鬼才であり奇才。会田誠のドキュメンタリー映画が公開。
2012.11.20 09:45
"毒とユーモア"。この二つが美術家、会田誠を表すのにもっともふさわしい言葉であることに間違いはないですが、それだけで総括できるほど浅くも狭くもない。
絵、写真、映像、立体、漫画、パフォーマンスなど手法もスタイルもさまざまで変幻自在のアート世界を現出し、今、最も注目の現代美術家である会田誠のドキュメンタリー映画『駄作の中にだけ俺がいる』が公開されています。
本作は、サラリーマンの無数の死体が積み上がるポップな地獄絵「灰色の山」、そしてスクール水着の少女たちが躍動する「滝の絵」という二つの大作を制作していた一年に、密着して追い続けたドキュメンタリー映画となっています。
生まれながらの芸術家である会田誠の生々しい生態と本音を余すところなく映し出し、アーティストであるが故の苦悩や無頼さを浮き彫りにするという、ある種の王道的な側面を持ちつつも、現代美術家である妻・岡田裕子のナレーション、そして家族とのふれあいなどというハートフルな側面をも挟み込んだ本作は、「飾る」ということから最も離れた、会田誠の人間としての本質的な魅力に迫った内容に仕上がりました。
現在公開中の個展『天才でごめんなさい』も合わせて鑑賞すると、さらに深く理解はできるのかなと思います。ぜひ合わせてご覧ください。
Text_Ryo Komuta
駄作の中にだけ俺がいる
監督：渡辺正悟
企画・製作：ザ・ファクトリー プロデューサー：キム・ヒージュン 撮影：大石英男 ナレーション：岡田裕子 制作協力：三潴末雄（ミヅマアートギャラリー）
2011年／99分／HD／ドキュメンタリー／配給・宣伝：ブラウニー
ユーロスペースにて絶賛上映中
12月8日（土）より名古屋シネマテークにて公開、全国順次公開！