローズ」の設立メンバーである栗野宏文氏。豊富な知識をベースにしたインテリジェンス溢れる文章を書きこなし、その立ち振る舞いも実にスマート。それでいて茶目っ気もある。フイナム読者が目指すべきオトコのあり方を、サラリと体現してみせる栗野氏の手帳活用術とは。

「僕にとって手帳を持ち歩くのは日常的なこと。だから選ぶうえで重要なのは、どこでも買えて、いつでも無くなることがないもの。結果たどり着いたのが、メモ用としてクレフォンテーヌの方眼タイプ、スケジュールの管理のためのエルメスのダイアリー、という2本立て。ペンはスタビロが好きで、全色持っていることもあったんですけど、結局そのとき近くにあったものを使ってしまいますね」。

栗野宏文
ユナイテッドアローズ上級顧問、クリエイティブ アドバイザー。2004年にはイギリスの大学「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート」より名誉研究員を授与される。フリーランスのジャーナリストとしても活躍中。
www.united-arrows.co.jp

「まず、ミーティングの前にノートに縦線を引くんです。左側に問題点を記入して、その解決法は右側に」。

「ミーティング後には右側に記入したことをフォローしていけばいい。このスタイルは20年以上前から活用していますね」。

たった一本の線が要点を明確にしてくれる、栗野氏ならではのメモ整理法。今すぐ実践できる活用術なのでは。
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方眼タイプを選ぶのは「文字の大きさを統一するため。汚い文字でもそれなりに収まりますからね」。重要な部分のみ色ペンを使用。

「エルメスのスケジュール帳には予定を書き込むだけ、そのために使っています」。

「逆にメモ帳にはなんでも書く。ミーティングの内容はもちろん、道案内のための絵とか。買い付けの際にはブランド名に品番、価格、オーダー数まで」。

「ちなみに僕は現場でオーダー数も決めています。現場の緊張感や熱気を感じながらオーダーした方が、精度が高いと思うので」。
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エルメス(Hermès)〉の手帳はビームス時代の初めてのパリ出張で購入し、現在は三代目となる。

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パリの〈ドリス・ヴァン・ノッテン(DRIES VAN NOTEN)〉への道案内の際に描いたイラスト。「10代の頃は漫画家を目指していたこともあります」と意外な告白も。

ブラックのメモ帳ケースは〈アニヤ・ハインドマーチ(Anya Hindmarch)〉製。

「アニヤさん本人が特性カバーを作ってくれました。ふざけたステッカーがたくさん貼ってありますが、中身は真剣な案件ばかりです(笑)」。

「イラストはアルベール・エルバス氏に僕がインタビューした際、彼が突然描き出して。こういったハプニングが起こるのも手帳を持っているからなんでしょうね」。

と思い出深いエピソードを披露。
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手帳カバーの表紙をめくると、そこには「MADE FOR HIROFUMI KURINO」と刻印されている。

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アルベール・エルバス直筆のイラスト。

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