今野: 僕が集めていた中では、コーデュロイのデニムジャケットタイプがここにきて、いきなり高騰し始めましたよね。ピンクとかエメラルドとか、もはや買えない価格にまで上がってますし。
栗原: 確かにその2色は全く見なくなりましたね。
阿部: その〈ラングラー〉のヤツも?
今野: これはパッチワークプリントのものなんですけど、この辺も見かけなくなってますね。
阿部: 確かデニムでも同じようなのあったよね?
栗原: ありますね。'70年代に入って、ワークからファッションへと移行した時代の象徴的なデザインというか。
阿部: コーデュロイは初めて見たな。正直10数年前までは、中でもどれがレアで、どれが非レアかなんて、価値基準すらなかったし、探して買うほど需要の高いカテゴリーではなかったもんね。
栗原: 確かにそうですね。でも、ここ数年はアメリカでも、もはやベージュとかオーソドックスな色すら、そう言えば見かけなくなりましたね。
阿部: へえ。でも、逆に「70505(リーバイス3rdタイプの後期)」って、最近安くなってない? 以前は3万円台とか普通にしたけど、今じゃ1万円台ぐらいが当たり前だもんね。
栗原: そうですね。中でも大きめのサイズのものは、リペアとかリメイク用の生地取りに使われているみたいです。10年後には後悔しているかもしれないけど(笑)。
今野: あとはゴアテックス®を使ったプロダクトが昔から好きで、その辺を掘り進めていく内に辿り着いたスキージャケット類も、結構前から集めていますね。当時('20~'30年代)、スキーや登山はまだ、特権階級たちの間で嗜まれた高貴なスポーツだったようで、スポーツアパレルとはいえ、仕様が非常に凝っていて、仕事も丁寧なんですね。
今野: 中でも有名なハーシュワイス社(ホワイトスタッグの前身)のものは、同じ年代に同じ生地を使っていても、ポケットあり、ポケットなしがあったり、細かな部分を見比べるのも面白い。特にサイドレースアップのモデルを中心に集めていますね。
阿部: 今野くんは昔からサイドレースアップが好きだよね。
今野: ディテールとしても好きなんですけど、昔のミックスカラーの撚り紐とかも好きで、自分のブランドでもそれを再現したりしていますね。
栗原: この辺りもまた、ここ数年で一気に高騰しましたよね。
今野: 一番よく見かける赤ですら上がっているのに、なかなか出づらいミントグリーンとかは最近だと2500ドル近くしてますからね。
阿部: 僕のは決して高いものじゃないし、今野くんみたいに集めているまではいかないにしても、昔から〈シャツ〉はなぜか見ちゃうんだよね。ただ、ヴィンテージのシャツって身丈が長かったり、身幅も広かったりで、実際今の時代に着れるか、って言われたら、残念ながら着れないものが大半なんだけど、それでもやっぱり買っちゃうし、手放せない。
阿部: 例えば色が珍しい〈ローバックス(Roebucks)〉のウエスタンシャツやブルックス ブラザーズ(Brooks Brothers)〉の古いチェックやクレイジーストライプとか。
今野: この辺も今手放しちゃったら、二度と出なそうですもんね。