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赤司竜彦が語る、メディコム・トイの真実。

2011.08.19

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僕はクリエイターではないんですよ。ビジネスマンでもない。

―そうだったんですね(笑)。

赤司:細かい作業ばかりしていると、もっと生産スピードを上げられて、より多くのニーズに応えられる製品を自然と欲してしまう。そんな状況のなかで浮かんだアイディアがBE@RBRICKだったんです。

―発売後は爆発的な人気を集めて、今ではメディコム・トイの代名詞とも言えるほど成長したように感じます。この人気は想定していたんですか?

赤司:いやいや、まったくそんなことはありません。思い浮かんだアイディアを最初に形にしたときは、「売れなければ次は無いな」と思っていましたからね。もちろん、表現方法として様々なものとコミットできると面白そうだとは思っていましたけど、ここまで多くの方に高い評価を頂けるとは想像もしていませんでした。

―実際、反響を目の当たりにしたときはいかがでした?

赤司:ビックリしましたよ。「え、えっ、なんで?」って(笑)。

―具体的な理由は自分でも分からないんですか?

赤司:分かっていたら、そんな驚かないです! こじつけで言うならば、人みたいだし、熊みたいだし、可愛いだけではなくちょっと怖いし、いろんな要素が混ざっているからかなと。

―ここまで成長するのは想定外だったわけですね。

赤司:10年間で4000万個ですからね。予想を大きく上回る反響は、ありがたい限りです。

―話は変わるんですが、アパレル事業に関してはどういったキッカケでスタートしたんですか。

赤司:そもそものキッカケは「colette meets COMME des GARCONS」ですね。そこでKAWSとルシアン・ペラフィネのコラボニットが出ていたんです。その頃から、メディコム・トイではKAWSと断続的にオモチャ作りはしていたので、こういった試みをプロジェクトとして行えないかとKAWSに提案したのが始まりです。

―〈オリジナルフェイク(OriginalFake)〉に関しては、ショップオープンと同時にブランドがスタートしました。

赤司:服作りにおける専門的な知識も無いままプロジェクトをスタートさせて、並行して面識の無かったワンダーウォールの片山さんに内装をお願いして、一緒に物件探しに回ったり。すべて手探りで、ドタバタしながら、ようやくオープンしたのがKAWSに提案した1年後くらいですかね。

―たったの1年で、あそこまで完成度の高い物を創り上げていたんですね。かなり無茶苦茶なスケジューリング(笑)。

赤司:いつものことですよ(笑)。僕の場合は好きが高じて、作りたくなってしまうんです。普通は、オモチャが好きなら良いメーカーを探してコレクションしますよね。洋服も同様。それが、賢い消費者だと思うんです。ただ、僕の場合はどうしても作りたくなってしまう。「絶対にやる!」と。作らなければ、いてもたってもいられなくなってしまうんです。

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初期のBE@RBRICK。女性からの支持も集め、これまでで4000万個も生産された出世作。

―物作りおいて、そういった勢いは重要ではありますよね。

赤司:そうなんです。その勢いや情熱は、確実にプロダクトに反映されますから。マーケティングの専門家の方には「マーケティングで物を作る僕にとっては、ある意味メチャクチャではあります。けど、情熱はマーケティングを凌駕することがあるんですよね。赤司さんと話しているとその理由がよく分かります」とおっしゃって下さって。

―ご自身がデザイナーを務める〈アダマイト(ADAMITE)〉もそんな衝動から始まったんですか。

赤司:まさにそうですね。アダマイトで一番驚いたのが、どういうわけかカール・ラガーフェルドがシャネルのショーで着ていたことなんですよ。シャネルさんとBE@RBRICKをやらせて頂いたことはありましたけど、直接やりとりをしていたわけではないですから、友人からのメールで聞いたときは、本当に嬉しかったです。

―赤司さんの情熱や勢いが世界的なデザイナーまで届いたってことですね。

赤司:そうであることを願いたいです。評論や分析、検証することは大事だとは思いますが、情熱や勢いに嘘偽りはないですからね。

―確かにそうですね。ただ、そういった姿勢だけだと社長業に支障を来すような気がするのですが。

赤司:そんなことはないですよ。プロジェクトごとの採算分泌と収益分岐点は、きちんと検証していますから。だからこそ、勢いや情熱をきちんとコントロールしながら、プロダクトとして形作ることができるんです。社内に信頼できるスタッフが揃っているで、クリエイティブの部分は任せることができますし。

―メディコム・トイの社長としてだけではなく、ファッションデザイナーとしても活躍する赤司さんは、クリエイティブとビジネスに対してどのように向き合っているのかも興味深いです。

赤司:単純に僕はクリエイターではないんですよ。もちろんビジネスマンでもない。例えると触媒のような役割ですね。2つの溶液を綺麗に混ぜ合わせるための物質。1つのプロダクトを、あるコンテンツに掛け合わせたときに、一番良い効果を生み出すためのアイディアを考える役割。基本こういったことの応用で仕事をこなしているように思います。才能に溢れている方は世の中にたくさんいるんですよ。そういった方々と楽しく、面白い物を創りあげていく。格好良く言えば「プロデューサー」ですかね。まぁ、プロデューサーってある意味、何でも屋みたいなところはありますけどね。

―それでは最後に、メディコム・トイの今後について教えてください。

赤司:これまで同様、全く異なる物同士を掛け合わせて、面白い化学反応が起きるようなプログラムを仕込めて行けたら面白いのかなと思います。言えないことはたくさんありますが......。

―そこを知りたいところではあるんですが(笑)。まさか赤司さんがフィギュアになるとか?

赤司:昔、似たような企画はありましたけど、実現にはいたりませんでした(笑)。というか自分から「なりたい!」と思うことはありません。世の中にはもっと面白い物がありますからね。楽しみにしていてください。

akashi_profile.jpg プロフィール
株式会社メディコム・トイ代表取締役社長。1996年 メディコム・トイを設立。「マーケティングに基づく商品開発ではなく自分たちが欲しいものを作る」をコンセプトに、クオリティを重視した幅広い分野のキャラクターフィギュアを企画製造。01年にはクマ型ブロックタイプフィギュア「BE@RBRICK」(ベアブリック)を発表し、国内外のアーティスト、ブランド、企業などと多彩なコラボレーションを広げている。その他にもアパレル、雑貨など多岐に渡る事業を展開中。 今年でメディコム・トイ設立15周年、BE@RBRICKは10周年を迎える。
PHOTO_ Masako Nakagawa
www.medicomtoy.co.jp/

赤司竜彦オフィシャルブログ「玩具道」
www.medicomtoy.tv/president_blog/

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