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The Morning Benders ―カリフォルニア生まれの極上サンシャイン・ポップ―

2011.09.05

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初来日となった「SUMMER SONIC 2011」では、昼時のSONIC STAGEを瑞々しい音色と極上の心地よさで包み込んだThe Morning Benders。このカリフォルニア発のインディ・バンドは、世界デビューとなったアルバム『BIG ECHO』が音楽雑誌『Snoozer』において2010年度の年間ベストアルバムに輝くなど、瞬く間にUSインディ・シーンにおいて最も重要なバンドとして認知されるようになりました。3月の来日キャンセルを経て、この度の日本での初ライブ。その心境を、バンドのフロントマンであるクリスに聞きました。

Interview & Text_Mariko Mizukami
Photos_Chihiro Ishino
Edit_Yohei Kawada(Rhino)

The Morning Benders
06年にカリフォルニアのバークレーで結成。メンバーはクリストファー・チュウ(Vo、兄)、ジョナサン・チュウ(Gt、弟)、ジュリアン・ハーモン(Dr)。06年にデビューEPを発表し、08年に発売されたデビューアルバム『Talking Through Tin Can』でiTunesのインディ/オルタナティブ部門の最優秀アルバムを獲得。UKの人気レーベル「ROUGH TRADE」とサインし、2010年にニューアルバム『BIG ECHO』を発売。同作は音楽雑誌「Snoozer」で2010年度の年間ベスト・アルバムに選出された。

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―ファンのみんなが期待していた3月の来日公演は震災の影響で中止になってしまいましたね。

クリストファー・チュウ(以下、クリス):ちょうど地震が起こったときはNYにいたんだ。リハーサルも終えて準備万端で、これから西海岸に渡って日本に旅立つっていうときで。テレビで流れる映像を見ながら、日本からのメールを待っていたんだ。結果、最後の最後でキャンセルしなければならないと分かって、とてもがっかりしたよ。なぜなら僕らはバンドとして日本に来るのは初めてで、このツアーを本当に楽しみにしていたんだ。次のレコーディングの最中だったんだけどそれもストップして、日本への旅に向けて準備をしていたからね。悲しかったよ。

―日本に来ることができなかったあなたたちは、日本支援のチャリティEP『ジャパン・エコー EP』をリリースしましたよね。それはなぜでしょうか?

クリス:日本へのツアーは僕らがどうしても成し遂げたかったことだったんだ。それができなかったことは本当に辛かった。僕らは以前から日本に特別な感情を抱いていて、だから、生でみんなの前で演奏できない代わりに音楽を贈ることにしたんだ。「必ず行くからね」っていうサインの意味も込めてね。

mbcap001.jpg インターネット配信というかたちでリリースされた、日本支援のチャリティEP『ジャパン・エコー EP』。このリリースにあたり、Vo.のクリスは「できる限りの手伝いをしたかった」と語った。

―今回の「SUMMER SONIC 2011」での来日は、待ちに待ったタイミングだったんですね。ライブの反応はどうでしたか?

クリス:ライブはすごく良かったよ。東京会場のお客さんはとくに盛り上がってくれたと思う。もしかしたら、3月に観に来る予定だったお客さんもいたかもしれないよね。ライブ中に反応が返ってくるのが嬉しかったな。

―The Morning Bendersの音楽は、夏に幕張のような海辺で聴くには最高ですよね。バンドの音楽的なルーツをより強く感じることできます。あなたたちが育ったカリフォルニアの夏と日本の夏、どちらが好きですか?

クリス:僕は南カリフォルニアにあるビーチ沿いの街で育ったんだけど、いつも気持ちのいい風が吹いていて、晴れていて、陽気な天気なんだ。日本の夏との一番の違いは、湿度かな。日本の夏も嫌いじゃないけれど、いつも汗をかいているような感じがあるよね(笑)。

―昨年、大絶賛を浴びた2ndアルバム『BIG ECHO』について教えてください。作品のインスピレーションはどんなところから来ているのでしょうか?

クリス:ほとんどの曲が、僕の幼少期から大人へと成長していく時期の、ノスタルジックな感情からきていると思うんだ。幼い頃の感情っていうのは、幸せか悲しみかのどちらかに偏っているわけではなくて、不思議でグレーな場所にあると思うんだ。だから、このアルバムには様々なテンションの曲が収録されていて、いくつかは明るくて幸せそうな雰囲気で、いくつかは底なし沼のように暗い。自分にとって"懐かしい"って感情はとても興味深いものなんだよね。

―ところで、USインディ・シーンはここ数年日本でもすごく盛り上がりをみせているわけですが、特に仲良しのバンドがいたら教えてください。

クリス:本当にいろんなバンドと一緒にツアーを回ったなぁ。GirlsやCults、Grizzly Bearなんかはとても良い友達だよ。

―今日のライブを終えたら、日本でどのようなオフを過ごしたいですか?

クリス:僕らは予定も何も決めないタイプなんだ。たまたま出会った地元の人の行きつけのお店に行ったり、街に連れ出してもらったり。そういう偶然のハプニングが旅の醍醐味だったりするからね。ただ、ご飯だけはこだわりたい。とにかく美味しいご飯をたくさん食べて帰りたいな。

―素晴らしいですね。最後に、あなたはTwitterではよく日本語でツイートをしていますよね。日本語を勉強中なんですか?

クリス:実は、3月の時点では日本語を独学で勉強していたんだけど、地震の影響で来日がキャンセルになった時、憂鬱になって止めちゃったんだ(笑)。で、今またやり始めたところだよ。ひらがな、カタカナの読み書きはできるよ。日本語はひとつの言葉にいろんな表現や意味合いがあるから難しいよ。でも、ほんとうに楽しいんだ。

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バンドとしての来日は今回が初めてだが、Voのクリスはなんと日本生まれ。生まれてすぐの数年間を神奈川・逗子で過ごした経験を持つ。

―日本語の勉強も頑張ってくださいね。今日はありがとうございました。

bigecho.jpg The Morning Benders
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