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古着サミット3 業界屈指の古着好事家4名が集結!

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第二講 今野智弘
「自分が気に入れば価値とかは気にせずに買っちゃいます」

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阿部: ではお次は今野君、いきますか。このデニムは?

今野: これは〈リーバイス〉の501XXです。

阿部: かなりリペアが入ってるね。ダメージものが好きなの?

今野: なんか僕らの頃って、破けてたりする方がカッコ良く感じたんですよね。

阿部: ちなみにクリ君ってデニムのイメージがあまりないけど、XXとか穿いてた?

栗原: 昔はレザーパッチとかも穿いてましたよ。でもお金がなかったからすぐに手放しちゃいましたね。阿部さんもあまりXXとかのイメージないですね。

阿部: 一応XXは今も持ってるけど濃いの一本もないかな。大学時代に20万位で真っ紺のXXを買ったんだけど、もったいなくて一度も穿かず、結局何年か前に売っちゃった(笑)。おかげで状態の良いものを高額で買っても穿かないって学びました(笑)。

今野: どっちかですよね。濃いのが好きな人もいるし。今回持ってきたデニムに関して言うと、昨年くらいからこのくらい色の薄いのが気になってて、また穿こうかなと。あとはダメージを直す度に愛着が増すんですよね。

阿部: コレはいつ頃買ったか覚えてる?

今野: お店をやる前だったので、確か17~18年前にフリマで買ったと思います。5000円くらいだったような。買った時は、色もかなり濃くて、ダメージもありませんでした。ただ当時は買い換えるお金もなかったので、コレばっかり穿いてたら、必然と穴が空いていき、洗う度に色も落ちて、今の状態になりました。

阿部: これだけ直したら、買った金額よりも修理代の方が、かかってるでしょ?

今野: いや、津田沼の「ガレージセール(GARAGE SALE)」で直してもらったので、お金はそんなにかかってないと思います(笑)。

栗原: ま、普通に直してたら数万円はしますよね(笑)。

阿部: 他にもヴィンテージのデニムって持ってる?

今野: 多分10本くらいですかね。ただ1本を除いて、全部ダメージが入ってます(笑)。

栗原: 今野君ってデニムは〈ネクサスセブン(NEXUSVII.)〉のモノを穿いているイメージが強いですよね。

今野: そうだね。特に濃い色のデニムは〈ネクサスセブン〉のモノが多いかな。薄い色はヴィンテージを穿いてるけど。

阿部: 今でもデニムは買ってる?

今野: 真っ紺っていうよりは、ヒゲやアタリが凄いのを見つけたら買うかもしれないですね。栗君は何本くらい持ってるの?

栗原: 多分10本くらいかと。昔穿いていたデニムはジャストサイズで穿いてたのと、若干身体が大きくなったので、嫁が穿いてます(笑)。

阿部: 奥さんと共有したりするんだね。

栗原: 一応「好きなの着てイイよ」とは言ってますね。

阿部: じゃぁ、集めている貴重なジャックパーセルも履いてイイの(笑)?

栗原: 靴はさすがに(笑)。

阿部: ちなみに裕君は何本くらい持ってるの?

藤原: 11~12本くらいですかね。

阿部: 〈リーバイス〉と〈リー〉以外も持ってる?

藤原: あとは〈オシュコシュ(OshKosh)〉のちょっと細身を持ってます。60年代くらいですかね。後ろのポケットにVのステッチが入ってたんですけど、それを外して穿いてます。

阿部: 裕君はイジったりするのはあまり気にしないでやる方?

藤原: 「フェイクα」の澤田さんがやってるって聞いて、「じゃぁ、僕も」って感じでステッチを取っちゃいました。

今野: 澤田さんがやってると絵になっちゃうよね。

阿部: 澤田さんって昔から格好が変わらないよね。

今野: 澤田さんって格好いいですよね。笑ったりするの?

藤原: 笑いますよ(笑)。

栗原: ココ、ちゃんと使ってくださいね(笑)。

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今野: では次はハンティングジャケットを。どちらも1920~1930年代頃の物だと思います。

阿部: 昔のハンティングって格好いいよね。

今野: ハンティングに関しては、詳しいわけではないんですが、形が綺麗なんですよね。あとはテーラードのような丈の長さだったり、それぞれのディテールも面白いし、作りも補強がしっかりされたりしていて、よく出来てるんですよね。

栗原: ハンティングって、ある意味デニムよりも新旧の差がハッキリしてますよね。生地感が年代によって全然違いますよね。

阿部: ディテールも面白いよね。

今野: そうですね。今作ったらいくらになるんだっていうくらい細かく作られていますよね。

阿部: ハンティングは他にも持ってるの?

今野: ハンティングだからといって気にしたことはないんですが、ダックのアイテムが気になりだして、そうなるとハンティングにいくじゃないですか。で、ハンティングで着たいなって思えるのを探して見つけたのが、この2点でした。

阿部: この2点はどこで買ったの?

今野: 2点とも「ピグスティー(Pigsty)」で買いました。

阿部: 「ピグスティー」はハンティングも結構扱っててイイお店だよね。ハンティング系に関しては値段も比較的安いと思うし。

今野: この2点はちょっとしましたね。特にこっちの短いほうが4万近くしましたんですが、二度と出会うことはなさそうだったので買いました。

阿部: 確かにコレは見かけないよね。

栗原: この作りはかなり古いですよね。1920年代以前だと思います。

今野: 古いよね。打ち込みのボタンだったり、ポケットのデザインが面白いんですよね。ハンティングかフィッシングかもわからないんですが、かなり気に入ってます。

阿部: 多分フィッシングじゃないかなぁ。

栗原: もしかしたらハンティングと流用していたって可能性もありそうですよね。

阿部: 確かに。ダブルマッキノーの上の部分って感じもするし。ちなみに実際に外で着たことはある?

今野: ありますよ。コートを着てシャツの上に着ました。

阿部: さすがに着方が難しいよね。

今野: 着こなしているかどうかは、もはやわからないですけど(笑)。

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栗原: この形こそ、古着ならではですよね。

藤原: 昔の写真とあったりしないですかね?

栗原: それこそ昔のスポーツマガジンだったりアウトドア系の雑誌とかカタログに載ってそう。

阿部: こっち系のジャケットって好き嫌いが分かれるよね。

藤原: そうですよね。例えば、このジャケットをアメリカで見つけて200ドルって言われても買うか悩みます。古いのはわかるんですけど、売れるかどうかが…。

今野: 確かに。コレを見つけた時、着方がわからなくてやっぱり迷ったし(笑)。ただ自分で作ろうと思いソースとして買うというよりは、自分じゃ作らないだろうって思って買いましたね。わざわざ生地買ってパターンおこしてサンプルを作ろうって勇気ないですし(笑)。コレはもう珍品として買いましたね。価値とは全くわかりません(笑)。

栗原: それにしてもこの丈、思ったよりも短いですよね。

阿部: 女の子が着たら、可愛かったりしないかな?

栗原: コレを着て、キャバクラとか行ったら笑われるんでしょうね(笑)。

藤原: 「ちょっと着させてー♥」ってなりますかね(笑)。

阿部: 神宮前ならまだいいけど、コレを着て錦糸町とか行ったら大変なことになりそうだよね(笑)。

今野: 駅前でウロウロしてたら、職質の対象になりそうですよね(笑)。

阿部: (笑)。それにしてもハンティングって奥が深いよね。

今野: 深いですよね。大阪の「クッキークルーストア(Cocky Crew Store)」の村上君とかは詳しいですよ。

阿部: 古いモノはモノで面白いけど、〈マスランド(MASLAND)〉みたいなちょい古のブランドも面白いよね。

今野: あのブランドも面白いですよね。

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今野: 「CPO」よりもちょっと薄手のウールシャツです。このグリーンは〈エスキモー(ESKIMO)〉製で好きなブランドのひとつです。あとはネイビーの〈ウールリッチ(Woolrich)〉はボタンがちょっと小さいので、上品に見えるので気に入ってます。

栗原: 確かに。

阿部: 古そうだね。

今野: この顔、ちょっと悪そうですよね(笑)。あとこの時代の単色ネイビーってあまりないんですよね。

栗原: 年代的には、おそらく1940~1950年代前半って感じですかね。

阿部: この〈エスキモー〉っていうブランドはアメリカ?

栗原: ですね。たまに見かけます。

阿部: こういったウールのシャツは最近買い始めたの?

今野: 前から持ってたんですが、以前整理している時に持っていることを思い出して、今新鮮で良いかなと。あとは同系色のオンブレチェックって着やすくて好きなんですよね。緑の服ってあまり自分で作る勇気がないので、コレを着て満たされようかなって思ってます。

阿部: あ、この〈エスキモー〉、よく見るとオンブレなんだね。

今野: そうなんです。ブラックウォッチとかも好きなんですが、コレは変わり種っていうか。

阿部: 年代的には?

今野: 襟は40sっぽいですけどね。この時季ってたまに肌寒くなるじゃないですか。コットンだとちょっと寒くて、CPOだとちょっと暑いというか。なのでこのくらいがちょうどいいんですよね。他にもエンジ☓赤とか持ってるんですけど、まず着れないので、この2枚がちょうどイイですね。

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阿部: 裕君ってあまりウールのイメージないけど、持ってる?

藤原: 僕、元々肌がダメなんですよ(笑)。一時期CPOの1ポケットが流行った時に試しに着たんですけど、長袖のインナーを着ないとダメでした(笑)。

栗原: あんな滑らかなウールがダメなら全部ダメだね(笑)。

阿部: クリ君は?

栗原: 僕はCPOを結構着ますよ。

今野: やっぱり上品に見えますよね。特に40年代位のウールはクオリティが高いです。僕もウールの商品を作りたいですけど、納得のいくウール生地はやっぱりコストが高くなっちゃうので、諦めることが多いです。

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阿部: では最後は?

今野: ビーチジャケットです。パイルのタイプとナイロンのタイプを持ってきました。

阿部: 今野君にビーチジャケットのイメージってあまりなかったかな。

栗原: 元々黒ベースのハワイアンの生地とか好きじゃないですか。その影響ですかね?

今野: 徐々に抵抗がなくなってきたんだよね。特に好きなのは60~70年代位のモノ。買ってるのもその頃のモノばかりだし。

阿部: 当時流行ってたのかね。

今野: 以前、昔のサーフィンのビデオを観たんですが、サーファーがコレ系のジャケットを着てましたね。

栗原: なるほど。

阿部: こういう商品って「ガレージセール」や「フラミンゴ(FLAMINGO)」ってイメージがするんだよね。

今野: 確かに(笑)。あとは浅見さん(元ベルベルジン・スタッフ)ですね。

阿部: 懐かしい(笑)。結構持ってるの?

今野: 5~6枚ですかね。

阿部: ちなみにジャカードのタオルって70年代以降も作られてるの?

栗原: 一応あるんですけど、柄が変わってきますよね。ヨットとか魚みたいな感じになって幾何学的な柄は80年代以降少ないと思います。だから、素材感やタグだけでなく柄である程度の年代もわかりますよね。

今野: 白☓白のジャカードとかあったら可愛いよね。

阿部: 確かに。ちなみに、右の2枚はナイロン?

今野: そうですね。

阿部: このシースルー的なデザインは、当時流行ってたのかね? 〈レインスプーナー(REYN SPOONER)〉とかも生地を裏返して使ってるじゃん。

今野: 〈レインスプーナー〉は、日焼けを防止するために、あえて裏返したって話ですよね。

3人: へ~。

今野: 3人から「へ~」って言われると嬉しいですね(笑)。

阿部: 〈レインスプーナー〉って一時期凄い流行ってたけど、最近はどう?

栗原: オーダーはちょこちょこもらうんですけど、アメリカで全然見つからないですね。

今野: 〈レインスプーナー〉って70年代以前が面白い柄が多いと思うんだけど。

栗原: そうですね。80年代に入ると、クリスマスやMLBみたいな柄が増えだしてきますからね。

阿部: やっぱり見つかるとしたら東よりも西?

栗原: そうですね、あるとしたら西かハワイでしょうね?

阿部: ちなみに他に春着たいヴィンテージってある?

今野: 今年はジージャンですかね。

阿部: 裕君、やっぱり今年はジージャン売れてる?

藤原: 半端ないですね。

今野: アメリカでも結構高くなってるよね。

栗原: 世界的にも人気があるアイテムなのと、為替的な問題もあるので、日本に入れるのは結構難しいですね。レディースもそうですけど、薄い色のデニムが人気なので、その辺りはまだ買えるかもしれませんね。

阿部: いやぁ、それにしても古着の話は面白いよね。

栗原: 急にどうしたんですか(笑)?

阿部: やっぱり詳しい人と話してると色々学ぶことがあるからワクワクしてくるんだよね(笑)。

今野: 僕もわからない時は、いつもこの2人に聞きますからね。

藤原: でも今はネットがあるからみんな詳しいですよね。

今野: 確かにそうだよね。

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