MURO約5年ぶりのオリジナルビートアルバムが完成。
2012.12.10
―ここで少し話しは変わりますが、最近のMUROさんはどんな曲を聴いているんですか？
MURO：いろいろ聴いていますね。最近は特にいろいろになってきました。朝にラテンを聴いていたと思ったら、昼にレゲエのレコード屋さんにいたりとか。
―レコード屋巡りもしていますか？
MURO：してますね。朝起きて寝ぼけたままレコード屋にいるみたいな（笑）。特に最近は年末に向けてセールが多いじゃないですか。僕はそういう放出の日は避けて次の日の朝に行くんです。抜かれたあとなんですけど、残っている中に十分かっこいいのがあるんですよ。
―MUROさんくらいになると、大抵のレコードを持っているんじゃないですか？
MURO：とんでもないですよ。全然です。僕の場合は、良い時期に7インチのレコードに切り替えていったのが良かったんです。12インチと違うバージョンが入っていたり、日本版はジャケットが違ったり、7インチを買い始めたことで、定番も含めて聴き直すことができたんです。そこから初心に返ったというか、クラブプレイにもいろいろ反映されました。
―最近は7インチだけを使ったイベントもやられていますが、7インチにこだわる理由はなんですか？
MURO：都内だとレコードを置いている店がもうほとんどないですよね？ クラブでもレコードでプレイする人が少なくなって、機材や音の設定なども変わってきているんです。例えば、7インチで地方を回ったりしても、若い子が「これはなんだろう？」みたいな顔で見てたりするんです。ここまで来ると、どんな形でもいいからレコードの楽しさを伝えていかないとダメな時期にさしかかってきていると思うんですね。
―その通りだと思います。
MURO：例えば、いま小学生が固形のせっけんを見たことがないらしいんですけど、レコードの存在自体がそれに近い感覚になってきているんです。レコード屋に足を運んで買っている人も減ってきているし、ちょっとした骨董品になってしまったと思うんです。音が良いでも、ジャケットが面白いでも、何でも良いから、レコードの楽しさを若い子たちにもっと知ってもらいたいですね。それに僕自身のことで言うと、この先もPCを使ってDJをするのは考えられないし、データと文字だけになってしまった曲を現場で選ぶことが、単純に自分の中で満足できないと思うんです。
―MUROさんがPCでDJするのはイメージできないですね。
MURO：よく言われます（笑）。もちろんツールとしてPCの方が便利な部分もたくさんあるので、利用できるところは使っていくんですけど、DJに関しては入り口がレコードだったので、いまの形は変わらないだろうなと思います。レコードの楽しさをレコード屋さんと一緒になって伝えていけたら良いなあと思いますね。
―例えばMUROさんのことを知らない人や、HIPHOPをあまり聴かない人もこのインタビュー記事を読むかもしれません。そんな人たちに向けてMUROさんからリコメンドするとしたら？
MURO：そういう人たちにも僕の音楽を聴いてもらえるようになるのが、来年の年末くらいの目標なんです。みんなが楽しめて気持ちよく音を聴かせられる場所を作りたいなと思っています。例えば、野外でやりたいですね。大きなフェスとかじゃなくて、昔ながらのブロックパーティみたいな規模感で、レゲエの人たちにサウンドシステムを手伝ってもらったり、ビアガーデンみたいな感じで、DJと小振りなバンドを入れたり。そういうイベントで地方の街おこしとかできたら、もっと楽しいだろうなって思います。
―今回のアルバムをどんな人に、どんなときに聴いてもらいたいですか？
MURO：僕の中には、いつも旅がコンセプトとしてあって、だからやっぱり旅の途中だったりカーステレオだったり、移動中なんかに聴いてもらえたら嬉しいですね。そういえば昔の話しですが、「ブランド・ヌビアン」のサダト・Xというラッパーに、切羽詰まったときに僕のミックステープを聴いて、次のアイディアをもらっているって言われてことがあって、それがすごく嬉しくて、まさにそういう風に使ってもらえたら願ったり叶ったりだなって思うし、昔の生の音ってそういう力があるんだなと思いました。大げさかもしれませんが、人生につまずいている人にぜひ聴いて何かを感じてもらえたら嬉しいですね。
DIGGIN' FOR BEATS
¥2,415 発売中
1.dub darkness feat INO hidefumi
2. Re-Construction
3. M Line
4. Transit 1 (Interlude)
5. Seven min of breaks pt.2
6. Hittin Switch
7. Transit 2 (Interlude)
8. J.a.M
9. diggin' out jungle
10. Knigt Tribe
11. Rodeo Drive
12. Transit 3 (Interlude)
13. Sound Voyage
14. Afro Tempo
15. Final Destination
視聴はこちらから http://soundcloud.com/dj-muro/diggin-for-beats-album-preview
オフィシャルサイト www.muro.tv