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23 Things of BURTON SNOWBOARDS. バートンを知るための23のキーワード。vol.1

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スノーボードを創った男。

スノーボードブランドといえば、誰もが真っ先に〈バートン(BURTON)〉を思い浮かべるはず。理由は簡単で、スノーボードというスポーツそのものを生み出したのが〈バートン〉だからだ。そしてそれは、創始者ジェイク・バートンの奮闘の歴史ともいえる。

スノーボードが誕生する少し前、“SNURFER”という遊具が発明された。先端に持ち手用のロープがついただけの、サーフィンとソリをかけ合わせたような一枚の板。現在のようにバインディングもなければエッジもなく、専用のブーツもいらない。そんなシンプルさ故に超リーズナブルであったこのおもちゃに(10ドル程だった)、当時14歳の少年ジェイクも例外なく夢中になった。

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その時から「これが本格的なスポーツになればいいのに」と密かに考えていたジェイクは、大学卒業後に就職した会社を辞めてまでバーモント州に引っ越して本格的にスノーボードの制作を開始。1977年、〈バートン〉ブランドの誕生だ。しかし、サーフボードの材料やボート材、クロスカントリー・スキーの板を使って試行錯誤した末にようやくスケートボードのようにラミネート加工を施した板がベストだと気付くものの、すでにスノーシーズン真っただ中。前出のSNURERの値段と比べると90ドルと高額だったことも手伝って、最初は誰も興味を持ってくれなかったのだとか。そんなわけで初年度は自らボードを積んでショップや学校を回って訪問販売したというのは、今となっては想像もできないエピソードである。

ただ翌年からは、雑誌に広告を掲載してパンフレットを郵送するメールオーダーを採用したことで人づてに噂が広まり、売り上げがなんと2倍に膨らむことに。そしてこの頃からジェイクのマインドが、ビジネス的な成功より“スポーツとして”のスノーボードの普及を第一に考えるようになったもの大きなターニングポイントのひとつ。

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「自分の中では、カネ稼ぎのためにやっている部分が薄れて来たんだ。すでに友達や家族も、実際にスノーボードを楽しんでくれていたし。そこからはもうスノーボードのためにやっていたね。当時の広告を見るとわかるけど、その頃はブランドを主張するんじゃなくて、『スノーボードをやってみよう!』ってアプローチだったし。そうやってスポーツとして成功させようとしたら、会社全体もうまく回るようになった。だからスノーボードっていうスポーツを大事にしているんだ。このスポーツを大事にすれば、BURTONのビジネスはうまくいくってことに気付いたからさ」(BURTON BOOKより)

以降、15年間に渡って毎年売り上げが2倍ずつアップ。さらに彼の人柄に魅せられて、テリエ・ハーコンセンやショーン・ホワイトといった偉大なライダーや優秀なスタッフがジェイクの元に集まった。だからこそスノーボードは誕生からわずか20年でオリンピックの正式種目になるほどのメジャースポーツになったし、〈バートン〉は今なお世界一のブランドで在り続けられるのだ。

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バートンの発展に欠かせないもう一人のキーパーソン。

ちなみにもう一人、スノーボードと〈バートン〉の発展を語る上で欠かせない人物がいる。シーンの黎明期に世界チャンピオンとして活躍したクレイグ・ケリーだ。

ジェイク主催の大会に出場したことがきっかけで〈バートン〉のライダーとなった彼のフィードバックを受けて、ブランドは技術的に大きく進歩した。と同時にクレイグも、映像やヴィジュアルを通してスタイルを魅せることで自らの広告としての価値を高め、ブランドからインセンティブ契約を勝ち取るという、まさに現在のプロスノーボーダーに通づる新しい道を切り開いた。当時は大会で勝つことだけがプロボーダーの存在意義と言っても過言ではなかっただけに、シーンに与えた影響で彼の右に出る者はいないだろう。

2003年、残念ながらカナダのレベルストークの雪崩事故で帰らぬ人となってしまうのだが、そんなクレイグの功績に敬意を表し、バーリントンの本社には彼の名を冠した“CRAIG’S”なる開発施設が建てられている。これについてはまた次回以降に。

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