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初来日を果たしたUMIT BENANにインタビュー!

2011.12.22

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ライフスタイルに紐付いた表現方法

―2012年春夏では、かのニノ・チェルッティ [編集部注:〈チェルッティ〉ブランドの創始者でデザイナー] にスポットを当てて、1980年代をフィーチャーしていますよね。意外と日本では80年代にポジティブなイメージを持っていないのですが、あの時代に興味を持たれている理由は何かあるのですか?

ウミット:先にも述べましたが、私は「クラシック」で「マスキュリン」なファッションが好きです。それで私が思うに、80年代というのは他のどの時代よりメンズファッションにおいて「クラシック」と「マスキュリン」が強調されていたと思うのです。そして、その時代に最も成功していたニノ・チェルッティのシェイプやシルエットに興味を持ったのが着想のキッカケです。ちなみに、いま流行りのファッションはダーク系という印象が強く、そういった雰囲気のアイテムを作れば、なんとなく受けるのは分かっていますが、私は受ける・流行るのファッションではなくて、みんなとは少し違った方向に行きたいなと思っています。例えばそれは、クラシックでオールドなシルエットをベースにしつつ、いまのムードに合うようにリファインしていくようなコトです。

―80年代という時代への着眼点が、興味深いですね。

ウミット:世の多くのデザイナーはマーケットを意識したクリエイションに従事していると思いますが、私のコレクションは敢えて逆を行き、自分のクリエイティビティを浸透させていくことに力を注ぎます。なので、自分のブランドでは2019年くらいまではアイデアが出来上がっています。自分はトレンドを追わないので、いつどんな色が流行るとか気にしなくて良いので先のコトまでヴィジョンが完成している状況です。
たしかに80年代というのはファッション的につまらなかったかもしれませんが、その中でも良かった部分にスポットを当て、モダンにアレンジさせることで新しい見え方に変化する。そういったコントラストを、私は楽しんでもらいたいと思っています。そういった意味で自分にとって80年代はとても意味のあった時代です。

―毎シーズン、コレクションをランウェイではなくプレゼンテーションで発表し、個性的なモデルをセレクトしている理由は?

ウミット:ランウェイショーをやらない理由は、自分のスタイルはなるべくナチュラルな環境で発表がしたいからです。それと、私のコレクションはファッションが主体ではなく、服だけが主体でもなく、全体のストーリーというのを主体に考えていますので、ランウェイではこういった私のメッセージ性が伝えられないのでないかと考えています。プロのモデルを使うよりは、ストリートに根付いた実在するリアルな人たちを使って発表してきたいと思う気持ちが強いのです。

―その辺の感覚には強く共感します。

ウミット:私は、自分が発するメッセージが現実味のあるものにしたい。そのためにはオーディションで初めて顔を合わせるプロのモデルに服を着てランウェイを歩いてもらっても、恐らく私のメッセージは伝わらないし、私の代弁をすることもできないと思います。私は、人生のある瞬間瞬間というのがとても大事だと考えているので、ライフスタイルに紐付いた表現っていうのを中心に考えていきたいと思っています。

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―2012年からは〈トラサルディ 1911〉のデザイナーも兼任し、クリエイティブな面でも追い込まれることが多くなると思いますが、そんな場面を切り抜ける方法やリラックス方法がありましたら教えてください?

ウミット:以前は、PRもセールスもデザインもすべて自分でやっていたんですが、いまは弟が入って手伝ってくれているので、会社組織の中でも多少ゆとりがあります。ただ〈トラサルディ 1911〉はまだ就任したばかりでチームが組織されておらず、メンズでウェア100ピース、シューズ50ピース、バッグ100ピース、さらにウィメンズでウェア120ピース、シューズ90ピース、バッグ150ピースを手掛けているので忙しくしていますが、自分の好きな仕事なので苦にはなっていません。 ただ、それでも悪いエネルギーが溜まってると感じるときはあって、それを吐き出しにくい現状で、仕事のことばかり考えて眠れなかったりすることもあります。

―お察しします。

ウミット:そんなときはスポーツが好きなので、テニスをしたり、2ヶ月前からはヨガを始めたり。

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履き込まれたブーツと、細くロールアップされたデニムの裾で"らしさ"を演出。

―身体を動かすわけですね。

ウミット:ただ、ヨガにはあまりリラックスの効果は感じていませんが...。

―(笑)そうなんですね。

ウミット:あとは、仕事場までスケボーで通っているのですが、その通勤の15分間や。いま、こうしてユナイテッドアローズに招待を受けて、海外の地に足を運んでいることなどでもリラックスできていますね。

―短い滞在でしょうが、日本を楽しんで帰ってください。ホントはスケボーの件についても深く聞いていきたいところですが、時間が来てしまったのでこの辺で。今回はありがとうございました。

PROF-umitbenan.jpg UMIT BENAN
ウミット・ベナン
ドイツ生まれのトルコ人デザイナー。ボストン大学にてビジネスの学位を取得後、セントマーチンズパーソンズ、ミラノのマランゴーニ学院などでファッションを学ぶ。2009年秋冬シーズンに初のコレクションを発表し、翌年春夏にはピッティにて「Who is On Next?」を受賞。2012年からは〈トラサルディ 1911〉のディレクターも兼任。1980年生まれ。

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