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What feel about Dickies? ディッキーズという存在。 渡辺真史の場合

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普遍的なものを「自分らしく穿く」というのがファッションの面白味。

—先程、10代の頃から〈ディッキーズ〉のワークパンツと慣れ親しんでいたと仰っていましたが、それは90年代頃のことですか?

渡辺:そうですね。ちょうど渋カジ、アメカジブームというのが起こって、アメリカのヘビーデューティなアイテムが日本へ輸出されてきた頃のことです。いまでこそ当然のように手に入るデッドストックの軍物であったり、老舗ブランドのスニーカーやデニムなどは、当時はすごく珍しいアイテムでした。その中に〈ディッキーズ〉の「874」があり、気に入って穿いていましたね。

—「874」のどんなところに魅了されたんですか?

渡辺:他のワークブランドのパンツもたくさん日本へ入ってきていましたが、中でも〈ディッキーズ〉はシルエットが抜群に良かったんですよ。生地の固さが功を奏して、ラインがパキッときれいに出るというか。それに、どのブランドよりもアメリカらしさがあったし、ロゴのデザインも格好良かった。

—渡辺さんご自身はロンドンに留学されていた経験もお持ちですが、ロンドンで〈ディッキーズ〉を見かけることってありましたか?

渡辺:ロンドンにアメカジアイテムを取り扱うお店があって、そこで取り扱っていましたね。イギリスのストリートでも、アメリカと同じようにスケーターたちが穿いていました。イギリスのきれい目なブランドと、アメリカの軍物やワークウェアを合わせたスタイルの人がそこにいて。英米のカルチャーが重なり合った服装をしている人が当時は少なかったから、新鮮で面白かったです。

—ヨーロッパでも穿かれているというのは確かに新鮮です。

渡辺:ヨーロッパに限らず、どこでも穿かれているとは思います。ストリートカルチャーと密接に繋がっているブランドだし、誰でも手に取りやすいアイテムだから、世界中に普遍的に存在していると思います。

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—その普遍性もひとつの魅力なのかもしれませんね。

渡辺:僕もそう思います。そして、そういった普遍的なものを「自分らしく穿く」というのがファッションの面白味でもありますし。特にパンツというアイテムは、人の持つ個性が出やすい。その人のライフスタイルというか、生き様のようなものが表れるんですよ。

—確かにファッションを表現する上でボトムの役割というのは大きい気がします。どれだけトップスを着飾っていても、パンツが格好悪いと全てが台無しになるというか。逆にパンツが格好良ければコーディネートが活きますよね。

渡辺:そうですね。自分に合ったパンツを穿いている人がいると、それだけで魅力的に見えますから。そういう文脈で考えると、〈ディッキーズ〉のパンツは誰にでも似合う。穿いていて、格好悪いと思う人を見つけるのが難しいと思います。

—渡辺さんご自身はどんな穿き方をされていたんですか?

渡辺:僕は32から38インチくらいまでのサイズレンジで穿いています。コストパフォーマンスが高いから、サイズやカラーのバリエーションを揃えやすいんですよ。ピッタリしたサイズはきれいに見えるし、大きなサイズはストリート色が濃くなる。そのような印象のバランスをコントロールするように穿き分けています。いまだと、32インチくらいのジャストフィットで穿くのが気分です。

—カラーはどんなものを穿いているんですか?

渡辺:それこそアメリカの労働者たちは、汚れが目立たなかったり、ベーシックな色を穿いていたので、僕もそれに習って、ネイビー、ブラック、カーキ、ライトグレーなどの色を穿いています。もちろん、サイズごとに一通りカラーを揃えたりもしました。だから累計すると100本近くは所有しているかもしれないです。

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