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HERITAGE&INNOVATION ティンバーランドがイエローブーツと歩んだ40年、そして...。

2013.10.25

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ティンバーランド(Timberland)〉。1950年代にその歴史をスタートさせ、全世界的に高い認知度を誇るアイコン的存在のイエローブーツは、誕生から今年で40周年を迎えました。今回、フイナム編集部は40周年アニバーサリーイベントが開催されたアメリカはNYを訪れ、本場だからこそ知り得たブランドの現在、過去、未来を多角的に取材してきました。

Photo_Shota Matsumoto
Edit_Ryo Komuta

PHASE 1 Key Person Interview
1952年、サウスボストンにあった「アビントン・シューカンパニー」をネイサン・シュワルツが手に入れたことから始まった「ティンバーランド」の歴史。数年後、2人の息子、シドニーとハーマンが加わり、1973年、シドニーが独自の技術による世界初の完全防水レザーブーツ、通称"イエローブーツ"を発表します。このブーツの名称が「ティンバーランド」だったのです。
それから40年、一つのブーツの名前だった「ティンバーランド」は今では社名に形を変え、驚くほど多角的な進化を遂げたのです。今回、ティンバーランド米国本社のシニア グローバル クリエイティブ ディレクター、クリス・パウルズとグローバルマーケティングのヴァイスプレジデント、ジム・デーヴィーに話を聞くことができました。
これまでとこれからの交差点。
未来のティンバーランドの舵取りとは?
ff_timberland_innovation_sub1.jpg 左:ジム・デーヴィー(Jim Davey)/ グローバルマーケティング ヴァイスプレジデント
ブランドマーケティングの全般をリード。
右:クリス・パウルズ(Chris Pawlus)/ シニア グローバル クリエイティブ ディレクター
フットウェア&アパレルのデザインをトータルでディレクション。

-まず、自分たちが思う〈ティンバーランド〉の一番の強みとはなんですか?

ジム: とにかく全世界において、ブランドの認知度がとても高いということ、それと常に新しい商品を待ちわびている消費者たちの期待に応えうる技術や環境があるということではないでしょうか。

-なるほど。デザインを担当するクリスからは、昨今のファッショントレンドはどんな風に見えますか? またそれをどんな風にティンバーランドのデザインに活かしているのでしょうか?

クリス: 今のトレンドは、ワークっぽいニュアンスにカジュアルが加わったものなど、異なったテイストのミックスが流行っているように思えますが、我々としては洗練されているものと、カジュアルなものをミックスしていきたいと思っています。

-"洗練さ"とは少し意外な気がします。

クリス: 確かにそうかもしれません。今まではどちらかというと「機能」を追求してきたというところがあったんですが、これからは「スタイリング」というのがキーになってくるのではと思っています。

ジム: 今でもやはり「ブーツ」のブランドというイメージが強いと思いますが、これからはトータルのライフスタイルブランドとして、ジャケットだったり、パンツだったり、靴下だったり、全身をコーディネイトできるようなブランドであるということを、もっと知ってもらわなくてはいけないと思います。もちろんこの靴下も〈ティンバーランド〉ですよ!(笑)

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-さすがです(笑)。それではアイテムをデザインする際に一番大切にしているファクターを教えてください。

クリス: まず、言えるのは素材、マテリアルを一番に考えているということ。素材によってデザインが生まれてくることも多いですね。あとはもちろん〈ティンバーランド〉のDNAをキープしつつ、いかにしてモダンに見せるか、時代のトレンドを取り入れていくか、ということでしょうか。

-今、DNAという言葉が出ましたが、〈ティンバーランド〉というブランドは、日本ではアウトドアっぽいイメージと、ヒップホップ的なイメージの二つが強いのですが、本来のブランドマーケティング的には、どんなブランドと言えるのでしょうか?

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大定番の「スリーアイ クラシック ラグ」。色褪せないデザインです。

ジム: そうですね。。「みんなのブランドです」というのが答えでしょうか(笑)。極端にアウトドアっぽいイメージというのも違いますし、毎日履きたくなる、着たくなるようなアイテムが揃うブランド、そんなスタンスが目指すところといえるのではないでしょうか。

-なるほど。それでは2013AWシーズンにおいて、とくにリコメンドしたいアイテムとは何でしょうか?

クリス: 「アビントン」コレクションが2013FALLの中では一番オススメですね。機能的な部分はきちんとキープしながら、かなりモダンなデザインになっています。1900年代初頭、バーモント州の採石場などで活動していた人たちの足下を支えたシューズにインスピレーションを受けたコレクションです。我々としては、イエローブーツはもちろんなのですが、進化した今現在の商品を見て欲しいですね。

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-今回のキャンペーンのテーマは「BEST THEN.BETTER NOW.」というフレーズとのことですが、改めてその意味を教えて下さい。

ジム: 「BEST THEN」は40年前に生まれたイエローブーツのことで、「BETTER NOW」は〈ティンバーランド〉が今、ここまで進化しましたよ、ということなんです。

-40年進化してきた〈ティンバーランド〉が、今後進む道はどういったものになるのでしょうか?

ジム: まず"アウトドア ライフスタイル"というテーマを追求していきたいですね。そのためにウォータープルーフや、一日履いていても疲れないようなソールテクノロジーなどの技術を盛り込んでいく必要があります。僕らが「SPG」と呼んでいるもの、つまり「STYLE・PERFORMANCE・GREEN」この3つを柱とした商品を展開していくことになります。

-それはユーザーにきちんと伝わっていますか?

ジム: まだ十分じゃないですね。今回のイベントを皮切りに伝えるつもりです(笑)。新しい今の〈ティンバーランド〉のスタンスをより広く伝えていかないといけないと思っています。

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ブランドのアイコンである"イエローブーツ"。パーツごとに分かれているのが見られるのも貴重です。

-ちなみに今回の開催されるイベントの目的はどこにあるのでしょう?

ジム: 一番の目的は、「伝統的でクラシック」というブランドイメージを変えるためですね。伝統や歴史だけではなく、スタイルのある新しい〈ティンバーランド〉を紹介したいと思いました。

-イベント会場は、元々テキスタイルの倉庫だったそうですが、なぜこの場所を選んだのですか?

ジム: 〈ティンバーランド〉にあるDNAとして、アウトドア感、そしてインダストリアル感だったり、あとはラギッド感を表現すべく、今回のような会場を選びました。あとは「ウィリアムズバーグ」という地域も、いまのヒップスターたちが集まるような場所だったので。

-今回は、各界から4名のキュレーターを招聘していますが、彼らははどんなことをしているんですか?

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ジム: 「アースキーパーズ」や「アビントン」などの、秋冬の新作コレクションの中から、各自好きなアイテムをそれぞれピックアップし、一つのブースを作ってもらいました。「BEST THEN.BETTER NOW.」の「BETTER NOW」、つまり進化した今のティンバーランドをわかってもらうのが最大の目的なのです。

-それでは最後の質問です。これだけ規模の大きい会社になると、色々と社会貢献を求められる側面があるかと思うのですが、会社としていわゆる環境問題についてはどう考えていますか?

クリス: ブランドが進化していく過程で色々な素材を使うのですが、その中で、例えばペットボトルであったり、リサイクルラバーのアウトソールと、環境に配慮したものをピックアップしつつ、モダンなテクノロジーと合わせていきたいと思っています。これからの課題としては、メインの素材である「レザー」が、どうエコ的なアプローチをとれるか、という可能性を探っていきたいですね。

-かなり積極的なスタンスですね。

クリス: はい。〈ティンバーランド〉といえば、防水レザーのブーツが有名なので、それにエコロジカルなソリューションが加われば最高ですよね。どう時代にあった手法をとれるかが大切です。今であれば「アースキーパーズ」のようにエコ的なものを生み出すなど、その時々に求められているムードにあったものを提供する必要があると思います。

-なるほど。色々と貴重なお話をありがとうございました!

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イエローブーツを作り出した〈ティンバーランド〉の2代目社長、シドニー・シュワルツ氏。
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〈ティンバーランド〉の40年の歴史の中で、象徴的な出来事を年表形式にして並べています。
ff_timberland_innovation_sub11.jpg 地球に優しいというコンセプトで、リサイクルしたタイヤ、オーガニックコットンなどの素材を用いた「アースキーパーズ」コレクション。
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膨大な量の木型が圧巻。。
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