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23 Things of BURTON SNOWBOARDS. バートンを知るための23のキーワード。 vol.23

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Photo_Kazunobu Yamada
Styling_Takuma Kano
Text_Yuichiro Tsuji

なにをするにも、まずは準備が必要!

9月から23回に渡って特集をしてきたこの企画も、今回が最終回。気付けばもう12月になっている。ということは、いまはちょうどゲレンデ開きのシーズン。「そろそろ山に行きたい!」とか、「今年こそスノーボードを始めよう!」と思っている人も多いのではないだろうか?

しかしながら、スノーボードを思う存分楽しむには、それなりに準備が必要。どんな道具が必要なのか? どんなスタイルが流行っているのか? など、予備知識がゲレンデでの活動を豊かにしてくれる。裏を返せば、用意周到に準備さえしておけば、山でのアクティビティはすでに手中に収めたようなものなのだ。

今回そんなスノーボードに関する“いろは”を教えてくれるのは、業界きってのスノーボード通であるスタイリストの鹿野巧真氏。シーズンが来るたびに30回はゲレンデへ行っている、という彼に、初心者が実際にスノーボードをプレイするための知識や、ゲレンデのトレンド情報を訊いた。

スノーボードは大人の遠足!

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プロフィール
鹿野巧真
1984年生まれ。文化服装学院卒業。アシスタントを経て2008年よりフリーランスで活動開始。メンズ、レディース問わず、雑誌、広告、アーティストなどを手掛ける。趣味はスノーボードで、仲間内でチームを結成するほど。
http://takumakano.com

−鹿野さんがスノーボードにハマったきっかけを教えてください。

鹿野 - 僕は出身が山形で、冬になると雪が降りしきる環境で育ったので、スキーやスノーボードに触れたのは自然なことでした。近くのゲレンデまで家から車で30分ほどでしたから(笑)。もともとは中学まではスキーをやっていたんですが、高校生くらいから徐々にスノーボードをやる人が増えてきて。時を同じくして、僕もスキーからスノーボードへシフトしていきました。

−スノーボードとスキーだと、体の動かし方などが全然違うと思うのですが、実際すんなりできるものですか?

鹿野 - 意外とスムーズにスノーボードでも滑ることができました。雪の感触を掴むことが、上達への近道なのかもしれません。それ以来、すっかりにハマってしまって、今ではシーズンで最低30回くらいは雪山にいます(笑)。

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−スノーボードの魅力はどんなところにあるのでしょうか?

鹿野 - 滑っているときの疾走感は、なににも代え難い気持ちよさがありますね。とくに雪質がフカフカのときは浮遊感と相まって、なんとも言えない高揚感に包まれます。

−それはいわゆる“パウダースノー”と呼ばれる、さらさらとした雪が積もっているときですよね?

鹿野 - そうです。ゲレンデによっては、圧雪機をいれない非圧雪のコースを設置しているところもあるので、楽しいですよ。いまはパウダーブームが続いているので、そういったゲレンデも増えていると思います。

−わざわざ天然のパウダーをめがけて、ゲレンデいちばん乗りを狙う必要もないということですね。滑る以外にも魅力はありますか?

鹿野 - 僕はスノーボード好きの仲間たちと一緒に行くことが多いんですが、気の知れた友人同士で集まると楽しいですよ。車でゲレンデに向かう道中もワイワイ話しながら盛り上がりますし、着いて、滑って、帰りは高速道路のSAに寄ってご飯食べて。大人の遠足みたいな感じです(笑)。仕事の仲間などと行くと、スノーボードを通して距離が縮まることもあると思いますし。

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−大人の遠足…。なんだか急にゲレンデへ行きたくなってきました(笑)。しかし、車を運転できない場合はどうすれば?

鹿野 - バスがおすすめです。リフト券と往復の運賃含めて、格安のツアーとかがあるので。時期や場所によって値段の変動が多少あると思いますが、場合によっては車でいくよりも安いときがあるんです。なので、ひとりでストイックに滑りたい、という人や、女性同士で行く場合は、バスを利用するといいと思います。

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ゲレンデファッションのトレンド。

−実際にスノーボードを始める際に、どんなアイテムが必要ですか?

鹿野 - ウェアの下には「ファーストレイヤー」と呼ばれる速乾透湿に優れた下着のようなものを上下で着る必要があります。寒い場所とはいえ体を動かせば汗をかきますし、その汗がすぐ乾かないと体が冷えてしまうので、機能的なものがおすすめです。

−なるほど。

鹿野 - その次に「ミドルレイヤー」。体温を調整する役割のものです。寒がりの人はインナーダウン、そうでないひとはフリースや機能系のスウェットなど、体を暖めるものを着るといいと思います。

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MENS(左)ジャケット ¥26,000+TAX、パンツ ¥32,000+TAX、キャップ ¥4,000+TAX、ゴーグル ¥30,000+TAX、グローブ ¥12,000+TAX、ブーツ ¥51,000+TAX

WOMENS(右)ジャケット ¥26,000+TAX、パンツ ¥24,000〜32,000+TAX、キャップ ¥3,600+TAX、ゴーグル ¥16,000+TAX、グローブ ¥10,500+TAX、ブーツ ¥36,000+TAX

−あとは、シェルなどのいちばん外に着るものですね。今回は男女別でおすすめのコーディネートを組んでいただきました。

鹿野 - メンズだと最近はビブパンツという、オーバーオールのようなボトムが流行っているので、それを使用したコーディネートにしました。シェルは街着としても通用するようなストリートライクなものがおすすめです。今回使ったのはフード付きで、襟がコーデュロイの切り替えになっているもの。襟の配色に合わせて、グローブとブーツも茶系をセレクトして、まとまりのある着こなしにしています。未来的というよりはナチュラルなスタイルなので、ゴーグルもオーソドックスなデザインのアイテムを選んでいるのがポイントです。

−メンズは本当に街で見かけそうなスタイルですね。レディースのほうはいかがでしょうか?

鹿野 - いま街でもよく見かけるのが、アノラックタイプのアウター。これはゲレンデでもトレンドなんです。このコーディネートで使用しているアウターは、切り替えのデザインがクールなのと、前立てが深いところまで開くようになっているので着脱がラクなのがポイント。ボトムは細身のシンプルなものを選んだので、グローブは柄物のアイテムをセレクトして主張のバランスを整えています。

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−メンズ、レディースともに共通するのは、あまりガチャガチャするよりは、シンプルかつクールな着こなしを意識すると、なんとなく上級者っぽく見えますね。

鹿野 - そうですね。スノーボードウェアって派手なイメージが多かったと思うんですが、最近はすごくシンプルにすっきりとまとめている人が多いように感じます。

初心者が楽しく滑るために必要なこと。

−ギア系ではどんなものが必要ですか?

鹿野 - やっぱり、まずは「ボード」ですね。これは滑り方によっていろいろ種類があるのですが、定番なのは“キャンバー”と呼ばれる、雪との接着面に隙間のあるタイプのもの。板がしなるので、ターンやジャンプがしやすいです。ノーズ(前)とテール(後)の形が違い、“バインディング”と呼ばれる足を固定させる器具が、センターよりも若干テール寄りにセットされている“ディレクショナルボード”を選ぶと、より滑りやすさは強調されると思います。

−バインディングも選ぶ基準はあるのでしょうか?

鹿野 - 柔らかいものと、固いものがあります。やはり前者の方が自由度が高い分、初めて滑るときにはいいかと思いますね。

−ウェアとボードが揃ったら、あとは細かなものですね。

鹿野 - あとは、ソックス、パスケース、ボードケースも必要です。加えて、初心者の方は転んで尻餅をついてしまうので、プロテクターも必須ですね。

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(左上から時計周りに)パンツ ¥32,000+TAX、ブーツ ¥51,000+TAX、ボード ¥88,000+TAX、バインディング ¥43,000+TAX、ボードスリーブ ¥7,000+TAX、フード ¥4,500+TAX、パンツ ¥5,000+TAX、スウェット ¥11,000+TAX、カットソー ¥5,500+TAX、グローブ ¥12,000+TAX、ソックス ¥2,200+TAX、ジャケット ¥26,000+TAX、パスケース ¥1,500+TAX、キャップ ¥4,000+TAX、ゴーグル ¥30,000+TAX

−ちなみに、できる限り尻餅をつかないために、初心者におすすめのコースなどはありますか?

鹿野 - やはり、広くて緩い斜面のコースがいいと思います。例えば、「たんばらスキー場」や「水上宝台樹スキー場」など。いきりなり滑るよりも、まずは変なクセがつかないようにゲレンデでレッスンを受けるのがおすすめです。子供から大人までたくさんの人が参加しているので気軽に受けやすいと思います。

−なるほど。スノーボードを始めるにあたって、他にも注意点があれば最後に教えてください。

鹿野 - ボードなどの盗難事件がある、と耳にするので、ステッカーなどを貼って自分なりにデザインをカスタムするといいと思います。あとは、怪我をしないように無茶なライディングは絶対に避けた方がいいですね。せっかくの楽しい時間が、悪い思い出になってしまうのはしのびないので。最初は滑ることの楽しさを掴んでもらえたら嬉しいです。そうすれば、おのずと滑り方もレベルアップしていくと思います。

いかがだっただろうか? これを読んで少しでもゲレンデへ行くイメージをしていただけたら幸いである。

このインタビューでも取り上げたゲレンデでのレッスンだが、実は〈バートン〉も「LTR(Learn To Ride)」という初心者に向けたプログラムを主催している。スノーボードの上達をサポートするスクールの開講や、ギアのレンタルなども行なっているので、初心者の方はまずそちらのサイトをチェックしてゲレンデへ向かってみてはいかがだろうか?

ということで、「バートンを知るための23のキーワード」もこれにて完結。この特集を通して少しでもスノーボードに興味をもった方は、次はその足でゲレンデへと向かい、ぜひ体験してみてほしい。そこにはきっと、新しい世界が待ち受けているはずだ。

BURTON
電話:03-5738-2555
www.burton.com